なぜ、上司は無能に見えるのか?会社の昇格基準が問題?

「自分の上司はどうしてこんなに無能なんだ?」とモヤモヤしていませんか?

無能な上司を白い目で見る様子

株式会社メディアジーンが運営する「BUSINESS INSIDER JAPAN 」に、次のような記事が掲載されていました。


なぜ、あなたの会社の管理職は“無能”に見えるのか?「卒業方式」「入学方式」それぞれの問題

プレイヤーを卒業させて次のステップでマネジャーとして処遇する方式を「卒業方式」

素晴らしいプレイヤーとしての先輩が昇格した。そうすればマネジャーとしても素晴らしいマネジャーであって欲しい。その思いが期待外れを生み出す

マネジャー登用基準が過去のプレイヤーとしての評価が多く、形式は入学方式でも実質は卒業方式と変わりません。

(引用:なぜ、あなたの会社の管理職は“無能”に見えるのか?「卒業方式」「入学方式」それぞれの問題 | BUSINESS INSIDER JAPAN (2019/10/25閲覧) )


結論を言うと、世の中の会社のほとんどが「無能な上司」が生まれやすい仕組みになっています。そのため、いかにうまく無能な上司と付き合うかが、毎日の仕事満足度を高めるために必要です。

そこで、このページでは、

  1. 元・人材コーディネーター
  2. 元・採用/人事コンサルタント&転職エージェント
  3. 人事&キャリアコンサルタント
  4. 人事労務&キャリアカウンセラー
  5. 元・職業訓練校職員

といった職場の人間関係づくりのプロ5名が、無能上司問題について、次のような内容で見解を述べていきます。

この見解をすべて読めば、無能な上司にモヤモヤすることなく、上司をうまく使って仕事ができるようになるはずです。

それでは、職場の人間関係づくりのプロ5名の見解をじっくりとお読みください。

見解1:無能な上司は、一人前の上司になるように育てる

回答者澤井(元・人材コーディネーター)
転職回数:4回


今回のBUSINESS INSIDERの記事を読んで、上司が無能でモヤモヤしている人は、

「卒業方式」で新しく管理職に登用されたマネジャーたちは、基本的にみんなこれからマネジャーとしての訓練を積んでいく初心者

こう思って接するとともに、初心者の上司を育てる気持ちで、積極的に要望を伝えるとよいのではないかと思いました。

なぜなら、私は今まで上司の指示に改善点があれば提案してきましたし、「もっとこうしてほしい」という要求もどんどん発言してきたからです。提案・要求することで、上司が試行錯誤してくれて、よりよい仕事ができる環境になった経験があります。

ある派遣会社に中途入社したときのことです。その会社では、マネージャーが2つのオフィスを掛け持ちしているうえに常駐していなくて、月に1回来る程度でした。

「こんな環境で、マネージャーはオフィスの状況を把握できているの?」と、不安に思っていたのですが、やはり実情の半分も把握できていませんでした。

そこで、3ヶ月ぐらい様子をみてから、社内の備品をそろえることや、派遣登録のやり方、書類保管方法についてマネージャーに提案をしました。また、求人広告予算がゼロだったので、求人広告費を増やしてもらうように交渉もしました。

提案や交渉をするときに気をつけていた点は、「こうしたいと思うのですが、いかがでしょうか?」と必ずお伺いを立てる聞き方をしたことです。

自分の意見を一方的に押しつけていると思われないように、そして、マネージャーが意見する余地を残すためです。

マネージャーへの提案・交渉を繰り返すことで、マネージャーは私たちが働きやすいように気を配るようになって、毎月の登録スタッフ数も増えて売り上げも伸びました

ということで、上司が無能でげんなりしているのなら、自分で一人前の上司に育てればよいのです。困ったときほど上司を頼って対応力を上げてもらうと効果的です。

見解2:無能上司には「ボスマネジメント」をしてみる

回答者:かんなべ(元・採用/人事コンサルタント&転職エージェント)
転職回数:2回


BUSINESS INSIDERの記事を読んで、

素晴らしいプレイヤーとしての先輩が昇格した。そうすればマネジャーとしても素晴らしいマネジャーであって欲しい。その思いが期待外れを生み出す

という部分に共感しました。というのも、私が採用代行の仕事をしていたときの上司もトッププレイヤーからマネジャーに昇格した人だったのですが、マネジャーとしてのスキルは期待はずれだったからです。

そんな上司には、部下が上司をマネジメントする「ボスマネジメント」をしてみるのが良いと思っています。

トッププレイヤー上がりの上司は、プレイヤー時代のクセがなかなか抜けません。部下から働きかけをして、マネジャーとしてやるべきことを気づかせないと、ずっと無能上司のままだからです。

採用代行のマネジャーは、デスクワークが中心です。クライアントと作成したスケジュールどおりに業務をやりとげられるように、業務量をコントロールするのが仕事です。

ですが、私の上司はプレイヤー時代のクセで、終日席を外してばかりで、なかなか私たちとコミュニケーションが取れません。このままでは業務が滞って、クライアントの採用プロジェクトは失敗してしまいます。

そこで、上司以外のメンバー全員で話し会って、ボスマネジメントをすることにしました。やることはシンプルで、報連相(報告・連絡・相談)の徹底です。

たとえば、メンバーの役割分担は、自分たちで割り振りました。その際に「勝手に決めた」と思われないように、上司に提案をして承認を得るようにしました。日々の業務報告や相談もグループメールを使って共有することを上司に提案しました。

部下である私たちが上司に働きかけをしたことで、上司からの指示も回るようになって、採用プロジェクトは無事に成功しました。

というわけで、プレイヤーを卒業した上司には最初から期待をしてはダメなのです。部下によるボスマネジメントをして、上司をうまく動かすことをおすすめしたいです。

見解3:無能な管理職が生まれる原因は、管理職の業務量が多すぎるから

回答者大山(人事&キャリアコンサルタント)
転職回数:4回


「能力」の育成可能性を、きちんと踏まえた基準によって昇格を決めていくことができれば、無能管理職を量産するような事態にはならないのではないでしょうか。

本当にその通りだと思いました。ただ、残念ながら、無能な管理職が量産されてしまう状況これからも続いてしまうと思います。

なぜなら、パーソル研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査」によると、今は働き方改革への対応などで人手が不足して、管理職の負担が増えているからです。

(参照:パーソル総合研究所、中間管理職の負担の実態を調査で明らかに働き方改革進む企業で負担増す中間管理職。62.1%が自らの業務量増加と回答 | パーソル総合研究所 | (2019/10/26閲覧)

管理職がマネジメントに専念できている会社は、まだまだ少ないと思います。実際、前職のIT企業も人手不足でした。営業部門の管理職の多くがプレイングマネージャーとして営業活動も兼任していました。

会社の事業は好調なため、実績を出した社員がどんどん昇格する仕組みでした。今回のBUSINESS INSIDERの記事で言う「卒業方式」です。

プレイングマネージャーの多くは、自分が実績を出した営業スタイルを部下にも求めます。ところが、IT業界は動きが早いので、すでに通用しないケースも多いのです。

その結果、部下としては「上司に言われた通りに営業したにも実績が出ない」「上司の評価が納得できない」といった、部下から見ると「無能な上司」が生まれる状況を招いていました。

会社側も私が勤めていた数年前から管理職研修を実施して、管理職の意識改革に取り組んでいました。

ですが、管理職としての負担が減るような抜本的な改革には、長い時間がかかると感じました。最近話をした前職の同僚からも、「まだまだ道半ばだよ」と聞きました。

結局のところ、上司が無能に見えてしまうのは、本来の管理職として仕事に集中できない会社の労働環境に問題があるからだと思っています。

見解4:上司が無能に見える問題は、さらに上の上司に相談で解決

回答者中川(人事労務&キャリアカウンセラー
転職回数:1回


上司が無能に見えてしまう問題は、会社の人事評価基準を確認したうえで、さらに上の上司に相談することが有効だと思います。

というのも、本当に能力が低い上司なのに、人事評価のせいで、本人や会社が問題に気づいていないケースがあるからです。

私もキャリアカウンセリングで、「上司の能力が低い」という相談を受けたことがあります。このとき、上司の能力が低いと感じている理由を聞くのはもちろんですが、私はさらにその会社の人事評価の内容も聞き出しました。

すると、マネジメントスキルは低いのに、人事側では上司の能力が高く評価されている可能性がありました。会社としては、マネジメントスキルは長期的な視点で身につければいいと考えているようなのです。

そこで、さらに上の上司に現状を相談することをおすすめしました。上の上司に組織としての問題が認識されたことで、直属の上司にマネジャー研修を受けるように取り計らいをしてもらうこととなりました。

マネージャー研修を受けたことで、上司のマネジメントスキルが上がって、相談者は満足していました。

もちろん、上の上司に相談しても会社の方針は変えられないこともあります。ですが、相談することで、直属上司の評価理由を知れて納得したケースもあります。

他にも、会社をよくしようと働きかけていることが評価されて、給与を上げてもらえたケースもありました。

というわけで、上司が無能に見える問題は、昇格したあとの人事評価基準が原因かもしれません。一度、上の上司に現状を相談してみる価値はあると思います。

見解5:無能な上司には期待しないで、反面教師にする

回答者小池(元・職業訓練校職員)
転職回数:2回


BUSINESS INSIDERの記事にある

「名選手必ずしも名監督ならず」で、素晴らしい「プレイヤー」でも、素晴らしい「マネジャー」になるかはわかりません。必要能力が異なるのです。

という言葉にとても共感できます。

以前に「尊敬できない上司の下でも、気持ちよく働くにはどうすればいい?」でお伝えしたことがあるのですが、私はプログラマとして客先に長期出張に行った際に、毎日職場に行くのが嫌になるような上司の下で仕事をしたことがあります。

この上司はSEとしての能力は一流だったのですが、上司としては三流だと感じるような言動があまりにも多くて、職場の雰囲気はいつも暗く、ピリピリしていました。

でも、一緒に作業に行った先輩に、その無能な上司を「反面教師にしている」と言われたことをきっかけに、嫌な言動のたびに心の中で「私はこうならないようにしよう!」と思い続けました。

すると、上司の無能だと感じる面をスルーできるようになって、期待もしないので気持ちも楽になって、仕事の効率も上がったのです。

さらに、自分でも驚いたのですが、チームワークのないバラバラのプロジェクトでも、「無事に納品できたのは上司のSEとしての能力の高さのおかげだ」と感じるほど、上司へのフラストレーションも軽くなりました。

このように、無能だと感じる上司は反面教師にして接することで、上司の良い面も見られるほど気持ちが前向きに変わるのです。


以上「なぜ、上司は無能に見えるのか?会社の昇格基準が問題?」の見解でした。

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