職場の苦手な人とは「期間限定思考」で接すると乗り切れる?

「職場に苦手な人がいるけど、すぐには職場を変えられない」「職場の苦手な人とうまく距離を取るにはどうすれば……」と悩んでいませんか?

職場の苦手な人に困っている様子

株式会社プレジデント社が運営する「PRESIDENT WOMAN 」に、次のような記事が掲載されていました。


職場の苦手な人が嫌でなくなる”スゴい思考法”

どんなにつらいことであっても、終わりが見えているのとそうでないのとでは、心の持ちようは全く違ってきます

「期間限定」の付き合いを実践した人は、この後どのようになるでしょうか。実は、ほとんどの人が転職に至りません

期間限定のお付き合いでいいや、と決めた人には、心に余裕が出てくる

(引用:【職場の苦手な人が嫌でなくなる”スゴい思考法” | PRESIDENT WOMAN | (2019/12/14閲覧))


結論を言うと、期間限定思考は有効ですが、使い方には条件やコツもあります。そこで、このページでは、

  1. 元・人材コーディネーター
  2. 元・職業訓練校職員
  3. 人事労務&キャリアカウンセラー
  4. 人事&キャリアコンサルタント

といった職場の人付き合いに詳しい4名が、職場の苦手な人との乗り切り方ついて、次のような内容で見解を述べていきます。

この見解をすべて読めば、職場の苦手な人との毎日に悩むことなく、仕事ができるようになるはずです。

それでは、4名の見解をじっくりとお読みください。

見解1:「期間限定の思考の応用」+「周囲にSOS」で乗り切る

回答者澤井(元・人材コーディネーター)
転職回数:4回


今回のPRESIDENT WOMANにあるように、職場に苦手な人がいる場合、「期間限定の思考」は有効な手段だと思います。

ただ、実例の会話にあった

2年以内に2回は定期異動のチャンスがあるので、そこにかけてみます

の“2年”という期間には、少し不安を感じました。

なぜなら、ひどいパワハラを受けている人は、1日、1週間ですら長くて苦痛に感じるからです。ですので、期間限定の思考を取り入れつつ、周囲にSOSを出しておことも必要だと思います。

以前、知人から「異動をきっかけに人間関係がうまくいかなくなってしまって、上司と先輩からパワハラにあっている」と相談を受けたことがあります。

最初はキツく指導される程度だったのが、挨拶をしても無視されたり、就業後に深夜まで延々と嫌味を言われたり、明らかにパワハラでした。

そこで私がアドバイスしたことは、以下の3点です。

1.転職を検討する

精神的に病んでしまいそうなほど悩んでいたので、転職活動をする気力もない雰囲気でした。ですが、「転職サイトで求人情報だけでも見てみて」と伝えたところ、「今の仕事にこだわらなくていいと思えて気がラクになった」と言っていました。

2.さらに上の責任者にSOSを出す

パワハラ上司よりもさらに上の責任者にSOSを出すことも大切です。それとなく上の責任者に相談してみたところ、すぐには配置換えのような根本的な解決はしてくれなかったそうです。ですが、このSOSは無駄にはならないことがあとで判明します。

3.水曜日や週末にお楽しみを作る

これが「一番効果的」とのことでした。「期間限定の思考」の“期間”を短期間に設定して乗り切ったのです。

そして、この期間限定思考で上司や先輩と接するようになってから半年が過ぎたころ、ついにパワハラ上司が異動になって、今までの苦痛な環境からは解放されました。

実は、パワハラ上司が異動になったのは、以前にパワハラ上司のさらに上司にSOSを出していたことがきっかけで、人事が動いてくれたそうです。

ということで、精神的に病んでしまいそうなぐらい追い詰められているのなら、期間を短く設定した「期間限定の思考」で乗り切るとよいと思います。並行して、上司や人事に相談しておくと、のちのち力になってくれることもあります。

見解2:「期間限定の思考」+「第三者を巻き込んだ会話」で乗り切る

回答者中川(人事労務&キャリアカウンセラー
転職回数:1回


職場の苦手な人に対して「期間限定の思考」は共感をしました。私もコンサルティング会社に勤めていた時代に、同じような考え方をして苦手な職場の人との関係を乗り切ったからです。

期間限定の思考以外にも、私は「苦手な人と話すときは、なるべく苦手な人以外の人も巻き込んで話す」ことも意識しました。なぜなら、1対1で話すよりも苦手意識が薄まるからです。

私は新卒でコンサルティング会社に入社しました。新入社員は本社出勤が基本なのですが、私は支店へ異動となりました。

その中で、苦手な先輩が1人いて、指導方法や普段の会話もウマが合いませんでした。なかなか苦手な関係を克服できなくて、どうしても会いたくない日は、有給休暇を使って会社を休むことすらしていました

当時、「3年で辞める若者」というワードが流行り出したころで、「3年経ってもこの状態が続くようなら会社を辞めよう」と、「期間限定思考」で働いていました。

ただ、有給の取得にも限界がありますので、ウマが合う先輩に相談しました。「その人と話すときは、できる限り俺を巻き込んで話をして」と助け船を出してもらいました。

別の先輩を巻き込んだ会話を心がけた結果、1対1とは会話の雰囲気やテンポが変わって、苦手な先輩とも苦痛をあまり感じずにコミュニケーションを取ることができたのです。

このように、職場の苦手な人は「期間限定の付き合い」に加えて、「苦手な人以外も巻き込んだコミュニケーション」を取り入れることで乗り越えることができます。

見解3:期間限定思考は、転職先の選択肢が多い人向け

回答者小池(元・職業訓練校職員)
転職回数:2回


「職場の苦手な人とは期間限定思考で乗り切る」というのは、「なるほど!」と感心しました。でも、「誰もが期間限定の付き合いができるのかな?」と疑問に思う点もあります。今の自分に置き換えて考えたら、難しいと思いました。

以前にも「お局にいじめられている。どんな対策をすればいい?」でお伝えしましたが、私は2年ほどそりの合わないお局さまから無視をされたり、些細なことで怒られたりした経験があります。

私はこの2年間、さまざまな対策を立ててみたのですが、全て完敗。自力では打つ手なしでした。

そんなとき、もし「期間限定思考」を知っていたら、転職先がみつかるまで実践していただろうと思います。当時まだ若かったので、第二新卒として転職先もたくさんあったからです。

ですが、もし今正社員だとしたら、期間限定思考は「実践できないな」とも思いました。地方在住で求人が少なくて、幼い子供がいる状態で転職は難しいからです。

転職サイトで求人検索をしても、子育てママに優しい条件の正社員求人はなかなか見つかりません。せっかくの「正社員」を袖にできないのです。

なので、転職する・しないに関わらず、期間限定と割り切れずにストレスを感じ続けてしまうと思うのです。そうならないためにも、すぐに人事に相談する道を選びます

というわけで、期間限定のお付き合いと割り切る方法は誰でも使えるものではなくて、転職先の選択肢がたくさんある人に限られると思いました。

見解4:終わりを意識すると、気持ちを切り替えられるのは間違いない

回答者大山(人事&キャリアコンサルタント)
転職回数:4回


期間限定のお付き合いでいいや、と決めた人には、心に余裕が出てくるのです。

には本当に共感します。終わりを意識すると、それまでの苦痛がウソのように軽くなるからです。

人事として仕事をしていると、色々な社員の相談に乗ります。その中で「もう病気になるのではないか」と思うほど追い詰められていた人が、異動や配置転換が決まった途端、急に気持ちの切り替えができて、異動する前に元気になるのをよく見てきました。

たとえば、こんな事例があります。

以前、社員Aさんから「上司と仕事することがつらくて堪らない」という相談を受けました。「上司は仕事に情熱的で猪突猛進なところがあって、自分の思った通りの内容でないと関心を示さない」とのことでした。

Aさんは、上司に再三新しい企画を提案するのですが、一向に認めてもらえませんでした。挙句の果てには、ミーティングで発言をする度にダメ出しをされる状況になりました。Aさんは会社に来るのが苦痛で、少しずつ休むことが増えてきました。

私はAさんの状況を見て、「上司と離すしか解決策はないな」と思って、「これから1か月状況に変化がなければ、異動の申し出を正式に人事に提出してください」と伝えました。

すると、1か月と期限が決まったあとのAさんは、思い切りが良くなって、積極的に上司とコミュニケーションを取れるようになったのです。

そして、上司に認められる企画も出てくるようになりました。Aさんは異動する必要もなくなって、現在も同じ職場で元気に活躍しています。

以上のことから、職場に苦手な人がいてつらい状況にある人には、終わりを意識して期限を区切って活動する「期間限定思考」はとても有効な対策だと言えます。


以上『職場の苦手な人とは「期間限定思考」で接すると乗り切れる?』の見解でした。

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