今回は「通勤時間が長くてつらい。異動願いを出すことはわがまま?」という悩みにお答えします
調剤薬局に勤めていますが、人事異動があって自宅から職場まで1時間30分くらいかかる薬局に異動になりました。電車だけではなくて、バスも2本乗るので、乗り遅れてしまうと、バスの待ち時間を含めて1時間45分くらいかかってしまう日もあります。
月初はいつもより30分早く出勤しなければなりません。30分早く出勤するためには、バスの乗り継ぎを考えると、いつもより1時間近く早く家を出なくてはいけません。
同僚にも「朝早くて大変だね」と同情されています。「通勤時間が短かったら、もっと睡眠時間が取れるのに」と悲しくなります。
通勤時間が長くてつらいのを理由に、もう少し自宅から近い店舗に異動願いを出すことはわがままでしょうか?私が会社の都合に合わせて引っ越さないといけないのでしょうか?
[相談者:30歳♀/調剤薬局/薬剤師/入社8年目/年収400万円~500万円未満/独身]
回答1:「わがまま」ではないけど、希望は通らない可能性が高い
私は3社で人事として、通勤時間の長さを理由にした異動希望の受け入れ判断をしてきた経験があります。その経験からお答えすると、異動希望を出すにぶんにはよいですが、受け入れられない可能性が高いです。
異動希望が決して「わがまま」という判定はしませんが、会社全体のことを考えると、受け入れることが難しいです。
というのも、私の経験上、大体100人の社員うち5人程度は2時間近い通勤時間でした。そのため、1人の要望を認めてしまうと、他の人からの要望にも答えなくてはいけなくなるので、難しいのです。特に質問者様は独身のため、なおさら、「なぜ引っ越さないのか」と問われる能性は高いです。
そこで、もし引っ越しを検討する場合、会社の規定を確認して、引っ越し費用が出るかどうかを確かめることをおすすめします。
異動により転居が伴う会社では「会社の指示により通勤が○時間以上になる場合、会社都合の異動とみなし、引越し費用を支給する」といった規定があることが多いです。
私がいた会社では、1社目と2社目が公共交通機関の乗車時間が「1時間半以上」、3社目は「2時間以上」という規定でした。「お金が出るのであれば引っ越しを検討してもいい」というのでしたら、引っ越しして状況を改善するのもひとつの方法です。
毎日のことなので長時間の通勤はつらいかと思いますが、会社も一人ひとりの事情にすべて対応するわけにはいけないため、ご相談のような異動希望を受け入れるのは難しいのが本音です。そのため、ダメ元で異動届を出してみて、基本的には引っ越しを視野に、費用が出るかどうかを調べてみてください。
回答2:私が通勤問題に悩んだときは、上司に相談して改善した
元・職業訓練校職員の小池です。
通勤時間が長くてつらいと、毎日の通勤が憂鬱になりますよね。そんなときは、まず上司に相談してみてください!相談方法としては、「自分がつらい」という面はあまり大きく出さずに、「出勤後のパフォーマンスの低下」を強調してみてください。
たとえば、「朝が苦手なのに、通勤のために早朝に家を出なければならないので、午前中は仕事に集中するのに大変で、いつかミスしてしまうんじゃないかと気が気でないです」という具合に相談してみてください。
実は私も、初めの会社に入社したての頃は通勤に悩まされていました。実家から勤務先まで、自家用車で1時間半、通勤ラッシュの渋滞を運転しなければいけなかったので、通勤だけでグッタリでした。
そのうえ、当時の部署には新入社員は先輩社員より早めに出勤する習わしがあったため、「先輩がもう出社しているんじゃないか」と毎日神経を削る思いで運転をしていてストレスも溜まっていました。
そんなとき、上司との面談の際に、「通勤時間の長さと新入社員の習わしのせいで、いつか事故を起こしたり、仕事で大きなミスをしそう」と相談してみました。
すると、上司も真剣に考えてくれて、「アパートに入居するための補助に融通がきくか総務へ聞いてみたり、部署の習わしの廃止などを検討してみる」と言ってもらえました。
結果的にはアパートの補助は社則で受けられませんでしたが、新入社員の習わし廃止が部署全体に通知されて、出勤時間に余裕ができました。「こんなことを相談したら怒られるんじゃないか」と内心ビクビクしていましたが、「相談して良かった」と心の底から思いました。
というわけで、まずは上司に相談してみてください。異動願いをすぐに出さなくても、仕事面での配慮や、通勤に対する提案や行動を起こしてもらえる可能性もあります。
回答3:「通勤時間が長くてつらい」と、上長にハッキリ伝えるべき
結論から言いますと、異動願いを申請してOKです。「毎日の通勤が大変で、仕事を続けるのが難しいです」と、はっきり伝えて、勤務地を配慮してもらってください。
私はキャリアアドバイザーとして多くの求人情報を見てきました。複数の店舗を展開している小売・サービス業の会社は、「転勤や異動はあるけど、自宅から職場までドアtoドアで1時間以内の範囲で」と決められていたところがほとんどでした。
なので、通勤時間は長くても「片道1時間以内」というのが、妥当な範囲と言えるでしょう。
また、上長や人事が、通勤に苦労していることを把握しているとは限りません。私も以前、片道1時間の職場へ通勤していましたが、結婚による引越しで1時間半かかるようになってしまいました。
そこで、上長に「妻の通勤の関係で、職場から遠くなってしまいました」と、上長に報告したところ、次の期の変わり目で近くの支店に異動させてもらえました。
もし、異動を受け入れてもらえないなら、転職も視野に入れるべきです。調整薬局での勤務経験があれば、ドラッグストア、病院など、自宅近隣で働ける求人も豊富です。現在の職場に固執する必要はありません。
ということで、通勤がつらいなら自分だけで抱えないで、上長に報告して異動を求めましょう。
回答4:1時間30分は遠距離通勤になるのかを会社に確認する
通勤は毎日のことですから、通勤だけでグッタリしてしまう状況が続くと、本来の実力を発揮できなくてもったいないです。
まずはお勤めの会社に、片道1時間30分の通勤が「遠距離通勤」になるか、それとも「通勤圏内」なのか、確認することをおすすめします。
なぜなら、「遠距離通勤」と判断されれば異動願いも通りやすくなりますし、「通勤圏内」と判断されたら、異動は難しいので「自発的に引っ越しするしかない」と、ことを荒立てずに決断ができるからです。
私の会社にも人事異動で勤務地が変わって、通勤時間が30分から1時間30分に延びた社員がいました。距離にして50km以上。距離、時間ともに社内最長になりました。
本人から申し出があったわけではないですが、会社側として考慮する必要があるかを判断するため、私のほうから社労士に相談しました。「郊外から都心に通う例をみても2時間以内であれば通勤圏内」というのが社労士の見解でした。
総務省の統計「平成28年度・社会生活基本調査【PDF】」も調べましたが、通勤の平均時間は全国平均1時間19分、郊外から都心に通う人が多い神奈川県では平均1時間45分でした。1時間30分は平均的であることがわかりました。これらの結果を踏まえて、内規で「2時間以上を遠距離通勤とする」と定めました。
つまり、私の会社であれば、1時間30分は「通勤圏内」なので、「異動願いの理由にならない」と判断するでしょう。
ということで、いきなり異動願いを申し出るのではなくて、まずは1時間30分が遠距離通勤なのか通勤圏内なのか、会社に確認をしてみてください。
回答5:通勤2時間以内で異動願いを出すなら覚悟を持って
通勤時間を理由に、異動願いを出すことはわがままだとは思いません。「通勤に時間をかけたくない」という気持ちは当然です。ですが、異動願いを出すなら、「会社を辞める」くらいの覚悟で相談することをおすすめします。というのも、1時間半の通勤時間は珍しいことではないからです。
私は派遣会社に勤務していて、客先常駐の正社員や契約社員の異動や配置に関わることがあります。その際、異動先の勤務地は「2時間以内で通える範囲」としています。
また、私の同僚には通勤に2時間近くかけている人もいますし、私自身も過去に2時間くらいかかる支店に通勤していたこともありました。当然「通勤に時間をかけたくない」という気持ちはありました。ですが、2時間以内でしたら割り切って通うのが現状なのです。
その現状を打破するとなると、力ずくで人事を動かすことになります。異動希望を伝える場合は「通勤時間のストレスが解消することで、仕事の生産性が上がるから」など、ポジティブな理由を添えると良いでしょう。
もし、今の会社を絶対に辞めたくないようでしたら、我慢するしかないです。今の勤務地に一生配属されるわけではないと思いますし、仕事自体に不満はないようでしたら、2時間以内であればなんとか通勤できると思います。
私の場合、通勤電車の中でスマホでニュースやドラマを視聴したり、資格の勉強をして過ごすことで、長い通勤時間も少し楽になりました。
ということで、2時間以内の通勤時間で異動願いを出すなら、「会社を辞めてもいい」くらいの覚悟で会社に相談してください。
回答6: 異動希望を出すよりも、引っ越しをおすすめする理由
往復3時間以上の通勤は心身ともに大きな負荷になりますし、乗り継ぎが多いことも大変ですよね。人事異動を受け入れたあとに通勤時間が長くてつらい場合は、異動希望を出さずに、引っ越すことをおすすめします。理由は2つあります。
理由1.この場合の異動希望は通りにくいから
人事異動を受け入れたあとの、通勤時間を理由にした異動希望は通りにくいです。
私が人事をしていたときに、相談者さんと同様に、異動後に従業員から「通勤がつらいから異動させてほしい」という異動希望がありました。ですが、人事部門としては「なぜ、今さら?」「わかって異動を受け入れたのでは?」ということで、異動希望は承諾されませんでした。
理由2.通勤時間でロスするコスト>引っ越し費用になるから
年間に失っている通勤時間分を労働したとして給与換算したコストよりも、引っ越し代のほうが安いです。
「往復の通勤時間が約3時間」ということから、平均的な勤務日数245日で計算すると、年間の通勤時間は735時間になります。
これを1日8時間勤務で計算とすると、年間で約92日の勤務日数に相当します。つまり、1ヶ月を20日出勤とすると4.6ヶ月分の給与と同じになるため、通勤時間分働いたとして得られる給与のほうが、引っ越し費用よりも高くなります。
ということで、人事異動後に長時間の通勤時間がつらい場合は、人事異動を受け入れたあとでの希望は通りにくいことと、通勤時間分ロスしているコストよりも引っ越し費用のほうが安いことから、引っ越しすることをおすすめします。
回答7:打開策を探ってダメなら、転職エージェントに相談!
通勤は毎日のことですから、つらいですよね。とはいえ、もともとの就業条件で異動がないことを謳っていないなら、異動希望が通るかはわかりません。ですので、就業規則等を改めて確認したり、周囲に相談して打開策を探った上で、状況改善が難しいようでしたら転職も検討してみましょう。
というのも、残念ながら通勤時間の上限や費用負担については、労働基準法などの法的な定めはなくて、会社ごとの規定に沿って判断するのが実状だからです。
まずは、就業規則などで転勤や通勤に関するルールを確認しましょう。会社によっては「自宅から◯km以上を超える場合は、転居に関する手当を支給」など、引っ越し費用の手当が支給されることがあります。また、規定がなくても諦める前に、上司や人事に相談してみてください。
私の会社でも就業規則に明記はありませんが、自宅から通勤が困難と判断されると、一時的な場合はホテルやウィークリーマンションを会社が契約したり、長期に渡る場合は引っ越し費用の負担を行ないます。
また、各社員にプライベートの事情があることを加味して、遠方勤務の場合は定期的なローテーションを行なうこともあります。全員の希望に沿っていてはキリがないので公にしていなくても、何か前例があるかもしれません。
それでも改善が難しい、またはご自身が納得できないなら、転職も検討してみましょう。このところ話題の働き方改革も、「通勤時間の削減による生産性向上やプライベート充実」という目的もあります。働く上で通勤事情を大事にするのは珍しくありません。
もちろん、やみくもに職場を決めるのでなくて、転職エージェント等に相談してみるのが良いと思います。エージェントとの面談で仕事観や求める条件を棚卸しすることで、そもそも転職すべきか、転職するかに関わらず仕事環境への向き合い方に新たな気づきがあるかもしれません。また、現職との勤務条件の比較も可能です。
というわけで、現職での解決策を探った上で難しいようでしたら、転職エージェントなどと相談して仕事環境を見つめなおしてみることをおすすめします。
回答8:「せっかく3時間もあるなら」と、有意義に過ごす方法を考える
通勤に往復3時間かかってしまうのは疲れますね。ですが、せっかく通勤時間が3時間もあるのですから、通勤時間の使い方を考えて「有意義な時間」に変えることをおすすめします。
なぜなら、異動願いを出してもすぐ異動できるとは限らないからです。それでしたら、発想の転換をして通勤時間を過ごした方が気持ちも前向きになれます。
私の両親は共働きだったのですが、子供たちが小さい頃、母の勤務先は自宅の近くでした。ですが、子供が一人立ちしたあと、通勤に2時間かかる場所に異動になったことがあります。年齢も若くはなかったので、通勤だけでかなり疲れている様子でした。そこで、母が取った3つの行動を紹介します。
1.オン・オフを思いっきり使い分ける
「子供たちも一人立ちしているし、平日は仕事で疲れているから」と、仕事も家事も両方頑張るのはやめて、平日は最低限の家事しかしなかったそうです。
2.新しいことにチャレンジする
それまではもっぱらアナログ派だった母ですが、この異動を機にスマホに変えました。そして、通勤時間に操作を覚えたり、ネットニュースを読む時間に充てていました。
3.スキマ時間を有効活用する
通勤バッグに仕事関連の本やレターセットを常に入れていました。仕事が終わってからだと読書や手紙を書く時間がないので、ちょっとした空き時間に読んだり書いたりしていたそうです。
このように、時間の使い方は意識ひとつで変わるものです。ですので、「通勤時間が長くなってツラいな~」と思いながら過ごすのではなくて、通勤時間が長くなった生活に合わせた時間の使い方を考えてみてください。
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