今回は「入社3ヶ月目での転職に迷っているけど、最低3年働くべき?」という悩みにお答えします。
ヘッドハントを受けて転職をしました。転職前も転職後も外資系のIT会社です。私は営業職なのですが、マーケティング部門を巻き込んでWEBサイトを活用して、インバウンドで案件を受注する手法を得意としています。
面接時には人事部長から「ぜひ、そのアプローチをうちの会社でやってほしい」と言われて入社したのですが、いざ働いてみると、マーケティング担当者は退職してしまっていて、マーケティング部門がない状況でした。
やむなく、自分主導でWEBを改修して見込み顧客獲得をしようとしたのですが、「レギュレーション上、日本のサイトだけ改変するのは不可」と本国に言われて、全く身動きが取れなくなりました。
私は、元々テレアポや飛び込み営業が得意分野ではなくて、WEBで情報発信をし続けることで案件を獲得していく待ちの営業スタイルです。そのため、WEBサイトを使った営業手法ができない環境では、私のスキルが全く出せない状況です。
転職してまだ3ヶ月なのですが、あまりにも思っていた環境と違うことに戸惑っています。さっさと諦めて別の会社を探したほうが良いのか、歯を食いしばってこの会社のやり方を身につけるべきなのか、非常に迷っています。
わずか3ヶ月で転職することは逃げでしょうか?私はどうすればよいかアドバイスをお願いします。
[相談者:41歳男性/外資系IT企業/営業職/入社3ヶ月目]
回答1:「逃げ」ではなくて「スキルを活かすための転職」と前向きに考えて
元・職業訓練校職員の小池です。
ヘッドハントを受けて、得意分野でステップアップしようとやる気いっぱいに転職したのに、肝心の仕事が前提と違っていて「話が違う」と後悔されているようですね。
今の環境で我慢して仕事を続ける覚悟が決まっているわけではないようですので、早いうちの転職をおすすめします。「まだ入社3ヶ月なのに・・・」ではなくて、「入社3ヶ月だからこそ、身動きが取りやすい」とプラスに考えてみてください。
それでも迷うようでしたら、ヘッドハントを受けるほどのスキルをお持ちで、「自分の営業スタイルだ」と自負するやり方を捻じ曲げてまで、今の会社に残るメリットはあるかを考えてみてください。
早いうちに転職すれば、今の会社での人間関係や仕事のしがらみも少ないですし、ご自分のスキルを無駄にする期間も短くて済むメリットがあります。
それに、入社3ヶ月での転職は「逃げ」ではありません。ご自分の「スキルを活かすため」に、前向きに転職活動をしてください。
私が勤務していた職業訓練校でも、前の職場を3年未満で退職した受講生が複数名いました。どの受講生も、短期間の職歴を覆すくらいに、履歴書や面接で「自分のスキルを活かしたい」という熱意を伝えていました。
「職業訓練校でスキルを身に付けて就職する」という目標を持って、前向きに職業訓練や就職活動を行なったことで、無事に就職していました。
このように、転職活動では前向きに、やる気や情熱をしっかりと伝えれば、入社3年未満での転職でも大丈夫です。転職先でスキルを活かして活躍してください。
回答2:採用する側が在籍期間よりも重要視する3つのこと
私は採用する立場ですが、採用する側から言うと、前職の在籍期間は、それほど重要視していません。それよりも、次の3つのことを採用の判断基準にしています。
1.ウチの会社にとって必要な人材かどうか
まずは、会社にとって必要な人材かどうかを判断します。判断ポイントは、「売上に貢献する仕事ができる」「新しい手法や技術を取り入れることができる」「欠員を充足できる」などの中途採用の募集目的に合致しているかどうかです。
2.長く働いてくれるかどうか
中途採用の募集目的に合致した人がすぐに辞めてしまっては、採用に費やした時間や費用が無駄になってしまうため、「長く働いてくれそうか」を判断します。
3.なぜ、前職を辞めたのか
「長く働いてくれそうか」を判断するのに、前職の在籍期間が長いほうが有利になりそうですが、私は参考程度にしかしません。それよりも、「なぜ前職を辞めたのか?」を気にします。
なぜなら、退職した理由が人間関係であれば、同じことが自分の会社でも起きたら辞めてしまうだろうし、給与に不満があるなら、やっぱり同じ不満が出たら辞めてしまうと考えるからです。
今回のケースは、面接のときと「話が違う」ことに加えて、自分の得意な営業手法の実現に向けて「本社にまで掛け合う」という行動をしたにも関わらず、実現できなかった背景があるので、転職する動機として十分です。
むしろ、在籍10年後に「実は中途面接のときの条件が……」と言われたほうが、採用担当者は「はぁ?」と思ってしまいます。在籍期間が短くても、それ相応の理由があれば、まったく問題ありません。
「現職をこのまま続けるか、思い切って転職するか」と悩んでいますが、在籍期間の問題が除かれたとすると、単純に選択肢の問題になります。新しい仕事を覚えることは自分の仕事の領域にプラスになりますし、一方で得意分野を武器にすぐに転職することも間違っていません。自分がどこを目指すかによって答えが変わってきます。
私は、41歳という年齢を考えると、オールラウンダーになるより得意分野にさらなる磨きをかけて、「ぜひウチで働いてほしい」と言われる人材を目指すべきだと思います。
まとめると、転職理由がしっかりあるなら、たとえ在籍期間が3ヶ月であったとしても転職は可能です。あとは、自分の目指すものは何なのかを考えて選択してください。
回答3:転職後に「こんなはずじゃなかった」と思った私が取った行動
「転職してみたら思っていた環境と違った・・・」ということはありますよね。今回は、「絶対に転職したい」というよりは、「このままいるべきなのか」と迷っているようなので、私は「しばらくがむしゃらにやってみて、それでもダメなら転職する」ことをおすすめします。
私も、2回目の転職のときに「こんなはずじゃなかった」と思った経験があります。「人事労務担当として色々な分野に挑戦できるから」と言われて、大手の会社に入社しました。ですが、膨大な量の入退社の手続きのみに追われる日々が数ヶ月続いて、他の仕事ができる余地はありませんでした。
「こんなことやるくらいなら転職しなかったのに・・・」とも思いましたが、「ここで実力を証明できれば他の仕事をもらえるかもしれない!まずは半年頑張ろう!」と頭を切り替えて、業務に没頭しました。すると、苦手だった単純な事務作業をフロー化するスキルを身に付けることができました。
そして、私は業務をしながら、何かやりたい業務に近い業務があるときは必ず首を突っ込んで手伝ったり、手を挙げたりを繰り返していました。
その結果、管理職の目に留まって、入社7ヶ月後には、前の会社では叶わなかった念願の採用担当の職務を手に入れることもできました。その後は自分に合った採用業務をずっとやり続けることができています。
3年我慢する必要は全くありませんが、3ヶ月では、得られる可能性があるものも見えていないかもしれません。なので、半年から1年、「この会社で得られるものは全部得てやる!」という気持ちで挑戦してみて、それでも「得られるものがない」と感じたら、転職を検討することをおすすめします。
回答4:「転職最低3年説」は都市伝説。転職7回の私の経験談
結論から言うと、「3年は働かないと転職できない」という「転職最低3年説」は都市伝説です。私も41歳ですが、これまで7回転職していて、現在が8社目です。各会社の在籍年数を平均すると、2.5年です。在籍期間が特に短かったのは、30歳のときの3社目(在籍10ヶ月)と37歳の頃の7社目(在籍9ヶ月)です。
今回は、そんな私の転職経験談をお話ししたいと思います。
在籍10ヶ月で転職できた事例(3社目→4社目)
安定企業での人事部での仕事を希望して、3社目の会社に入社しました。確かに条件が整っていましたが、それまでベンチャー気質の企業で育ってしまった私は、トップダウンで変化を好まない社風に馴染めなくて、居心地が悪過ぎました。長く働けるイメージも全く持てなかったため、退職を決意しました。
4社目は、給与や安定性では3社目に条件が劣る一方で、社風に馴染めると判断して選びました。面接では、「自分の適性や価値観よりも給与や安定性を重視して、3社目を選びましたが、本当に大切なものは給与や安定ではなくて、自分の適性や価値観だと気付かされたのです」と主張しました。
もし、前職と給与や安定性も同じ条件を求めていたら、面接でも「単に会社に馴染めなかっただけ」と判断されて、転職活動はうまくいかなかったはずです。
つまり、「何か譲れない環境を得るには、他の条件は求めない」という覚悟を持てば、自分の主張が成り立つので、短い期間での転職でも採用に影響がないのです。
在籍9ヶ月で転職できた事例(7社目→8社目)
7回目の転職活動になると、面接でも当然、「転職回数が多い」という指摘を受けました。
ですが、無理に正当化せずに、自分の至らなさを認めた上で、「常に最善を尽くした結果、転職回数が増えてしまった」と主張して、1社目からの転職経緯をダイジェストで説明しました。すると、「それならば仕方ないか」と面接官にも納得してもらえました。
以上の経験から、今の会社で全力を尽くして、それでもダメなら転職活動をすることをおすすめします。
「全ての職場で、どんな環境でも1度は全力を尽くしたこと」を強く主張して、「転職理由を他責にしないで、自分の責任で失敗したと認めること」の2点を押さえれば、在籍期間は関係なく転職は可能です。
回答5:在職期間だけで転職できる・できないは決まらない
「最低でも3年は働かないと、転職するときに不利になる」・・・よく聞く話ですが、全くそんなことはありません。年齢的にも今すぐに転職することをおすすめします。なぜなら、採用する側は在職期間や職歴の数だけを採用可否の目安にはしていないからです。
私は人材コーディネーターとして、「派遣登録面談」を担当していました。派遣登録面談とは、採用面接の「一次面接」に近いものです。そのときに、職歴が多い人はたくさんいましたが、それほどマイナス要素にはなりませんでした。
人材派遣という業種柄、「職歴が多い=経験豊富」と捉えることが多くて強みになるということもありますが、納得できる退職理由をきちんと説明することができて、その退職理由が次の職歴に反映されていれば、一貫性はあると感じるからです。また、職歴の数や在職期間よりも、その人の人柄や受け答えを重点的に見ていました。
私自身もこれまで4回の転職経験があります。各職歴の在職期間は、順に、2年、1年、4年、1年、2年と長いほうではないですが、転職するときにネックになったと感じたことはありません。面接に臨むときは、それぞれの退職理由を交えながら自分の職歴をストーリーのように語れる準備をしていました。
退職理由は、毎回「キャリアアップのため」でもよいのです。その場合は、採用担当者から見て「1社目、2社目、3社目……とキャリアアップしているな」と思える職歴でしたら、全く問題はないと思います。
このように、「3年働いていない」というだけで転職に不利になることはありません。面接で採用担当者が納得できる退職理由を語れるように準備をして、明日にでも転職活動を始めることをおすすめします。
回答6:3年待つ必要はない。スキルや経験を活かせる仕事に転職を
せっかくヘッドハンティングで転職をしたのに、自分の力が発揮できないのはツライですよね。満足した仕事ができないのでしたら、次の転職をすぐに検討しても良いと思います。
なぜなら、「会社の環境」というどうしようもない理由で、これまで培ってきたキャリア(Webマーケティングスキルや経験、実績)を活かすことができなくて、悩んでらっしゃるからです。
「会社に合った営業スタイルを身につけていく」という選択肢もありますが、不得意分野でしたら良い評価を得るのは難しいでしょう。
以前、私は人材コーディネータとして、同様の相談を受けたことがあります。大手電機メーカーで製品開発のプロジェクトマネージメントを得意としていた人が、同じプロマネ職で転職をしたのですが、経験の少ない分野の作業を担当することになってしまいました。
その結果、本来のプロマネの実力を発揮できないだけでなくて、周りからの評価も低かったのです。
その人も転職すべきかどうか悩みながらも、転職活動を始めて、次の会社が決まると同時に退職をしました。転職先では得意としていた業務に就いて、高い評価を得ることもできました。なによりも、「モチベーション高く仕事ができている」と、とても満足していました。
20代の若い人なら、キャリアチェンジ転職として、それまでと違う経験を積むのもアリだと思います。ですが、キャリアをしっかり確立されている40代の人でしたら、自分のスキルや経験を活かせる仕事に就くべきです。
というわけで、「今の仕事に満足していない」「自分の得意とする力が発揮できない」ということでしたら、転職活動をしましょう。ただし、短いスパンでの転職は少ないに越したことはありません。転職は最小限にとどめるように、会社選びは慎重に行なってください。
回答7:人生の貴重な3年間を、やりたくないことに費やすのはもったいない
臨床心理士の佐藤です。
私は3ヶ月で転職してもいいと思います。なぜかと言うと、人生の3年間やりたくないことをし続けるのは意味がないと思うからです。
私はこれまでに、臨床心理士として認知症の人とお話する機会が多くありましたが、認知症の人がこぞっておっしゃるのは、「こんなことになるんなら、もっと〇〇しとけばよかった」ということです。
仕事だったり、家事だったり、嫁姑関係だったり、夫婦関係だったり、やりたくないことを我慢してきてやってきて、やりたいことを十分にやれなかった(やらなかった)ことへの後悔を訴える人は本当に多いのです。でも、後悔しても、時間も体力も記憶力も、現在の医学では取り戻すことはできません。
一方で、やりたいことをやり切った人は認知症の告知を受けても、穏やかに「幸せな人生だった。満足してる」とおっしゃいます。
また、私自身、やりたくない仕事を1年で辞めて転職しました。メインとなる子供への療育の仕事はとても楽しかったのですが、クレーマー体質の保護者対応や、険悪なスタッフの人間関係、業務量の多さと人手不足、賃金の安さなどが、かなりつらかったんです。
それでも、「子供たちのために」「子供たちはかわいいから」と我慢して働いていました。
ところが、友人に愚痴交じりに話したところ、「それってやりがいの搾取じゃない?世の中、仕事はたくさんあるのに、そんな会社にしがみつく意味があるの?」と言われました。それを聞いて「本当にそうだ!」と思って、転職活動を開始して、2ヶ月で転職先が決まりました。
今では、同じようにやりがいがあって、賃金も相応にもらっているので、心身ともに余裕を持って働けています。
以上のエピソードから、私の伝えたいことは、「人生の貴重な3年間を、やりたくないことに費やすのはもったいない」ということです。ご自身の強みも確立されているようですから、それを活かした仕事をしたほうが、人生をトータルで見たときに「幸せな人生だった」と感じることができると思いますよ。
3行まとめ:入社3年未満での転職に迷う人への助言
- 3年未満、たとえ3ヶ月と在籍期間が短くても、転職はできる
- 在籍期間よりも、退職理由や主張に筋が通っていることが大事
- 現状で全力を尽くして、得られるものや可能性を探ってから考える
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