「転職したいけど、何の取り柄もない」と悩んでいませんか?入社してからずっと単純作業の一般事務をしていた人から、同じような相談をいただきました。
相談
転職したいのですが、何もアピールできることがなくて悩んでいます。今まで一般事務として、簡単な伝票整理などの業務をしてきました。
ですが、単純作業で給料も安い会社のため、もっと難しい仕事を任せてもらえて、給料も高い会社に転職がしたいです。
そこで、転職エージェントに登録してみました。面談に呼ばれて行ったのですが、次のような会話に行き着いてしまいました。
エージェント:今までの仕事を活かして、次にどんな仕事をしたいのですか?
私:もっと難しい仕事に挑戦したいです。これといってアピールできることは特にありません。
エージェント:何かないですかね?転職となると前職の経験が大事なんですよね。何か「これを頑張った」と言えるものはないですか?
私:しいて言えば、ミスなく取り組むように丁寧に作業したとかです。
エージェント:そうですか。もう少し今の仕事で身につけたことや、何か自己PRできることをまとめてきてもらってもいいですか?
という感じで面談は終わってしまいました。
そこで、休みの日に時間を作って自己分析をしてみました。正直、今の仕事は誰でもできるような単調な作業ばかりで、何もアピール材料になるようなものがありません。
専門知識もありませんし、資格もありませんし、役職にも付いてません。私の所属部署は私が一番の若手なので、後輩の指導なんてやる機会すらありませんでした。
これまでを振り返って、入社してから何も成長していない自分が悲しくなりました。こんな何の取り柄もない私が転職するにはどうすればいいのでしょうか?
(26歳♀/食品卸業/一般事務/新卒入社4年目/年収200万円~300万円未満/独身)
そこで、このページでは、人事・キャリア相談のプロ5名が、これまでのキャリア相談やアドバイス経験を活かして、「転職したけど取り柄がない」問題について、次のような内容で見解を述べていきます。
この回答をすべて読めば、自分のアピールポイントを作れたり、発見できて、転職活動を進められるようになるでしょう。
回答1:ハロートレーニングでスキルや資格をゲットする
回答者:小池(元・職業訓練校職員)
転職回数:2回
転職して今の状況から脱出したいものの、何も取り柄がない現状に足踏み状態のようですね。
今の状態で他の転職エージェントに頼ったり、自力で転職先を探したりしても時間の無駄になってしまう可能性が高くておすすめできません。まずはスキルアップや資格取得のために、ハロートレーニング(公共職業訓練)の受講をおすすめします。
ハロートレーニングとは、希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識を習得できる公的制度です。(参照:ハロートレーニング | 厚生労働省 | (2019/05/29閲覧) )
私が勤めていた職業訓練校にも、「何も取り柄がないからスキルを身につけるためにハロートレーニングを受講しています」という受講生がいました。
受講料は基本無料で、履歴書に経歴として書けて、交通費や通学手当も支給されて、興味のあるコースもあったので、「これなら頑張れるかも!」と思って受講を決意したそうです。
実際、ハロートレーニングでスキルを身につけて、資格も取得できた結果、無事にやりたい仕事に就くことができていました。
というわけで、ハロートレーニングを受講して、資格やスキルを身に付けてから転職活動をスタートしてみてください。自分がやりたい仕事を見つけて、そのための努力をした姿勢を見せれば転職活動もスムーズになりますよ。
回答2:前向きな視点に変えて自己分析をやり直す
回答者:澤井(元・人材コーディネーター)
転職回数:4回
少し厳しい言い方になりますが、この程度の意識では転職できません。本気でキャリアアップしたいのでしたら、もっと徹底的に自己分析をしてください。なぜなら、このままだと採用担当者に響く自己PRや志望動機を語ることができないからです。
人材派遣会社で勤務していたときに、同じような事例がありました。未経験OKの事務職の求人を出したのですが、正社員雇用が前提の求人だったこともあって応募者がとても多かったです。
ですが、面談をするとほとんどの人が「事務で正社員になれる」点に惹かれただけで、「なぜこの仕事をしたいと思ったのか」「自分のアピールできるポイントはどこか」を全く語ることができなかったのです。
そのような人には、「仕事で意識して取り組んできたことはありませんか?」とか、「これまでの仕事の経験から、今回の仕事に活かせると思う経験はありませんか?」とヒアリングします。
それでも「・・・ないです」としか答えられない人は、その時点で「紹介不可」の判断をしていました。
最終的に候補にあげた人は、一般事務経験が8年ある20代半ばの人でした。「あまり難しい仕事は経験していなくて・・・」と言って始まった面談でしたが、ヒアリングをしていくと、面接でアピールできそうな点がたくさんありました。
ルーティン業務が多かったけれど彼女なりに効率化を図ったり、周囲が働きやすいように考えて仕事をしてきた印象でした。ですが、本人はこれを自己PRや志望動機として語れることに気づいていないようでした。
そこで、「何もアピールすることがない」ではなくて、「何かアピールできる点はないか」という前向きな視点で自己分析をするようにアドバイスをしました。
後日改めて面談をすると、熱意の伝わる自己PRや志望動機をまとめてきてくれました。その後の面接の結果、彼女は見事に採用となりました。
ということで、もう一度、前向きな視点で自己分析をやり直してみてください。専門知識や資格、役職がなくても、真剣に仕事に取り組んでいたのならアピールできるポイントがあるはずです。
回答3:第三者との対話を通じて、自己分析を行う
回答者:すみおか(元人事マネージャー&キャリアコンサルタント)
転職回数:1回
キャリアアップを目指して転職するために、自己分析に取り組んだことは良いことですね。自己分析をしてもアピールポイントが見つからないようですが、自己分析は自分一人でやらないで、第三者の力を借りることをおすすめします。
なぜなら、自分の強みを自分一人で見つけることは難しいからです。ですが、第三者との対話を通じて経験の棚卸しをすると、自分では当たり前と思っていたことが使える能力だったと気づくことがよくあります。
私が講師をしている職業訓練校では、入校前に定型フォーマットで自己分析を行ないます。このとき訓練生の多くは、「今までの経験でアピールできることがない……」と、愕然とします。
ですが、就業支援の授業では、訓練生同士でこれまでのキャリアを言い合うワークがあります。
このワークで、「自分では当たり前に思っていたことが、実はアピールできる能力だった」「他人から認めてもらうことで、スキルに自信を持つことができた」と気づきを得る訓練生が多いです。
そこからは、気づいた強みを転職活動でアピールしたり、さらに強化するために資格を取ったりして、転職につなげていっています。
ということで、自分一人で自己分析するだけでなくて、第三者との対話を通じてこれまでの経験の棚卸しをしてみてください。そのために職業訓練校に通ってみるのもおすすめです。
回答4:20代なら取り柄がなくても、頑張る姿勢が伝われば転職可能
回答者:仲森(元人事&キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)
転職回数:7回
転職市場では、20代半ばくらいまでの若者の半数は「何も取り柄がない層」に分類されます。即戦力になるスキルや知識は、入社数年程度では身につかないからです。
採用担当者もそれは理解しているので、20代ならスキルよりもポテンシャルを重視して採用する企業が多いです。
そこで、私は転職エージェント時代に、20代の未経験(第二新卒)の人には、次の3つのことをアドバイスしていました。
1.すぐに行動する
少しでも興味を持った分野や会社のことはすぐに調べましょう。「何も取り柄がないから」「未経験だから」「知識がないから」という理由で何もしていないと、本当に「何も取り柄がない人」で終わってしまいます。すぐに行動する姿勢が大切です。
2.社風がマッチした会社にひたすら応募する
今回のように、「もっと難しい仕事をしたい」という転職理由なら、挑戦や困難に立ち向かう姿勢を歓迎する社風の会社にひたすら応募しましょう。
業界や職種に偏見を持たないで、「社風さえマッチしていれば応募する」くらいのスタンスでちょうど良いです。転職エージェントではなくて、自己応募型の転職サイトなら何社でも応募できます。
3.挑戦する姿勢を伝える
どんな小さなことでも良いので、何かに挑戦して成功したこと、失敗したこと、そこから学んだことをアピールします。20代で即戦力をアピールする必要はありません。採用担当には、「頑張ってくれそう」という姿勢が伝わったほうが評価は高いです。
もし、今まで率先して挑戦した経験がなかったとしたら、今すぐ意識して行動してみてください。
以上のように、20代なら「何も取り柄がない」と嘆く心配はありません。仕事への取り組み姿勢や前向きな気持ちを伝えて、転職活動に取り組んでみてください。
回答5:工夫したことや得意なことに自信を持つ
回答者:にひら(人事&キャリアコンサルタント)
転職回数:3回
「何も取り柄がないので、転職が難しい」とお考えなのですね。
「取り柄」というと、大きな経験や役職を書かなければいけないように思うかもしれませんが、そんなことはありません。業務中に工夫したことや、得意なことについて、自信を持ってまとめてみればよいのです。
私はキャリアカウンセラーとして20代の相談に乗ることが多いのですが、多くの人が「何も取り柄がない」「できることがない」と言います。
ですが、実際に話を聞いてみると、業務をする中で工夫をしてきたことや、人より得意なことが必ず出てきます。
例えば、企業で一般事務をしていたAさんの場合。専門スキルは全くありませんでしたが、お客さんの顔や特徴を記憶するのが得意でした。
来訪があると必ず相手の名前を呼んで、以前にやりとりした些細な内容を元に相手と会話をする、というさりげない気遣ができていました。
お客さんにも「Aさんすごくいいね」と、好評だったそうです。そんな彼女は、一般事務から、IT系の営業職に転職して、今ではトップ営業ウーマンになっています。
今回のご相談の場合、転職エージェントとのやりとりで、「ミスがないように丁寧に取り組んでいた」という言葉がありました。実際にミスが出なかったのでしたら、それは十分に他の仕事にも活かせるスキルです。
ぜひ、今まで意識してきたことや、得意なことを自信を持ってアピールしてみてください。
以上「転職したいけど、何も取り柄がない。どうすれば転職できる?」の回答でした。
あなたは、これらの回答を読んでどう思いましたか?記事下にあるコメント欄にてご意見をお聞かせください。
コメントを書く
この記事へのコメントはありません。