「転職しようか悩んでいるけど、相談は誰にしたらよいの?」と困っていませんか?
株式会社 日経BPが運営する「日経 xTECH(クロステック)」に、次のような記事が掲載されていました。
転職の「検索疲れ」に要注意、9人のリアルなコーチを作ろう
転職に関する質問への答えは、当人や応募企業の状況、景況感などによって異なります。ですから、ネットで的確な回答を得ようとしても難しい
理想は、転職経験者3人、意識の高い仕事仲間3人、そして人材エージェント3人の合計9人
3タイプの人材エージェントを集める
(引用:転職の「検索疲れ」に要注意、9人のリアルなコーチを作ろう | 日経 xTECH(クロステック) (2019年9月12日閲覧) )
結論を言うと、複数の意見を取り入れるべきですが、9人もの人に相談しなくても大丈夫です。そこで、このページでは、
- 元・人材コーディネーター
- 元・職業訓練校職員
- 人事&キャリアコンサルタント
- 元・採用/人事コンサルタント&転職エージェント
- 人事労務&キャリアカウンセラー
といった転職相談のプロ5名が、転職の相談相手について、次のような内容で見解を述べていきます。
この見解をすべて読めば、転職活動に迷うことなく、的確な相談相手が選べるようにようになるはずです。
それでは、転職相談のプロ5名の見解をじっくりとお読みください。
見解1:転職コーチは2人いれば、十分に転職活動の支えになる
回答者:澤井(元・人材コーディネーター)
転職回数:4回
転職の相談を誰にするのか迷ったときに、今回の記事にあるようにタイプの違う転職コーチにアドバイスをもらう方法はよいと思いました。
A:転職経験者
B:意識の高い仕事仲間
C:人材エージェント
C-1:業界に精通し、自分の能力を適切に評価してくれるエージェント
C-2:とにかく案件をどんどん紹介してくれるエージェント
C-3:人が良く、時間が合えば会って相談に乗ってくれるエージェント
とのことで、A~C全てのタイプの転職コーチがいるとベストですが、最低限「B」と「C-1」に当てはまるコーチが2人いれば十分です。
なぜなら、私は4回転職を経験しているのですが、転職の後押しをしてくれたのは、「B:意識の高い仕事仲間」と「C-1:業界に精通し、自分の能力を適切に評価してくれるエージェント」だったからです。
入社して1年で転職をするかどうか迷っていたとき、背中を押してくれたのは「B:意識の高い仕事仲間」でした。彼女は私よりも10歳年上で業界経験も長くて、転職経験者としてもアドバイスをしてくれました。
私が「もう1年頑張ってみてから転職しようか迷っているんです」と相談したところ、「今の会社で悩みながら1年頑張るよりも、内定をもらっている会社で1年働くほうが得るものが多いよ」と言ってもらえて、転職の決心がつきました。
また、残業が多い仕事に疲れてきたときに、「残業を減らしても、やりがいのある仕事ができますよ」とアドバイスしてくれたのは、「C-1:業界に精通し、自分の能力を適切に評価してくれる人材エージェント」でした。
当時、私は29歳で、もうすぐ30歳になる漠然とした焦りがありました。そんなときに、「今までの職務経験があれば、異業種・異職種への転職も可能ですよ」と言ってもらえて、自信をもって転職活動をすることができました。
ということで、9人の転職コーチがいるとベストですが、無理に9人見つけなくても大丈夫です。自分の気持ちに添ったアドバイスをくれるコーチを1人か2人でも見つけておくと、転職活動に行き詰まったときに支えになります。
見解2:9人は多すぎるけど、複数人への相談は転職活動をスムーズにする
回答者:小池(元・職業訓練校職員)
転職回数:2回
転職の相談相手に迷ったときには、複数の人に相談するのは効果的です。でも、9人は多すぎると思いました。ネットの情報を参考に転職活動をすると、
内容は千差万別で、どれを信じて良いのか分かりません
と書かれているように、9人もの相手に相談した結果、多くの意見があり過ぎて混乱してしまう可能性があるからです。
私が転職活動をしたときも、
- ハローワーク
- 転職エージェント
- 複数の友人
- 転職経験のある会社の先輩
に相談やアドバイスをもらっていました。多くの人がおすすめしてくれる方法が正解かと思っていましたが、1つの悩みに複数の違うアドバイスをもらって、どれが自分にとって良いか混乱したことがあります。
最も混乱したのは、寿退社での転職活動でした。たとえば、面接で「子供を持つ予定はありますか?」と質問されたときに、正直に「2、3年後には欲しい」と言っても大丈夫なのか相談してみました。すると、
- 正直に「すぐにでも欲しいです」言う
- 「子供の予定は今のところない」と言う
- 「子供は授かりものなのでわからない」と言う
- 「会社の慣習に従います」と言う
など、違った模範回答をアドバイスされました。それぞれ理由も聞きましたが、結局は自分が思う通りに正直に回答して転職に成功しました。
一方で、複数のリアルな「転職コーチ」に協力してもらうことはとても良いと思います。自分と違うコミュニティに属する人のアドバイスは、新しい発見ができて転職の参考になります。
実際、職業訓練校で転職相談に乗っていたときに、「そういう考え方もあるなんて知らなかったです」と言われたことがありました。
その人は、他の職員にも相談をしていて、「いろんな人に話を聞くと、新鮮な意見が聞けて参考になります」と言っていて、複数の意見を参考にしたことで、無事に転職しました。
このように、9人は多すぎですが、複数人の「転職コーチ」に協力してもらうことで、転職に成功しやすくなります。
私の感覚では、「ハローワーク」と「転職エージェント」に相談で十分だと思いました。友人や先輩も相談して良かったと思うことはありましたが、プロのアドバイスが一番的確だったと感じています。
見解3:「小規模エージェント」×「何でも話せる同僚」で解決
回答者:大山(人事&キャリアコンサルタント)
転職回数:4回
最初、この「9人のリアルなコーチを作ろう」というタイトルを見たときに「9人って多くない?転職活動中にそんなに多くの人とコミュニケーションとる時間ないでしょ」と思いました。
ですが、よくよく読んでみると、「タイミングと用途ごとに転職コーチを9人つける」という内容だったので、腹落ちしました。
転職活動のように、現職が忙しい最中に色々な決断しなければならないときは、相談できる人が多くいると心強いです。
私もこれまで4回の転職を経験していますが、いずれも人材紹介会社経由によるものでした。人材紹介会社を利用するメリットとして、
- 知らない会社の求人を紹介してもらえる
- 条件の交渉を代行してもらえる
といったものがあります。現職で忙しく働きながらも、効率的に転職活動を進められるので、非常に有効だと思います。
ただ、ひとつ注意が必要なのが、人材紹介会社も商売でやっていることです。企業に人材を入れてマージンを得るビジネスのため、企業寄りで仕事しているエージェントのほうが多いです。
そんな中で、私が転職の相談して助かったのが、次の2人でした。
1.商売は二の次で、親身になって相談できる小規模エージェント
商売は二の次の人材紹介会社をゼロから探すのはなかなか難しいです。ですが、大手ではなくて、小規模や個人の人材紹介会社でキャリアカウンセリングをしている人に多い印象です。
判断基準としては、初回の面談の開始早々に求人票を出さないキャリアコンサルタントは、求職者に寄り添っていると判断して良いと思います。
2.何でも話せる同僚
普段から仲良くしている同僚が、ポジティブに今後のキャリアを捉えていました。私の仕事における状況、スタンス、能力まで理解してくれている人でした。
特に、自分の軸がブレそうなときや、内定を複数もらって迷っていたときに、頼りになりました。話を聞いてもらうだけで、頭の中が整理されて、精神的にも非常に助けられました。
ということで、転職相談できるコーチを用意しておくのは必須ですが、私は「小規模の人材紹介会社」と「何でも話せる同僚」の2人で十分かなと思いました。あとは、色々な情報を踏まえて、自分でしっかり納得して決断するのみです。
見解4:転職相談は、人材エージェントと配偶者だけで十分
回答者:かんなべ(元・採用/人事コンサルタント&転職エージェント)
転職回数:2回
私の採用コンサルタント経験から言うと、転職の相談は人材エージェントと配偶者だけで十分だと思います。なぜなら、立場の異なる9人に相談をすると、かえって考えがまとまらなくなる可能性があるからです。
また、日経xTECHの記事では、「意識の高い仕事仲間は社内・社外どちらでも良い」と書かれていますが、社内の人や業界内の人に相談をするのはデメリットが大きいです。
社内の人に相談をすると、転職を考えていることをバラされてしまうリスクがあるからです。実際に、社内の人に相談をしたら転職検討がバレて仕事がやりにくくなった人や、引き留められて転職できくなかった人の相談に乗ったことがあります。
一方で、人材エージェントに相談すれば秘密が守られるうえ、市場価値と転職市場の動向から、自分がどのような求人に応募できるのかがわかります。
他にもキャリアプラン形成や転職の進め方など、転職に関する悩みを専門家の立場からアドバイスしてもらえるので、おすすめです。
それと、配偶者にも相談しておくことをおすすめします。転職は今後の経済面やライフステージプランに関わることです。転職を考えた早い段階で配偶者の了承を得ておくと、転職活動の応援してもらえますし、内定後もスムーズに転職先へ入社できます。
というわけで、転職の相談相手は人材エージェントと配偶者で十分です。社内の人に相談をすると、人事や上司に転職活動をしていることがバレるリスクがありますので、気をつけてほしいです。
見解5:転職活動の進め方を指導してくれるメンターに相談
回答者:中川(人事労務&キャリアカウンセラー)
転職回数:1回
転職コーチは9人もいらないと思いました。転職について自分で考えて進められる人なら、仕事を紹介してくれるエージェントが1人いれば充分です。
一方、転職が初めてだったり、どこへ転職すればよいのか迷っていたりする人は、仕事を紹介してくれるエージェントの他にメンターが1人必要です。
ここで言う「メンター」とは、純粋に転職の相談に乗ってくれたり、アドバイスしてくれる人のことです。「キャリアカウンセラー」「キャリアコンサルタント」などプロの人がおすすめです。今回の日経×TECHの記事に挙がっていた、
人が良く、時間が合えば会って相談に乗ってくれる
に該当する転職エージェントがこの役割を担ってくれる場合もあります。転職に迷ったときは、このメンターから具体的な転職の進め方を提示してもらうのです。
キャリアカウンセラーの資格を持つ私は、以前、知人の20代の男性に転職の相談をされました。彼は、「仕事の拘束時間が長いわりに、給与が低い」という理由で転職を検討していました。
ですが、なかなか今の会社を辞める決断ができなくて、転職に踏み切れずにいました。話を聞いてみると、大手の転職エージェントに登録したものの、求人の紹介ばかりだったそうです。
求人紹介の前に、次の会社に転職するまでのプロセスがはっきりしていないことが、転職に踏み切れない原因だとわかりました。
そこで、具体的な転職の進め方を提示したところ、ゴールが明確になって「転職を決断することができました!」と、会社を辞める決心がついたようでした。
その後は、転職エージェントに紹介された求人に応募して、定期的に私にも選考の進捗を報告してもらいました。結果として、拘束時間が少なくて、給与もアップできる会社に転職することができました。
このように、転職コーチを9人もつくらなくても、思った通りの転職は可能です。大事なことは、転職相談がメインのメンターを1人みつけて、進むべき道を示してもらうことです。
以上「転職の相談は誰にするべき?「転職コーチ」 は9人も必要?」の見解でした。
あなたは、これらの見解を読んでどう思いましたか?記事下にあるコメント欄やSNSにてご意見をお聞かせください。
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