「会社の方針に納得がいかないから転職しようか」「会社の方針が変わるまで今の会社で我慢するか」と、迷っていませんか?同じように、会社の方針についていけなくなった人から、こんな相談をいただきました。
相談
先日、部署の部長から「大事な話がある」とのことで、部署全員が会議室に呼ばれました。「会社の方針が変わって、(自分が所属している)営業の部署が、部署ごとグループ会社に移管されることになった」とのことでした。
すぐに移管するのではなくて、「半年の猶予を設けてから」との話なので、ひとまず移管先の会社について調べてみました。すると、今いる会社よりも明らかに給与水準が低いことがわかりました。福利厚生などの待遇面も悪いです。
口コミサイトも見てみたのですが、あまりいい評判がありませんでした。移管というより「左遷」のような状況です。
部長に「給与の補填はしてくれないのですか?」と聞いたのですが、「人事に希望は伝えるけど、難しいと思う。他のみんなも同じだから……」という回答しかしてもらえなくて、会社の方針についていけないです。
新卒で自分の希望どおり入社できた会社なので、定年まで働き続けるつもりで一生懸命働いてきました。ですが、待遇の悪いグループ会社に左遷になるなら、まったく別の会社に転職したほうがいいのではと思い始めています。
まだ半年の猶予があるのですが、このまま今の会社にとどまってグループ会社で働き続けるか、それとも転職活動を始めるべきか、後悔しない選択はどちらか教えてください。
[30歳♂/システム構築/営業/新卒入社7年目/年収400万円~500万円未満/既婚(子なし)]
実は、会社の方針についていけなくなったときの選択肢は、「転職」一択なのです。転職のしやすさでも、仕事へのモチベーションでも、時期を遅らせるとマイナスに働くからです。
そこで、このページでは、人事・キャリア相談のプロ5名が、採用担当の立場や実際に同じ境遇に遭った知人のリアルな体験談を通して、会社の方針についていけなくなったときに取るべき行動について、次のような内容で見解を述べていきます。
この回答をすべて読めば、スムーズに転職活動を進められて、納得のいく会社に転職できる確率がアップするはずです。
回答1:会社の方針転換が理由なら、すぐに転職活動を始める
回答者:すみおか(元人事マネージャー&キャリアコンサルタント)
転職回数:1回
希望した会社で長く働くつもりで一生懸命頑張ってきたのに、部署がグループ移管されて待遇が悪くなることはとても納得がいかないですね。待遇が悪くなるのであれば、移管前に転職活動を始めることをおすすめします。理由は2つあります。
1.納得いかない労働環境では、いずれ転職する可能性が高いから
給与や福利厚生などの待遇に納得できない環境で働くことは、大きなストレスになります。いつかは耐えられなくなって、結局は転職をする可能性が高いです。
2.外部環境が退職理由なら、マイナス評価にならないから
私が人事マネージャーをしていたとき、面接では必ずと言っていいほど退職理由を聞いていました。退職理由の回答次第で、「すぐに辞めないか」を見極めます。
このときの退職理由が、人間関係などの個人的な理由ではなくて、会社の方針変更など外部環境の変化の場合は「それは仕方がない」と判断して、マイナス評価にはしませんでした。
今回の相談者さんのように、勤めていた会社が統廃合によって労働環境が悪化した場合には、正当性のある退職理由になります。
ですが、統廃合から時間が経ってしまうと、環境変化が退職理由にならなくなってしまいます。そのため、猶予期間を利用して転職活動をすることはとても有効です。
ということで、会社の方針転換が原因で会社を辞めたくなった場合は、会社の環境変化を転職理由にして、今のうちから転職活動を始めることをおすすめします。
回答2:会社都合の収入減はストレスのもと。今のうちに転職する
回答者:小池(元・職業訓練校職員)
転職回数:2回
会社の方針による移管で、思いもよらぬ減給になってしまうことに不満があるようですね。私なら、半年の猶予のうちに転職に踏み切ります。
というのも、私は会社の都合によるジョブローテーションで総合職のプログラマから一般職の事務になった経験があります。総合職と一般職では給与がかなり違いました。
収入が減ってからは、総合職の時に確立していた生活水準を落とすのに苦労しました。手取りの収入にしては割高になった家賃も苦しくて、貯金がほとんどできない状態でした。
残業や休出代、ボーナスを含めても総合職時代の年収には届かないことにストレスも溜まりました。会社都合とは言え、同意して職種転換したので、自分の浅はかさに残念な思いをしました。
収入は生活に直結します。「会社の方針についていけない」と思ったまま、頑張って働いてもストレスが溜まる一方です。それに終身雇用制度は今後どれだけ続くかわからない世の中です。我慢して残っても、定年まで勤められるとも限りません。
ということで、意志に反した収入減はかなりストレスが溜まります。移管までの半年のうちに、納得のいく収入が得られる会社に転職をすることをおすすめします。
回答3:転職活動を通じて、自分の可能性と方向性を探ってみる
回答者:仲森(元人事&キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)
転職回数:7回
まずは、試しに転職活動してみてることをおすすめします。自分がどのような会社で必要とされるのか、どんな働き方が自分にとって望ましいのか、判断の手助けになるからです。
キャリアアドバイザーの視点で見ると、今の考えで「定年まで働きたい」と思った会社の面接を受けても、苦戦すると思いました。というのは、長い目で見れば会社の方針が変わっていくのは当然だからです。
会社の方針が変わるたびに、「ついていけない」と言って転職を繰り返す人と見られてしまうと、どんなに秀でたスキルをお持ちでも、「採用は見送ったほうが良い」と判断されてしまいます。
従業員を大切にしている会社であるほど、すぐに転職しそうな人は採用されにくいです。
逆に、スキル重視の採用で、従業員を使い捨てするような会社なら、内定は出ると思います。でも、それはその場しのぎ転職であって、問題を先送りしただけです。もし、次の会社で同じような方針転換があったら、また転職することになってしまいます。
そのため、この半年の間に「どんな環境が自分にとって望ましいのか」をもう一度よく考えてみてください。その過程で転職活動を行えば、自分の考えを整理しつつ、現職にとどまる以外の道も拓けるので、一石二鳥です。
最後にひとつ言わせてください。「後悔しない選択」なんてありません。自分で選んだ選択を正解にするために、努力を続けるしかないです。「自分の人生は自分で責任を取る」という考えを持たないと、どちらを選んでも後悔することになってしまいますよ。
回答4:思い切って転職したほうが満足度は高いはず
回答者:澤井(元・人材コーディネーター)
転職回数:4回
待遇が悪くなっても移管先の会社で働くのか、転職すべきか迷っているのですね。年齢や勤続年数、これまでの仕事への姿勢を伺うと、思い切って転職をしてみてもよいと思います。
なぜなら、人生で働ける期間は決まっているので、「やっぱりあのとき転職すればよかった」とやらずに後悔するより、覚悟を決めてチャレンジしたほうが満足度が高いと思うからです。
知人の話ですが、中途入社して3年経ったときに営業所の撤退が決まって、本社へ来ないかと打診を受けたそうです。
予想外のタイミングで本社勤務の話が舞い込んできて迷ったものの、ちょうどUターンを考え始めていた時期だったこともあって、本社勤務を断って退職をしました。
その後、地元に戻って転職活動をした結果、前職よりも将来性のある業界で待遇もよい会社に転職が決まりました。ちなみに、知人が転職に成功したポイントは以下の3点だと思いました。
1.気持ちにブレがなかった
「本社勤務よりも、Uターンして地元で働きたい」という気持ちにブレがなくて、「やっぱりあのとき本社に行けばよかった」と思ったことは、一度もなかったそうです。
2.諦めなかった
実は、納得のいく転職先が決まるまでつなぎで仕事をしていた期間があったそうです。でも、「この仕事はあくまでつなぎ」と割り切って、すぐに良い転職先が見つからなくても転職活動は続けていたそうです。
3.自己分析ができていた
「就活でやるような自己分析シートを使って自己分析したわけではない」と言っていましたが、自分のやりたいことやできることを客観的に把握しているなと思いました。
ということで、「移管先の会社よりも待遇の良い会社に転職する!」と目標を掲げて、転職活動をしてみることをおすすめします。
回答5:会社の方針を個人が変えるのは無理。ついていけないなら転職
回答者:にひら(人事&キャリアコンサルタント)
転職回数:3回
急に会社に方針転換をされると、本当に困りますよね。「会社の方針についていけない」と感じるのなら、転職することをおすすめします。いち社員が会社の方針を変えることはできないので、納得がいかないなら会社を変えるしかありません。
私も、新卒で入った全国規模の旅行会社で同じような経験があります。入社から半年後に急に支店長から呼び出されて、こう言われました。
「会社を分社化することになった。今あなたは個人旅行部門を担当していて群馬県にいるので、近くの東北エリア限定勤務の個人旅行専門の会社にいくことになる」
私は元々東京エリアでの勤務、かつ、法人営業を希望していました。そのため、「なんとか法人部門がある本社に異動させてもらえませんか?」と支店長にも人事にも掛け合いました。
ですが、「会社の方針だし、あなただけ特別扱いはできない。諦めてください」と断られてしまいました。
なので、分社化されるまでの半年の間に転職活動をして、自分がやりたい仕事ができる会社に転職をしました。
このように、会社が方針を変えるのは非常に大きなことで、個人で訴えかけても変わるものではありません。そのため、会社の方針で決まった待遇に納得ができないのでしたら、納得のできる会社へ転職したほうがよいです。
以上「会社の方針についていけない。我慢するか転職するか、正解はどっち?」の回答でした。
あなたは、これらの回答を読んでどう思いましたか?記事下にあるコメント欄にてご意見をお聞かせください。
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