今回は「未経験職種への転職だと書類選考で落とされる」という悩みにお答えします。
ファッションデザイナーから、事務職(未経験職種)への転職を考えています。主に転職サイトで仕事を探しているのですが、転職サイト内に登録している前職までの職務経歴で書類選考が行なわれる企業が多くて、書類選考が全く通らずに面接まで辿り着けません。
ハローワークでも同じように書類選考のある企業が多くて、履歴書と職務経歴書を送っても書類選考で落ちて返送されてきます。話すことは得意なので、面接に辿り着ければ採用してもらえるチャンスはあると思っているのですが、面接すらしてもらえないので途方に暮れています。
私はファッション系の専門学校までしか出ていなくて、前職でも事務作業はほとんどしたことがありません。未経験職種への転職でも書類選考が通るにはどうしたら良いのでしょうか?
[相談者:24歳女性/婦人服の製造・卸売/ファッションデザイナー/入社4年目]
回答1:必要スキルを満たしているか、職種&会社の志望動機が明確かをチェック
人事&キャリアコンサルタント・にひらです。私は面接官として年間100名以上の履歴書を見ていますが、書類でお断りをする場合には、大きく分けて2つ理由があります。
1.明記している必要スキル・経験を満たしていない
求人票を見た時に「必要スキル・経験」の欄はチェックしていますか?企業は採用を効率的に行ないたいため、最低限必要なスキルや経験についてはここに記載をしています。そして、要件を満たしていない場合、よほどの理由がない限り落とします。
なので、まずは「必要スキル・経験」の欄をしっかり確認して、応募資格があるのか、確実に確認してください。
2.なぜ、この仕事をしたいのか、この会社に入りたいのか根拠が見えない
未経験にも関わらず事務職になりたい理由は何でしょうか?また、事務職といっても人事、経理、総務、など色々な種類がありますが、何をやりたいですか?ここがはっきりしていないと、採用する側としては「単に『事務』というイメージだけでやりたいと言っているのだろうな」と感じて、会いたいとは思いません。
また、未経験であっても、何かしら近い経験や、事務の仕事に就くために努力したことはありませんか?履歴書・職務経歴書は、相手に自分が採用する価値があると思ってもらうきっかけの書類です。
事務の仕事に就きたいと考えるなら、自分が事務に向いている根拠、もしくはそのために努力したことをアピールする内容が書いていないと、魅力的には感じません。
例えば未経験でも、
レジを任された際に、商品の売れ行きの傾向を分析することが面白いと感じました。それをきっかけに経理の仕事に就きたいと思い、簿記2級を取得しました。
……と書いてあれば、非常に興味を惹かれます。
そして、応募する企業のことを調べて入社したい理由を明記しているかどうかも重要です。選考する側としては、「なぜ自分の会社に入りたいのか」の理由が欲しいです。そこに「事務職になりたいからです」といった理由だけしか書かれていなければ、「では、うちでなくても良いですね」と感じて、面接には進めません。
そんなわけで、「必要スキル・経験を満たしているにも関わらず、全く書類が通らない」ということでしたら、未経験でもその職種につきたい理由、今までの経験の中でその職種に活かせる能力、志望動機。この3つが書類から選考担当者に伝わっているか、今一度チェックしてみてください。
回答2:採用担当者の目線の履歴書・職務経歴書に変える
元・人材コーディネーターの澤井です。新しい職種へのチャレンジ、ワクワクしますね!
書類選考が通らないのは、採用担当者にとって魅力的な履歴書・職務経歴書ではないからです。履歴書・職務経歴書は、志望する業種・職種によって書き方を変える必要があります。「変える」といっても嘘を書くわけではなくて、「表現」を変えるのです。
私が人材コーディネーターとして派遣登録面談をしていたときも、派遣先に提出する職歴シートはその人の強みをアピールできるように、特に力を入れて作成していました。力を入れるポイントを今からお教えします。
まず、これまでの職務経験をなるべく細かく書き出します。そこから事務職にも通じる職務経験がないか考えます。前職では事務作業の経験がほとんどないようですが、事務職に転職を希望するのでしたら、無理矢理でも探しましょう。電話対応や来客対応、備品発注でも大丈夫です。
そして、職務経験は事務職に活かせる職務として書きます。例えば、「書類作成」も「書類作成(Word・Excel使用)」と書くだけで印象が違います。全くパソコンを使っていなかった場合は、「DM送付(手書きで毎月100件ほど)」と業務量をつけ加えると、事務職でも活かせる職務として採用担当者がイメージできます。
履歴書の志望動機も、もう一度見直してみましょう。なぜ事務職へ転職したいのか、採用担当者が納得できる志望動機を考えてみてください。ただなんとなく「事務職がいいな」ぐらいの志望動機では採用担当者の心に響きません。面接対策を兼ねて自己分析をし直してみるのもおすすめです。
また、基本的なことですが、履歴書の写真はスーツを着たビジネス仕様のものを使ってくださいね!茶髪、派手なメイクはNGです。
書類選考突破のカギは、「会ってみたい!」と思わせる履歴書・職務経歴書を作成することです。「自分が採用担当者だったらどのような書類を魅力的だと感じるか」を考えながら、履歴書・職務経歴書に書く「表現」を変えてみてください。
回答3:「入社時期」と「やる気・熱意」をアピールする
人事、労務、法務責任者・まつしたです。世間では「人手不足」と言われていますが、厚生労働省の資料をみると、事務職の有効求人倍率は、わずか0.3~0.5倍です。(参照:職業安定業務統計|厚生労働省)
これは、「応募者2~3人のうち1人しか採用されない」ということで、業務的に安定していて長く働く人が多い事務職は、特に「人気が高い職種」と言えます。
さらに、中途採用の場合は即戦力を重視するので、たくさんの応募が集まる中で、実務経験がなくてなかなか面接までいけないのは、仕方がないことです。
では、「実務経験がないと、働きたい仕事ができないのか?」と言うと、そうとも言い切れません。採用担当者が、実務経験と同じくらい重視していることが2つあります。
1.いつ来てくれるか
実は、「いつ来てくれるか」は重要な要素です。事務職の中途募集の場合、欠員の補充が多くて、前任者からの引き継ぎ期間も考えると、できるだけ早く来てくれる人を優先するからです。なので、在職中であれば、履歴書に「いつ退職できるか」を必ず書いてください。
2.「やる気」や「熱意」
相談者様は専門学校へ行って、デザイナーという華やかな職業に就いています。「デザイナーから事務職に就きたい」と考えるには、それなりの理由があるはずです。少なくとも採用担当者はそう考えて、「どのくらい真剣に考えているのだろうか」と応募書類から読み取ろうとします。
実務経験をカバーする意味でも、例えば、
- 今の仕事の合間に事務系のスクールに通う
- WordやExcelに関する資格を取得する
- タイピング検定を受ける
といったことをしていたら、前向きな印象を与えることができます。応募書類からこのような「事務職に就きたい!」という「やる気」や「熱意」が伝わっていない可能性があります。
「実務経験はないけど、一度会ってみて話を聞いてみたい」
書類選考を通過するためには、採用担当者にそう思ってもらえるような書類に仕上げる必要があります。
ちなみに、「転職サイトを活用している」とのことですが、「転職エージェント」だと、キャリアカウンセラーから自分の強みや選考書類の書き方のアドバイスを受けられるので、一度活用してみるのもおすすめです。
ということで、実務経験がない職種の書類選考を突破するには、採用担当者が「会ってみたい!」と思うように、「入社時期」や「やる気」をしっかり盛り込むことがポイントです。
回答4:書類通過率を上げる3つのポイントを盛り込む
人材サービス業務歴20年以上の勝山です。書類選考が通らない理由はたった一つです。履歴書、職務経歴書が、採用担当者にとって魅力的な内容ではないからです。そこで、書類を魅力的な内容にして通過率を上げるためのポイントを3つお伝えしますね。
1.履歴書の写真から「応募者はどんな人なのか?」が伝わること
採用担当者はあなたのことを知りません。最初にあなたに会うのは履歴書の「写真」です。なので、身だしなみを整えて、清潔感を出して、明るくハツラツとした印象の映りの良い写真を貼ってください。
書類選考であっても、第一印象は非常に大切です。自分が採用担当者になったつもりで、自分の写真を見てみてください。担当者は写真から受けた印象をもとに、他の部分を読み進めます。
2.志望動機から「応募している会社で何がしたいのか?」が伝わること
自分がその会社に入って何がやりたいのかをキチンと書いてください。そのためには応募企業の特徴や事業内容を知った上で、どこに共感できるのかを考える必要があります。
一般的に20代の応募者の場合、これまでの経験よりも、「積極性・成長性・誠実さ・ビジネスマナー」などを重視されます。
「私は貴社の〇〇に興味を持ち、〇〇がしたいです。なぜなら~」と、「入社したい!」という熱意が伝わる志望動機を書いてください。会社に溶け込み、学ぼうとする姿勢が見えれば、好感を持ってもらえます。
3.職務経歴書で「自分の売り込み」ができていること
職務経歴書で重要なポイントは、「自己PR」です。自分がいかに応募企業に貢献できるのかを、これまでの経歴をもとにアピールしてください。
また、「希望職種は事務」とのことですが、営業事務や経理事務、貿易事務など同じ事務職でも必要となる知識が違います。なので、事務の内容に合った知識を前向きに吸収できるエピソードを書いてみましょう。
他にも、事務には不可欠のパソコンスキルや、資格取得の意欲を見せるのも良いですね。
以上の3点に盛り込んで、採用担当者が「会ってみたい!」と思うような書類を作ってみてください。写真で惹きつけて、「前向きな気持ち」と「学ぼうとする姿勢」が見えれば、書類通過する企業は増えますよ。
回答5:事実を羅列した職務経歴書ではNG。別紙が必要
元人事&キャリア・ディベロップメント・アドバイザーの仲森です。一般的に、事務系職種の採用人数は、大半が1名、多くても2名程度です。「未経験」と書かれているとハードルが低そうに思えますが、狭き門なのです。
事務系職種は、派遣やアルバイトにお任せしたり、アウトソーシングで対応している企業も増えているので、今のご時世では希少な求人です。未経験可ならなおさらです。なので、実務経験の有無関係なく、多くの人が応募するのも珍しくありません。
採用担当者も、複数の仕事を並行して進めていることが多い中で、全員と面接することは困難です。仮に20名が応募したとしても、多くても5名~10名程度の面接を行なって、それ以外の人は書類選考でお見送りとなってしまいます。
つまり、未経験可の募集であっても、有利に進むとは限らないので、書類選考において他の人よりもあなたに「会ってみたい!」と思ってもらえるように、工夫した履歴書や職務経歴書を用意する必要があります。
そこで、職務経歴書を単に事実の羅列のみの味気ないものではなくて、別紙を用意して志望動機や己PRを記載することをおすすめします。
未経験職種は、実務経験よりも志望理由や社風とのマッチング、将来の上司やチームとの相性を重視しています。応募する企業で事務職として働きたい想いを別紙で熱くアピールしてください。
また、これまでのデザイナーという職種からは、ワード、エクセル、パワーポイントといったPCスキルは見えづらいです。
なので、ワードであれば「用紙サイズ、文字数の設定は可能」、エクセルであれば「簡単な関数、四則計算は可能」でも何でもいいので、具体的なPCスキルを必ず記載して、採用担当者に「会ってみたい!」と思わせる工夫を重ねてみてください。
ちなみに、「面接にたどり着けば内定が取れる」とお考えのようですが、客観的に見て、ある程度の納得感が得られるような志望理由でないと、面接でも落とされてしまいます。ファッションデザイナーから事務職への志望理由も明確にしておく必要がありますよ。
ということで、事実の羅列だけの職務経歴書を書いているようでしたら、応募する企業の事務職で働きたい理由、社風にマッチした人物である理由を「別紙」に書いて熱くアピールしてみてください。
回答6:職業訓練や資格取得で経験者との差を縮める
元・職業訓練校職員の小池です。異業種への転職活動お疲れ様です。私が職業訓練校にいたときに感じていたのですが、事務経験者はもちろん、異業種から未経験で事務職に転職希望する人がとてもたくさんいました。
なので、書類選考を通過するには、相談者さんの魅力がライバルに負けないように、履歴書や職務経歴書でしっかりとアピールされている必要があります。応募書類は商品のPOP(スーパーで見かける商品の紹介文)のようなもので、見たら会いたくなるような内容にしなければなりません。
特に、自身の強みが「応募する業務の内容に合っている」とアピールできれば、採用担当者が「会ってみたい」と思う確率も上がります。
一番わかりやすくてアピールしやすいのは、資格を取得することです。「事務」と言っても業務内容は様々なので、経理事務なら簿記2級以上、営業事務ならMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)など、事務の現場で活かせる資格を履歴書の志望動機欄や職務経歴書のアピール欄に記入すると印象もアップします。
多くの企業で経験者が優先的に採用されている裏には、教育期間やコストが大幅にカットできる利点があるからです。資格も持っていない未経験者では、教育期間やコストがたくさん必要な時点で差が付けられてしまいます。
そこで、この差を縮めるために、「ハロートレーニング(職業訓練)」を受けることもおすすめします!ハロートレーニングとは、希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識などを習得することができる公的制度です。(参照:ハロートレーニング |厚生労働省)
受講料は基本無料で、交通費や通学手当も支給されます。また、転職の相談から、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策までしてもらえます。付け焼刃ではなくしっかりと知識やスキルを身に着けてから応募することで、企業が必要としている人材として採用担者の目に留まるができます!
このように、職種に合わせた資格やスキルを身に着けて強みにすることで、未経験職種でも書類選考を突破して、面接までたどりつく確率がグンと上がるはずですよ。
回答7:「今までのスキル」ではなくて「ラブレター」を書く
臨床心理士の佐藤です。履歴書や職務経歴書は、単に今までのスキルを伝えるものではありません。一目惚れした相手へのラブレターのようなものです。
ラブレターに自分のことばかり書いても、相手に好きになってもらうのは無理な話ですよね。「どうして好きになったのか」「自分と付き合うとどんなメリットがあるか」など伝えて、相手に少しでも自分に興味を持ってもらえるよう努力すると思います。
履歴書にも志望動機を書く欄がありますよね。そこに「どうしてその企業の事務職でなければいけないか」をしっかり書けていますか?「別に他の人(企業)でもいいんだけど、恋人(事務職)が必要だからとりあえず付き合って」という告白は通用しません。すぐ振られます。
また、「一緒にいられれば友達(他の職種)でもいいんだけど、恋人(事務職)のほうがなんとなく安定してるから恋人(事務職)になりたい」という曖昧な態度もNGです。
「絶対に恋人(事務職)になりたいんです!」「あなた(応募した企業)でなければダメなんです!」というアピールをいかにできるかが、書類選考を通過する鍵になります。
相談者様は事務職にこだわりがあるようですので、まずは「どうして事務職になりたいか」を文字で書き起こしてみましょう。
事務職への動機がはっきりしたら、企業へのアピール対策をします。本音は「事務職として受かればどこでもいい」でもいいのです。でも、企業の立場からすれば「あなたでないとダメなんです!」と言ってくれる人と長く付き合いたいのは当然ですよね。
だからこそ、応募する企業のことを調べてください。今はインターネットですぐに情報を得られる時代です。その検索も怠ってしまうと、「情熱はその程度」と取られてしまいます。
そんなわけで、今までに事務経験がなくても、企業に向けて「愛のこもったラブレター」を書けていれば、書類選考も通過できるようになりますよ。
3行まとめ:未経験職種でも書類選考を通過する方法
- 「なぜ、その仕事なのか」「なぜ、その会社なのか」を別紙で熱く語る
- やる気、前向きな気持ち、学ぶ姿勢をアピールする
- スキルや資格を身につけて、担当者に「会ってみたい」と思わせる
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