今回は「医療事務のクレーム対応がつらくて仕事が続かない」という悩みにお答えします。
私の仕事は医療事務で、患者さんの受付業務がメインです。900床以上ある総合病院なので、1週間のうち最低でも3~4人は怒っている患者さんと遭遇してしまいます。
私の精神力、忍耐力の弱さが原因なのは重々承知していますが、患者さんのクレーム対応をすると精神的にかなりへこんでしまいます。
クレーム対応に当たるたびに、「つらい。もうやめてしまおう」と思ってしまいます。でも、前働いていた病院でも、医師からのクレームや八つ当たりに耐えられずに辞めてしまった過去があります。このままでは病院での仕事自体が続かないのかなと感じています。
どうしたら、患者さんのクレーム対応や、医師からの八つ当たりを受けても強い気持ちを持って、平常心で仕事ができるのでしょうか?
[相談者:みあ/25歳女性/医療関連/医療事務/入社1年目]
回答1:「自分が責められている」と思わないで、クレーム内容に集中する
医療事務は医師・看護師と患者さんの間に挟まれるので、かなりストレスフルな職場環境ですよね。そんな環境でのクレーム対応は精神的にこたえると思いますが、「私自身が責められているわけではない」と心の中で唱えながら、患者さんが怒っている態度に動揺しないで、クレーム内容に意識を集中させてみてください。
私が以前、病院にスタッフを派遣していたときにも、同じような相談をよく受けていました。悩みを持つ人たちは、根が真面目だったり、優しい人が多くて、「自分に至らない点があったのではないか」と真に受けすぎてしまうのです。
ですので、「病院の代表としてクレームを受けているのであって、あなた自身に文句を言っているわけではないんですよ」とよくお話していました。医師からの八つ当たりも同様です。
相談者さま自身に文句を言っているわけではありません。このことに意外と気づいていない人が多くて、教えてあげるだけで気持ちが軽くなる人も多かったです。
クレームの内容に意識を集中させることで、話を客観的に聞くことができます。今までは怒っている患者さんの剣幕に圧倒されて焦りっぱなしだったのが、「病院として対応に落ち度はなかったのか」「自分が改善できることはないか」と改善策を考えられるようになります。
頻繁に受けるクレームがあれば、自分なりにまとめて上司に報告することで、病院全体の改善にも繋がりますね。クレーム対応も気持ちの持ち方次第で、それほど苦ではなくなるはずです。
ということで、怒っている患者さんの態度に焦らないで、冷静にクレーム対応に臨んでみてください。クレーム対応から学ぶこともたくさんありますよ!
回答2:聞き上手のふりをして、要点以外は聞き流していい
元・職業訓練校職員の小池です。
苦手なクレーム対応が週に何回もあって、ずいぶん気が滅入っているようですね。私が営業事務の仕事をしていたときも、同じくクレーム対応が苦手でした。なので、クレーム対応について先輩社員からコツを聞いたり、図書館で本を借りたり、インターネットで調べるなどして勉強していました。
今回は、そんな私から、クレーム対応で気が滅入らない3つのコツを伝授します!
1.相手が言い切るまで話を遮らない
クレームを入れる人は、言いたいことや訴えたいことがあるから、熱心に自分の意見を怒りと共に発信しています。クレームの中には、人間の手ではどうしようもないこともあったりしますが、話を遮らずに相槌を打ちながら聞く姿勢を見せることが、相手の怒りを爆発させないコツです。
2.要点だけを頭に入れて、他は聞き流す
クレームや八つ当たりの話をじっくり聞いたり、怒りの感情やトゲのある言葉を言われるがままに受け取る必要は、ありません!「相手は何を言いたいのか」「何を要求しているのか」のみに集中して、それ以外はすべて聞き流してしまって構わないのです。
3.小さな目標と「やる気スイッチ」を作って乗り越える
以前、人見知りを克服した人はみんなやっている!デキる社会人の「人見知り仕事術」でもお話したことですが、小さなきっかけを、やる気の起点にしてみてください。例えば、「怒っている人が来るのが見えたら、深呼吸をする」というような小さなことでいいので、自分で「やる気スイッチ」を作って押すのです。
「今日は、この怒っている人の対応を頑張ろう」という小さな目標を作って、「やる気スイッチ」を押して乗り越えて、を繰り返すことで、苦手意識もやわらいできます。
このように、クレーム対応をするときは、自分なりの「やる気スイッチ」を押して、相手の話を遮らずに「何を言いたいのか」に集中して、聞く姿勢を見せてください。そうすることで、立派な「聞き上手のふり」ができます。
そして、不要な部分(怒りに任せた辛らつな言葉など)を聞き流すことを繰り返せば、滅入ることも減って、クレームや八つ当たりに心が左右されなくなるはずです!
回答3:相手の話に心の中で「と、あなたは思うんですね」を付け加える
臨床心理士の佐藤です。
クレームや八つ当たりをする人は非常に自信のない人です。「弱い犬ほどよく吠える」ということわざがありますが、クレームを入れる人の心は弱いワンちゃんレベルなのです。
そのため、ちょっとでも自分が傷つきそうになると「自分のせいじゃない!」と大声で表現しないと、自分を守れなくなりそうで怖いのです。
そんなクレームや八つ当たりを受けてへこんだり、しんどくなったりするのは、本望ではないですよね。なので、クレーム対応や八つ当たりの言葉は聞くふりをして、心の中では自分を守ることだけに集中してください。
自分を守るには、「と、あなたは思うんですね」と心の中で付け加えるのが有効です。そうすることで、相手の考えや感情に巻き込まれないで、自分と相手との間に距離を置くことができます。
この方法は、カウンセラーが話を聴くときに、相手の考えに呑み込まれずに、中立の立場を守るために使うテクニックの1つでもあります。
というわけで、クレームや八つ当たりを言い募られたら、心の中で「と、あなたは思うんですね」を付け加えて、相手の問題を引き受けないことをおすすめします。
回答4:私がクレーム対応で「感謝の気持ち」を抱ける理由
クレームが続くと確かに気が滅入りますよね。だれもがクレームには遭遇したくないと思ってるはずです。クレームを受けた際は、まるで外れくじを引いた気持ちになります。
でも、実は私はクレーム対応が嫌いではないんです。うまく終えられたときは、他の仕事とは違う達成感を味わうことができるからです。今回は、そんな私がクレーム対応の際に心掛けている3つの手順をご紹介します。
1.話を「聴く」
まず、話を聴きます。「聞く」のではなく、耳を傾けて「聴く」のです。言い訳をしないで、相手の気持ちになって、「なぜ、この人は怒っているのだろうか?」と真剣に考えます。そうすると、相手の気持ちや期待が見えてきます。
自分の言いたいことを一通り話すと、「話を聞いてくれてすっきりした。ありがとう」と落ち着く人も多くいます。
2.謝る
次に、期待を裏切ったことを謝ります。クレームの裏側にある、「こうしてほしい、ああしてほしい」という期待を裏切ったことに対して、ひたすら詫びます。
3.感謝する
最後に、「ご指摘いただき、ありがとうございます」と感謝を伝えます。サービスや対応に不満を持っているお客様の中でも、実際にクレームを入れる人は一握りしかいません。つまり、クレームはお客様の不満を明らかにして、改善を図るチャンスでもあるわけです。
なので、「クレームを言ってくれる人の存在は、ありがたい」と思って、「わざわざ言いにくいことを、おっしゃっていただきありがとうございます」と気持ちを込めて感謝を伝えます。
このように、相手の話に耳を傾けて気持ちに寄り添うことで、相手の怒りも収まってきます。私は、クレーム対応がきっかけで、付き合いが始まったお客様もたくさんいます。お客様の気持ちに共感することで、距離感が近づいて信頼関係が深まったからです。
クレームから逃げるのではなくて、対処の手順やコツを知って実践すれば、ずいぶん楽になるはずです。
回答5:クレームを「つらい」と感じてしまう人に共通すること
怒っている人の対応をすると、それだけでも気分が沈みますよね。そんなときは、ぜひ、「クレームや八つ当たりの内容と、自分を切り分けて考える」ことをおすすめします。
私は、携帯電話ショップ運営会社の人事をしていた経験があるのですが、やはり「毎日クレームを受けて、とてもつらい」という社員が一定数いました。
毎日クレームを受けるのは、店舗にいるどの社員も一緒です。その中でも、特に「つらい」と感じてしまう人たちに共通していたのは、「怒られているのは自分が悪いからだ」と思ってしまうことでした。
相談内容をよくよく聞いてみると、本人が悪いケースはほとんどなくて、たまたまクレームに当たってしまっただけなのです。
しっかり話をすることで自分が悪いわけではないことがわかると、「そうか、自分のミスだったら、再び起こさないように反省しなければならないけど、それ以外のことは自分のせいだと思う必要はないんですね。もう気にするのはやめます」言っていました。
体調が悪い人の対応をする病院での仕事は、他の仕事と比べても不満が溜まっている人が多い環境なので、クレームに合う回数が多いかもしれません。
でも、そんなときは、「このクレームは何か自分に改善できる余地のあるものか?それとも、不満を言いたいだけか?」と冷静に考えて判断してください。そして、不満を言いたいだけのクレームの場合は、しっかり話は聞きつつ、「でも、自分が悪いわけではない」と思って切り分けてください。
回答6:「一個人としての自分」と「仕事上の自分」の人格を分ける
みあさんは、「一個人としての自分」と「医療従事者としての自分」が一緒くたになってしまっているせいで、クレームを過敏に捉えてしまっているとお見受けしました。そこで、私からは「別人格を作ること」をおすすめします。
匿名でTwitterを利用するのと同じです。Twitterをしていると、たまに自分のツイートに対して、見知らぬ人から批判のコメントをもらうことがあります。
良い気分はしませんが、「あくまで、Twitter上で作られたキャラクターが否定されているだけ」と捉えると、普段の生活に影響するほど落ち込むことはありません。
仕事上のクレームも同じ考え方で対応できます。医療事務の現場では、クレーム対応を避けて通ることは難しいです。ですが、医療事務として受けるクレームは、あくまで、その病院で受けている医療サービスへの不満であることがほとんどのはずです。別に、みあさん個人を否定しているわけではないのです。
ですから、「医療従事者」という本来の自分とは別の人格で、クレームに接してみてください。「病院のスタッフの一人としてクレームを受けているだけで、私が否定されているわけじゃないんだ」と捉えられるようになれば、平常心で対応できるはずですよ。
回答7:「相手が腹を立てたことへの理解」に注力する
私は新入社員研修の担当をしたときに、フォローアップ研修に「クレーム対応の心構え」というプログラムを組んで、レクチャーをしたことがあります。まずは、そのプログラムで私が話した内容を紹介します。
仕事をする中で、クレームを避けることはできません。必ず、あなたの身にも降りかかりますし、悪いことに、それは予期せぬときにやってきます。
いきなり怒鳴られればパニックになるのも当然で、それは、新入社員もベテラン社員も同じです。ベテラン社員でも、クレームを受ければ嫌な気分になります。
では、どうしたら怒っているお客様に対して冷静に対応できるのでしょうか?
まずは、クレームを訴える人は、あなた自身の人格を非難しているわけではなくて、会社の商品やサービス、対応に不満を訴えていることを理解しましょう。
そのうえで、お詫びをして、クレームの原因はなにかをしっかり聞きます。お客様の気持ちを理解することに集中して、絶対に会社側の都合や言い訳をしてはいけません。原因の共有ができれば、ほとんどのクレームは最初の段階で解決します。
このような趣旨で、事例を挙げながらレクチャーしました。研修を受けた新入社員からは好評でした。
さて、医療事務であれば、お客様は患者さんです。患者さんは、「なぜ自分が病気にならなきゃいけないのか」「どれだけ治療費がかかるのか心配だ」「しばらく好きなお酒も飲めない」など、少なからず通常よりも精神的に不安を抱えているはずです。
ですので、普段なら何とも感じないことも、つい当たってしまうこともあると思います。患者さんはナーバスになっているのです。
そこで、クレーム対応を精神力や忍耐力で乗り切るのではなくて、「患者さんが腹を立てたことを理解する」という視点に変えてみてください。困った人を助けるような感じです。患者さんも自分の言い分を聞いてもらったことで気持ちが落ち着きますし、あなたも冷静に対処ができるようになります。
3行まとめ:医療事務での理不尽なクレーム対応のコツ
- 「自分が責められている」と思わない。病院の代表として受けているだけ
- 主張や要望、原因など、要点のみに集中して、要点以外は聞き流す
- 心の中で「と、あなたは思うんですね」を加えて、感情に巻き込まれない
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大変参考になりました、
・相手のお話を親身に聴く、
・自分個人を責めているのではない
とても理解出来ますが、
相手側は求めているものが実現されないと納得がいかずクレームは解決しないと思うのですがいかがでしょうか?(私もクレームが怖く毎日悩んでいます、なかなか慣れません)
・例えば、家電製品が1年ちょっとで壊れてしますい、保証期限が切れていれば無料で修理は出来ないため、この場合は相手側のクレームは収まりません。このような状況が続く場合はどのように対処すれば良いんでしょうか?