「将来のキャリアプランがない」「目の前の仕事をこなすだけの毎日で大丈夫なのかな?」と悩んでいませんか?
株式会社Cyber Nowが運営する「R25」に、次のような記事が掲載されていました。
マクドナルド社長が新入社員に「キャリアプランなんかいらない」と言い切った理由
キャリアプランなんていらない。だって将来のことなんかわかるわけないだろ。
本当のキャリアプランというのは、目の前のやりたいことにすべてを捧げることだ。そうすれば、キャリアは向こうからやってくる
「キャリアプラン」なんて、あとから変わって当然
(引用:マクドナルド社長が新入社員に「キャリアプランなんかいらない」と言い切った理由 | 新R25 (2019/10/18閲覧))
実は、キャリアプランが必要かどうかは意見が分かれています。そこで、このページでは、
- 人事労務&キャリアカウンセラー
- 元・人材コーディネーター
- 元・採用/人事コンサルタント&転職エージェント
- 人事&キャリアコンサルタント
- 元・職業訓練校職員
といったキャリア指導のプロ5名が、キャリアプラン不要論について、次のような内容で見解を述べていきます。
この見解をすべて読めば、キャリアプランがないことで迷うことなく、後悔しないキャリアを進めるようになるはずです。
それでは、キャリアプランに関する5つの見解をじっくりとお読みください。
見解1:キャリアプランは仕事の満足度を高めるために必要
回答者:中川(人事労務&キャリアカウンセラー)
転職回数:1回
今回の新R25の記事では「キャリアプランはいらない」とのことですが、私はそう思いません。なぜなら、キャリアプランを立てることによって仕事の満足度が上がりやすくなるからです。
私は人事の仕事で、キャリアプランに悩んでいる新入社員がいたときには、必ず「ジョブ・カード」の作成を指示しています。
ジョブ・カードとは、厚生労働省が推進しているキャリアプランづくりのためのツールです。(参照:ジョブ・カード制度総合サイト|厚生労働省)
WEBサイト上や、専用のソフト、PDFやEXCEL様式のシートを使って「自己理解」を深めることができます。自己理解とは、「現在の興味、関心、価値観、仕事の強みなど、自分のことを理解する」ことです。
キャリアカウンセリングの世界で有名な人物であるフランク・パーソンズは、自己理解をして「自分に仕事を合わせる」ことによって、仕事の満足度が高められることを説いています。
実際、私が人事を担当してから入社した社員は満足度が高いようで、辞めた人はまだいません。ジョブ・カードで自己理解を深めてキャリアプランを立てることは、仕事の満足度を高める手段として有効だと感じています。
新R25の記事にあるように、将来のキャリアプランを決めないで、現在の仕事をがむしゃらに行なうこともキャリア形成の方法の一つだと思います。
でも、それは「仕事に自分を合わせていく」方法です。自分の適正や価値観と合わなければ、仕事が嫌になってすぐに辞めてしまう可能性が高くなります。
ということで、自分の適性に合った満足のいくキャリアを歩むためにも、私はキャリアプランは立てておくべきだと思います。
見解2:目の前の仕事に一生懸命に取り組めば、キャリアプランがなくても大丈夫
回答者:澤井(元・人材コーディネーター)
転職回数:4回
本当のキャリアプランというのは、目の前のやりたいことにすべてを捧げることだ。そうすればキャリアはむこうからやってくる
という原田さんの言葉が印象に残りました。
なぜなら、私が総合人材サービス会社へ転職したときに、目の前の仕事に一生懸命に取り組んだ結果、思いがけないキャリアプランが広がった経験があるからです。
総合人材サービス会社へ転職した時点で、私には明確なキャリアプランはありませんでした。雇用形態は契約社員でしたが、前職よりも会社規模が大きくて色々な職種の派遣に携われそうだったので転職を決めました。
ですが、入社してみると前職よりも売り上げ規模が小さくて、スタッフを派遣する環境も整っていませんでした。そこで、次の3つのことに取り組んでみました。
1.登録スタッフの状況を確認
既存登録スタッフ数百人に、仕事の紹介が可能かどうか状況確認の電話をしました。
2.過去に取引のあったクライアントへアポ取り
入社してから半年間は営業と人材コーディネーターを兼務していました。営業も兼務することで、企業が求めている人材と派遣登録スタッフが就きたい仕事を整理して、どの職種にターゲットを絞るとよいのか見当をつけることができました。
3.他支社にやり方を聞く
売上を上げている支社のコーディネーターに電話をして、派遣登録はどのように行なうとスムーズか、営業とどのようにスタッフ情報を共有しているのか、などを聞いてベストな方法を模索しました。
手探りで仕事に追われて1年が過ぎた頃、正社員登用の話をいただきました。これは予想外の展開でした。面接で「正社員登用の可能性は低い」と言われていたからです。
入社時点では正社員になるキャリアプランを描いていませんでしたが、目の前の仕事に全力で取り組むことでキャリアップにつながったと実感した出来事でした。
ということで、キャリアプランを描くことも大切ですが、キャリアプランを描くことに固執しすぎてはダメです。目の前にある仕事に全力で取り組むことができれば、おのずと自分が望んでいるキャリアを積むことができるはずです。
見解3:希望のキャリアに進みたいなら「目標」は持つべき
回答者:かんなべ(元・採用/人事コンサルタント&転職エージェント)
転職回数:2回
私は、元マクドナルド社長・原田泳幸さんの
本当のキャリアプランというのは、目の前のやりたいことにすべてを捧げることだ。そうすれば、キャリアは向こうからやってくる
という考え方には少し否定的です。「キャリアプラン」とまでいかなくても、仕事において「目標」を持つことは大切だと思っています。
なぜなら、ただ目の前の仕事だけをこなした場合と、将来のことまで見据えて仕事をした場合では、今後のキャリア選択で差が出てしまうからです。
私が人事コンサルタント時代に所属していた会社では、入社して4年を過ぎると「マネジメントコース」か「スペシャリストコース」か、今後のキャリアを選択することができました。
ですが、全員の希望が叶うわけではなくて、実績の良い人から順に希望を聞いてもらえる制度でした。
そこで、私は入社当初から「人事業務全体のスペシャリストになりたい」という明確な目標を持って仕事に取り組みました。スペシャリストになるために、社会保険、給与、労働契約に関する知識を書籍などで自主的に勉強して、日々の業務に活かしました。
その結果、上司に働きぶりを認めてもらって、希望通り「スペシャリストコース」へキャリアアップすることができたのです。
もちろん、目の前の仕事に全力で取り組むことは、時流に乗った最新の経験や知識を身につけられるメリットもあります。
ですが、目標を持たないでただ目の前にある仕事だけをこなしていたら、前提知識が足りなくて、スペシャリストコースには進めなかったと思っています。
以上のように、ただ目の前の仕事をこなすだけでは、「希望のキャリア」は向こうからやってきません。目標を持って自ら掴み取りにいく姿勢が大切だと思います。
見解4:キャリアプランは変わって当然。でも、考えておくことは必要
回答者:大山(人事&キャリアコンサルタント)
転職回数:4回
鴨頭嘉人さんの
キャリアプランなんてあとから変わって当然なんです
という言葉にうんうんと頷いてしまいました。
私自身、4回も転職するなんて、全く考えていませんでしたし、考えていたキャリアプランの通りかというと、全く違う……。でも、キャリアプランを考えておくことは必要だと思います。
なぜなら、実は私も採用の面接官として面接する時に、「10年後どうなっていたいですか?」と質問しているからです。
これはキャリアプランの内容というより、自主的に将来について考えているか、周りに流されているだけでないか、を判断するために聞いています。
市場環境の変化が激しい業界のため、自ら進んで物事を選択していく人や、考えるクセを持っている人が欲しいからです。その考えに対して、会社として環境を用意できるかどうかを判断する意味もあります。
実際、今年の春の新卒採用(営業職)の最終面接で、A君とB君に「10年後、どんな自分でありたいですか?」と質問すると、次のような結果になりました。
A君は「10年後となると、状況も色々と変わっていると思いますが、それまでに営業として圧倒的な実績を出して、会社や周囲に認められ、マネジメントできるようになっていたいです」といった回答でした。
私や役員陣はこの回答に強い関心を示して、「どういう風に取り組むの?」など根掘り葉掘り聞いていました。
一方で、B君は「任される仕事の範囲をどんどん広げていきたいと思います」という受け身の回答でした。B君の回答には役員たちもあまり質問をしませんでした。
結果、A君に内定を出しました。キャリアプランの内容ではなくて、「将来について自主的に考えているかどうか」が、採否の大きな分かれ目となりました。
ということで、新卒でも中途入社でも採用面接の合否に影響しますので、キャリアプランは考えておいたほうがいいです。プラン内容自体は変わって当然なので、状況に応じて柔軟に変えていけばいいと思っています。
見解5:キャリアプランはなくてOK。人生と共にキャリアは変わるものだから
回答者:小池(元・職業訓練校職員)
転職回数:2回
鴨頭嘉人さんの
その時々でエネルギーを注ぐ対象が変わったって、まったく問題ない
という言葉に「その通り!」と拍手喝采したいくらい共感できました。というのも、キャリアプランを作っていないことが「悪」と思い込んでいる人が多いと感じているからです。
ママ友との会話で私が「ライターの仕事をしているんだ」と言うと、「将来は起業するの?」や「若いころから独立思考だったの?」と聞かれることがたびたびあります。
私が「今できる仕事にチャレンジしているだけだよ。少しずつ成果が上がっているけど、先々のことはまだわからなくて・・・」と言うと、「そんなんで大丈夫?」と聞かれたり、途端に興味をなくして話題をそらされたりすることも少なくありません。
私は20代の頃に激務で体を壊して、思い描いていたキャリアプランもライフプランも実現できないまま転職をしました。でも、それがきっかけで職業訓練校に勤務できたり、現在のライターの仕事ができたりしていると思っています。
最初の企業に入る前は「SEとして一人前に活躍したい」と思っていましたが、社内のジョブローテーションで事務になってからは、事務として営業の支えになろうと努力しました。
職業訓練校に転職してからは、「求職者が無事に就職できるように」と情報収集を必死に行なうなど、仕事が人生の中心でした。
ですが、現在は家族優先の考え方に変わりました。家族を優先にしつつも、在宅ライターとして「読者に有益な情報を提供したい」と、日々チャレンジしています。
これまで、私のどの仕事でも共通しているのが、「いつもその時々の目標と情熱をしっかりと持っていること」です。
そのおかげで、キャリアプランがなくても、私の中では人生に沿って充実したキャリアを積むことができています。
このように、キャリアプランは人生と共に変化して当然だと考えているので、キャリアプランがないことで悩む必要はありません。人生に合わせてエネルギーを注ぐ先を変えていくほうが、上手くいくこともあるのです。
以上「キャリアプランがないことに悩む必要なし?キャリアプラン不要論の真相」の見解でした。
あなたは、これらの見解を読んでどう思いましたか?記事下にあるコメント欄やSNSにてご意見をお聞かせください。
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