派遣社員から正社員への転職活動が難しい。どうすれば採用される?

今回は「派遣社員から正社員への転職活動に苦戦している」という悩みにお答えします。

8年ほど、派遣社員として勤務していましたが、派遣法改正の影響を受けて契約終了となって早半年。「次は安定した正社員を!」と思って転職活動を続けていますが、書類選考すら通過しないことが多く悩んでいます。

失業給付も切れて、気持ちも焦ってきて、精神的にもナイーブになってきて、本当に辛いです。なんとか面接までこぎつけても、面接官に「派遣社員歴が長いんだね。なぜ今になって正社員になろうとしてるの?」と鋭く突っ込まれてしまいます。

その度に、今までは派遣社員でも無期雇用だったため安定していたこと。派遣の働き方が好きだったから続けていたこと。そして、派遣法が改正されてしまった今、今度は正社員として、一つの場所で事務の仕事をしっかりやりたいことも伝えたのですが、なかなかうまくいきません。

派遣社員の立場上、正社員よりも異動が多くて、その都度仕事を覚え直したり、人間関係も構築してきました。仕事の飲み込みやコミュニケーション力には自信があります。面接のたびにアピールするのですが、うまくいきません。やはり、派遣社員から正社員への転職活動は厳しいものなのでしょうか?

[相談者:31歳女性/エネルギー事業(前職)/事務職(前職)/派遣社員歴8年]

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回答1:応募企業に合わせて、ライバルに負けない強みをアピールする

派遣社員から正社員を目指して就職活動を頑張っていても、半年も次の就職先が決まらないと、滅入ってしまいますよね。

事務職で正社員になりたい人はとても多いため、倍率が高く、狭き門です。採用を勝ち取るためには、ライバルの誰にも負けない経験や技術、知識、資格、熱意など、採用担当者の目に留まるものが必要です。

厳しいようですが、文面から「正社員になりたい」という強い気持ちは伝わるのですが、「ライバルに負けない強み」や「仕事に対してのやる気」があまり感じられません。

以前、「未経験職種への転職」相談でもお伝えしましたが、応募書類は商品のPOPのようなもので、見たら会いたくなるような内容にしなければなりません。そして、面接は自分のプレゼンの場です。「自分を採用したらこんないいことがあります!」とアピールする場なのです。

応募書類も面接も、応募先の会社に合わせた内容にして、自分の強みがどのように活かせるのか、応募する職種に対しての意気込みはどのくらい強いのかをわかりやすく入れこむと、採用担当者に良い印象を与えることができます。

仕事の飲み込みやコミュニケーション力が強みだと思うなら、入社後にこの強みを活かしてどのように活躍できるか、熱意を持ってアピールしてみてください。

そして、なぜ正社員になりたいのか、と質問されたら「なぜこの会社の正社員になりたいのか」という質問だと思って答えるとアピールの1つになります。

このように、応募書類や面接で、応募先の会社に合わせて、ライバルに負けない自分の強みや仕事に対してのやる気を具体的にアピールしてください。

回答2:自己分析をして採用担当者に響く志望動機を語る

転職活動を始めて半年ともなると焦ってきますよね。早く次の仕事を決めたい気持ちもよくわかりますが、まずはもう一度じっくり自己分析をすることをおすすめします。なぜなら、年齢や経験を考えると、志望動機が圧倒的に弱いからです。志望動機が明確になれば、派遣社員から正社員への転職も可能です。

私が前職を辞めるとき、後任を決めるための面接に同席した経験があります。雇用形態は契約社員でしたが、休日や勤務時間、勤務地が好条件だったので、時期外れの求人にも関わらず、かなりの応募がありました。

ですが、書類選考の段階から「仕事内容ではなくて、ただ条件に惹かれて応募してきたんだな」という印象の人が多かったのです。最終的には6名面接をしたのですが、「今までの仕事の経験をどう活かせると思いますか?」と聞いたときにグっとくる回答をしてくれたのは2名だけでした。

採用担当者から見た相談者さまも、きっと同じ印象を持たれていると思います。志望動機から、「なぜウチの会社に入りたいのか」「なぜこの仕事をしたいのか」が伝わっていないのです。

仕事を覚えるのが早いことやコミュニケーション力ももちろん大事なのですが、それが採用の決め手になることはありません。じっくりと自己分析をして、採用担当者の気持ちをつかむ志望動機を語れるように準備してみてください。

ということで、転職活動をスムーズに進めるには、自己分析をし直すことが一番の近道です。以前、「仕事が嫌になって辞めてしまいました。やりたい仕事がみつかりません」という相談でもお伝えしたように、好きなことや得意なことをヒントに自己分析をすると、自分に合う仕事がみつかりやすいと思いますよ!

回答3:採用担当の私が職歴よりも注意していること

採用する側から意見を言うと、採用では求める能力や経験、社風、企業理念などにマッチしているかを判断しますので、職歴が派遣社員だったとしても、あまり気にしません。むしろ、派遣社員を長く経験している人は、いろいろな職場を経験していたり、ビジネス関連の資格を保有しているなど、プラス要素があるという認識です。

ただし、注意している点がひとつだけあります。「安易に正社員というだけで応募してきていないか」という点です。私が面接を担当するときは、「なぜ正社員になろうと思ったのか」「なぜ当社を志望したのか」などの動機やきっかけを注意して確認します。

職場では、派遣社員であっても正社員であっても、仕事をする目的は同じです。どちらが上、どちらが下ということはなく、会社を運営していくための戦力であることは変わりありません。「安定を求めて正社員になりたい」と力説されても、面接官は「またか」とゲンナリするだけです。

書類選考が通らない理由は、職務経歴が派遣社員だからではありません。あなた自身が仕事をする上で、派遣社員でなく、正社員になければならない理由はなんでしょうか?この答えが「派遣法が改正されてしまったから」だとしたら、弱いです。

というわけで、正社員を目指す理由をトコトン突き詰めて、その思いを履歴書の志望動機欄や面接でアピールしてください。思いが届いたときに、面接官は「いい人が来てくれた!」と初めて思うのです。

回答4:大手企業ではなくて、中小・ベンチャー企業を狙う

前職の「エネルギー事業」という経歴から察するに、主に大手企業で働く派遣社員として経験を積んできたとお見受けしました。もし、これまでの派遣先のような大手企業に正社員として転職を希望しているのであれば、難易度は高く、苦戦をしいられるのは当然の結果です。

派遣社員は「ノンコア業務(利益を直接生まない業務)」を任せられるのに対して、正社員は「コア業務(利益を直接生む業務)」を任せられることがほとんどです。正社員として転職を希望する場合は、スキル面ではコア業務の実務経験が重要です。

人柄やコミュニケーション力も重要ですが、スキル面で不足しがちなのが派遣社員のデメリットなのです。

解決策は、大手企業ではなくて、中小・ベンチャー企業の正社員求人を狙うことです。中小・ベンチャー企業は大手企業よりも人材採用に困っている場合が多くて、スキルよりも人柄やコミュニケーション力が高く評価されます。即戦力よりも、やる気や気持ちを重視する会社が多いです。

私がこれまでキャリアアドバイザーとして面談した候補者の中にも、20代を派遣社員中心で経験を積んできた女性が多くいましたが、応募する会社の規模や知名度にこだわる人は転職活動に苦労していました。

というわけで、大手企業は難易度が高いので、中小・ベンチャー企業に絞って活動することをおすすめします。中小やベンチャーでも、今後大手企業に成長が見込める会社を見つけるつもりで、探してみてください。

回答5: 「なぜその会社の正社員になりたいのか?」を伝える

相談内容を拝見するに、仕事の遂行能力は高く、即戦力は十分あるようにお見受けします。それにも関わらず採用に至らないのは、「なぜその会社で正社員で働きたいのか」がきちんと見えないからだと思います。

私は企業で採用面接をしていますが、有期雇用や派遣社員から正社員を目指す人の面接をすることも多いです。その中で重要視しているのが、「なぜ当社の正社員になりたいのか」です。

正社員で働くということは、ある程度責任のある仕事を任せるということなので、「なぜうちの会社でその仕事をしたいのか」の想いの部分は非常に重要です。

ですが、単に「正社員になりたいから」という理由ですと、想いの部分が深掘りされていないことが多くて、中には事業内容すらろくに調べていないケースも散見されます。「この会社で仕事がしたい」という想いがないと、「では、別の会社でもよいですね」と思ってしまって、「採用したい」という判断に至りません。

ご自分の強みはよく理解できているようですので、あとは、「この会社になぜ入りたいのか」という動機を明確にする必要があります。受けている会社のことをしっかり調べて、入社したい理由をきちんと伝えられているか、振り返ってみてください。

回答6:何が原因なのか転職エージェントに相談してみる

私の経験からすると、「ずっと派遣社員だったから正社員に受からない」ということはありません。これまでの8年間の中で、何を経験して学んできたか、それを今後どのように応募企業で活かしていくかを、うまくアピールできれば問題ありません。

私の担当していた派遣スタッフの人は、10年以上派遣社員(派遣先3社)を続けたあとに、正社員に転職しました。女性でお子様もいる人です。派遣時代は営業事務の仕事が中心でしたが、中堅商社の人事職への転職が決まりました。

その人は、採用面接のときに、派遣時代に感じた「コミュニケーションの重要性」「仕事へのモチベーション」「お客様とのやり取りで得た気づき」などを、エピソードを添えて話して、「今後は御社の社内外の方にきめ細やかな対応を心掛けたい」と訴えたそうです。

自己流で転職活動をするのも限界がありますし、企業の求めている人材とアピール内容が合致しないと、何社受けても無駄になってしまいます。エビデンス(履歴書、職務経歴書)や進め方に問題があるのかもしれません。ですので、一度、転職エージェントに相談してみてください。

2015年の派遣法改正の影響で、企業も正社員採用が活発化しています。履歴書や職歴の書き方、自己アピールの仕方などを人材会社のプロに相談してから、面談に挑むと良いと思います。

3行まとめ:派遣社員から正社員への転職活動がうまくいかないときは?

  • 志望動機が重要。「なぜ正社員か」「なぜこの会社か」「なぜこの仕事か」を突き詰めて
  • 「ライバルに負けない強み」「やる気」を具体的にアピールする
  • スキルよりも人柄や、やる気を重視する中小・ベンチャー企業を狙う

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