今回は「営業職なのに人見知りの自分はどうしたらいいか」という悩みにお答えします。
私は極度の人見知りで、高校、大学ともに友人が一人もいませんでした。それにも関わらず、地方のキャリアショップに配属されて、営業(販売)の仕事をすることになりました。
お店では上司と同僚を合わせて5人が働いていますが、みんな話が上手くて、来店者に積極的な営業をして売上を上げています。その中でただ1人私だけが、営業どころか来店したお客様からの修理依頼や質問など最低限の対応にも手間取る始末です。
今のところ、面と向かって注意されたり、嫌味を言われることはまだありませんが、とても肩身の狭い思いをする毎日です。
この先を考えると、今の職場へ居続けたとしても、私の性格上、立派に営業ができるようになるとはとても思えません。「配属替えを依頼する」「転職する」などいくつかの選択肢が頭には浮かぶのですが、私はその中でもどの道を選ぶべきでしょうか?
[相談者:22歳男性/ソフトバンク株式会社/営業職/入社2ヶ月目]
回答1:小さな目標と「やる気スイッチ」を作って乗り越える
元・職業訓練校職員の小池です。
極度の人見知りなのに、人としっかり接しないといけない業務に苦労されているようですね。ご自分の性格を良く知っているからこそ、配属替えの依頼や転職が頭に浮かんでいるようですが、ちょっと待ってください!
おそらく希望して営業職になったのではなくて、企業側で「経験を積む必要がある」と判断されての配属だったと見受けられます。入社2ヶ月目ですし、まだまだこれから仕事を覚えてステップアップする時期です。
それに、企業が「営業の経験を積むべし」と判断した理由には、「現場を知ってキャリアを積んでほしい」という考えがあるように思います。
そこで、自分で「やる気スイッチ」を作って押してみることをおすすめします。「やる気スイッチ」と言っても、「コーヒーを飲んだら頑張る」「深呼吸をしたら頑張る」など、小さなきっかけをやる気の起点にするだけです。
これは営業事務のときにクレーム対応が苦手だった私が、先輩社員から教わって実践していた方法です。コーヒーを一口飲んで気合いを入れることを繰り返しやってみた結果、緊張して苦手だったクレーム対応も平常心でできるようになりました。
また、職業訓練校で勤務していたときにも、面接が苦手な受講生に「やる気スイッチ」を作ることをおすすめして、無事に就職まで導きました。
毎日の業務なので、苦手意識のある仕事だと、とても疲れてやる気も薄れてしまいますよね。でも、「接客をするあいだ頑張ろう」「まずは午前中頑張ろう」と小さな目標を立てて、やる気スイッチを押して乗り越えて、を繰り返すうちに苦手意識もやわらいでくるものです。
苦手を乗り越える努力は、後々別の部署に異動になったり、もっと難しい状況に置かれたりしたときに必ず報われます。
このように、簡単なことで構わないので、小さな目標と「やる気スイッチ」を作ってみてください。小さな目標を少しずつ乗り越えていけば、成長やスキルアップができるうえに、毎日の業務にメリハリができますよ!
回答2:人見知りを少しずつ克服できる3つの方法を試してみて
自分が人見知りだと思っている人は多いので、あまりネガティブに捉えなくて大丈夫です。「配置換えや転職も考えている」とのことですが、私は現在の仕事をもう少し頑張って続けることをおすすめします。どこに異動しても、人とのコミュニケーションは必要だからです。
入社2ヶ月しか経っていないようなので、まずは弱点の克服が先です。人見知りを少しずつ解消できる方法を3つ紹介します。
1.お礼や挨拶でコミュニケーションを取る
挨拶をして怒られることはありません。なので、「ありがとうございます」「おはようございます」「こんにちは」「お疲れ様です」など、挨拶から始めてみてください。決まった言葉を言えば良いので、簡単です。
「ありがとう」は感謝の言葉ですが、どんな場面でも使えるコミュニケーションです。エレベータを降りるときなど、小さなことでも構わないので、何かしてもらったときに言ってみてください。「ありがとう」は、言った側も言われた側もうれしくなる魔法の言葉です。
2.人見知りを隠さない。聞き上手になる
人見知りを恥ずかしいと思わないで、あえて「私は人見知りする性格で・・・」と口に出すことで気持ちが楽になります。また、話が苦手でも、上手に話そうと思わなくていいのです。
聞き上手を意識して、相手の言ったことを繰り返したり、うなずいたり、大きなリアクションをしてみてください。そうすることで、相手に「話をしっかり聞いてくれている」という良い印象を持ってもらえます。人の話をよく聞いて理解することで、的確な対応ができるようにもなります。
3.感じのよい人を目指して、常に笑顔で人と接する
口数は少ないけれど、笑顔が素敵で安心感のある人、周りにいませんか?そんな、感じのよい人を目指して、人に話しかけるときには、笑顔で自分に自信を持ってください。
まずは、この3つをやってみてください。最初に言ったように、「自分は人見知りだ」と思ってる人はたくさんいるので安心して、今が克服のチャンスだと思って頑張ってください。
回答3:新人の私が上司に言われた言葉は「営業先では女優であれ」
慣れない社会人生活に加えて、仕事もうまくいかなくて悩んでいるようですね。私も新卒当時、同じようなことで悩んでいました。
私が新卒で就職したのは生命保険会社の営業職でした。1ヶ月間の新入社員研修のあと、1~2週間は上司が同行してくれるのですが、入社2ヶ月が経つ頃には一人で営業先に行かなくてはなりませんでした。
研修を受けたとはいえ、当時は22歳です。ほとんどのお客さまが私よりも生命保険について詳しくて、営業先でお客さまと話すたび極度に緊張していました。
そんな話を上司にしたときに、「営業先では女優であれ」と言われたのです。「営業先に行く前に深呼吸をして、営業モードの自分を演じてごらん」と言うのです。
その一言を聞いてから、「営業先にいる間だけは、明るい生保レディーを演じよう」と自分に言い聞かせて、お客さま全員に笑顔で挨拶をして、無視され続けても、一言二言は必ず話しかけるように努力しました。
慣れるまでは毎回変な汗をかいてばかりでしたし、営業先にいるのが苦痛で早々に帰ってきてしまったこともありました。ですが、1~2ヶ月も経つと、営業先に着くと同時に自然と営業モードの自分を演じられるようになっていたのです。
そうなってくると、「次はどうやって生命保険の話を聞いてもらおうか」、さらには、「契約してもらうためには、どうクロージングするとよいだろうか」と仕事の成果に結びつくことを考える余裕が生まれるようになりました。
新卒で入社2ヶ月目でしたら、まだ全てのことがうまくできなくて当然です。周りと比較して焦らずに、今は直面している問題を乗り越えるべく頑張るときです。ですので、接客が得意な自分を演じる作戦を試してみてください。きっと人見知りな自分を克服して接客ができるようになって、営業をかける余裕も出てくると思いますよ!
回答4:今は「社会人に必要な筋トレの期間」と捉える
社会人になったばかりで22歳と若いので、全てにおいて周囲が優秀に見えてしまうのは珍しいことではありません。むしろ健全です。
社会人になったばかりの私も、仕事が覚えられなくて苦労しました。「自分にできることなんて何一つない。先輩たちのように仕事ができるイメージが全く持てない」と思ったほどです。
一度聞いたこともすぐに忘れてしまって、職場にある備品の位置も、パソコンの操作方法も、お客様に最低限確認しなくてはならないことも漏れてしまって、ずいぶん迷惑をかけました。
「言われたことを言われたとおりにやるくらいは簡単にできるはず」と無意識に思っていましたが、そんな最低限のことすらできない事実を突き付けられて、自信なんて全くありませんでした。
「選んだ会社は失敗だったのではないか」「もっと他に自分に合う良い職場もあるのではないか」と考えていたときに、上司に「今は筋トレの期間だよ」と言われたのです。そして、次のように教えてくれました。
筋トレは、面白くもなんともない、ただただツライ作業を繰り返す。でも、どんなスポーツでも、試合で活躍する前には筋トレを繰り返して、基礎体力を向上させる必要がある。
筋トレはすぐに効果は出ないけれど、長い目で見れば必ず自分の身になる。社会人1年目の今は活躍することよりも、筋トレをして社会人として基礎体力を身につけることが大事だよ。
この話を聞いた私は、「失敗や注意によって感じるストレスは筋肉痛みたいなもので、繰り返すことでいつの間にか消えて、仕事での筋力も身につくものだ」と捉えて、気持ちを新たに頑張れました。
どんなスポーツでも筋トレをしておかないと活躍できないように、ビジネスでも最低限のコミュニケーション力は、鍛えておく必要があります。職場の人が面と向かって注意したり、嫌味を言わないのは、「まずは社会人としての基礎をしっかりと身につけてほしい」という想いからなのではないかと思います。
ですので、今は苦痛かもしれませんが、「肩身が狭い」だなんて思わずに、焦らずに「社会人として必要な時期」と捉えて頑張ってみてください。
回答5:人前で話すのが苦手な後輩が、事務作業へ配置換えできた方法
相談を読んで、「この仕事が苦手で合っていない」という面にだけ目が向いていることが気になりました。意識を改善するためにも、まずは「自分の強みを見つけて伸ばすことに力を入れる」ことをおすすめします。
なぜなら、配置換えや転職にしても、「私はこの仕事に向いていないから」という理由よりは、自分の強みを提示して、「私はこんなことができるので、こんな仕事はないか」と働きかけるほうがよいからです。
私が知っている実例をお話しします。後輩で、採用担当に配置されたものの、出張や人前で話す業務が苦手な女性がいました。彼女は一生懸命話す練習をしているものの、顔がこわばって涙目になってしまうほど、人前が苦手でした。
一方で、資料作成のセンスがとてもよくて、申請書作成やリスト管理、スケジュール調整などの細かい業務も得意でした。
そんな彼女は自分から「私は話すのは苦手ですが、こういうことはできます」と周りに働きかけて、得意分野の仕事を増やしていきました。そして、最終的には採用担当から、事務作業が中心の社会保険を中心とする担当に代わったのです。
このように、今のお仕事の営業以外で「これは楽しい!」「これは他の人より得意かもしれない」という仕事はないでしょうか?入力作業や集計作業、在庫確認など、小さな仕事でも構いません。
得意な仕事が見つかったら、上司や同僚に「私は販売は苦手ですが、○○は得意なので任せてもらえないでしょうか?」と声をかけて、仕事を増やしてみてください。自分が得意な仕事で役に立てれば、配置換えや転職にも役立ちますし、他の販売員の人たちに感じている劣等感も拭い去ることができて、一石二鳥です。
同僚の良いところをきちんと認められる人なので、自分のよいところもきっと見つけることができると思います。本当に小さいことで構わないので、得意を見つけることから始めてみてください。
回答6:「自分は人見知りではない」と思い込むことで思考が変わる
臨床心理士の佐藤です。
今回の問題は、「人見知り」というレッテルを自ら張り付けていることが背景にあると思いました。なので、無理にでも「自分は人見知りではない」と思い込むことが有効だと思います。というのも、人間の脳には「認知的不協和理論」という働きがあるからです。
たとえば、運動が嫌いな人も「適度な運動が健康に必要」ということは知っています。それでも、「運動が嫌だ」と思っているとき、脳は「運動が必要」と「運動が嫌」の矛盾した状態を解消するために、「でも、今日は体調が少し悪いから、休息が必要だ」「今日はもう遅いから明日から」などと理由をつけて、「運動が嫌だ」という思考を正当化します。
このように、脳は矛盾した状態に耐えられず、思考を勝手に変えて正当化してしまうんです。相談者さまも、
「みんなと同じように積極的に営業しなければならない」
「(でも)自分は対応も上手にできない」
という2つの矛盾した思考の中で、「人見知り」という理由によって「営業がうまくできないこと」を正当化しているのではないでしょうか?
そこで、「自分は人見知りではない」と思い込むことで、思考が「自分もみんなと同じように営業できる」に切り替わって、仕事の腕を上げることができるようになります。
もちろん、「そんな簡単に性格が変われば苦労しない」と思うかもしれません。でも、生まれたときに赤ちゃんは人見知りなんてしていませんよね。「人見知り」は成長過程で勝手に身についたことです。なので、これからの人生の中で、外していくことだって可能なんです。
というわけで、無理にでも「自分は人見知りではない」と思い込み続けることをおすすめします。
回答7:現場での経験は将来役に立つ。逃げるのはもったいない
新しく配属されて、すぐに仕事がテキパキできる人はいません。失敗をしたり、悩んだり、先輩の仕事ぶりを学びとったり、お客様から怒られたりを繰り返して、一人前になっていくものです。
私は企画職として転職した経験がありますが、最初は営業と一緒にクライアントを回ることからスタートしました。
そのとき、訪問時間に遅刻するのが嫌で、約束の時間よりいつも10分前に訪問していたところ、お客様から「早く到着することも遅刻するのと同じくらい迷惑なんだよ」と教わったことがあります。言われて「なるほど」と思いました。
将来を嘱望された幹部候補の社員でも、初年度は現場に配属されることはよくあります。自動車メーカーであれば製造工場に、出版社であれば書店に、外食チェーンであれば全国の直営店に、という具合ですね。
なぜ、先端の部署に配属されるかというと、どのような仕事もお客様がいなければビジネスができないからです。新入社員には、「まずはお客様や商品に直接触れて、経験を積んでほしい」と考えているのです。
携帯電話の会社であれば、まさにキャリアショップがお客様と直接触れ合える現場です。お客様を知らずして、よい仕事はできません。将来、製造部門や開発部門などに配属されても、現場での経験は必ず役に立ちます。
ですので、「配属替えを依頼する」「転職する」といった逃げの選択はおすすめしません。人見知りは経験を積むことで克服できますから、自分の将来のためにも「今がチャンス」と捉えて、今の配属先で頑張ってみてください。
3行まとめ:人見知りで苦悩する新人営業マンへのアドバイス
- 焦らずに人見知りを克服しながら、貴重な現場経験を積んで
- 「人見知り」という自意識を捨てて、接客が得意な自分を「演じる」
- 自分の得意分野を見つけて伸ばせば、配置換えや転職に役立つ
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