今回は「職場の上司のせいで人間不信になったのを克服したい」という悩みにお答えします。
今の職場で働き始めて4年目になります。昨年、上司が異動して、新しい上司が配属されました。新しい上司は、なんでも部下に「自分で考えろ」と言う人です。
この「自分で考えろ」は、「俺が思っていることを自分で考えろ」という意味なのです。私は上司の考えを汲み取ることができなくて、上司に嫌われてしまったようです。
そのせいで、上司のお気に入りの同僚は遅刻をしたり、急に仕事を休んでも嫌味ひとつ言われないのに、私が休み時間から戻ってくるのが少し遅れただけで、「遅い!何やってたんだ!」と強く叱責をされます。
また、上司に気に入られている同僚がミスをすると、なぜかその処理を私がやるように指示してきます。私がきちんと納期までに自分の仕事を終わらせて、同僚のサポートまでしても、私への差別のような対応は変わりません。
不当に扱われている気がしてならないのですが、他の同僚も自分が面倒な立場になりたくないからか、助けてくれません。相談できるような人が社内にいません。
「こんなに頑張っているのになんで?どうして誰も助けてくれないの?」と、なんだか人間不信になってしまって、職場の誰も信じられなくなってしまいました。人間不信を治して職場でのびのびと働きたいです。何か改善策はないでしょうか?
[相談者:29歳♀/広告代理店/企画職/入社4年目/年収400万円~500万円未満/独身]
回答1:上司の言動は気にしない。自分のできることにフォーカスする
「人間不信を治したい」とのことですが、むしろ今の状況は社会人として働くうえで適切な状況だと思います。厳しい言い方になりますが、「がんばっているから、その努力は報われるべきだ」と考えるのは傲慢です。
世間は自分中心に動いているわけではないので、周囲が自分の期待する行動をとってくれないのは当然だからです。
実はキャリアアドバイザーも「人間不信に陥りやすい仕事」とよく言われます。人と企業の間に立って、双方の主張を取り持つ過程で、言ってることが二転三転するのは日常茶飯事です。
採用候補者が「内定が出れば入社する」と言っていたのに、いざ内定が出たら辞退となって、企業にお詫びをしなくてはならないことなんてしょっちゅうでした。私はそんな仕事を通じて、「他人の言動に一喜一憂しないで、自分ができることをやりきるしかない」と考えるようになりました。
他人の行動をコントロールすることはできません。コントロールできるのは自分だけです。コントロールできない他人に左右されてしまっては、いつまでも心の平安は取り戻せません。
そこで、上司の言動に一喜一憂することをやめてみてください。自分ができることにフォーカスして、最善を尽くすことだけを考えて行動してみてください。1ヶ月~3ヶ月くらい継続すると、上司の言動に心を痛めることもなくなっていきます。
というわけで、上司に対してはただ感謝の旨を伝えつつ、自分の仕事に意識を集中させましょう!
回答2:上司の上司に相談して、職場環境の改善を目指す
人間関係は自分の努力だけではどうにもならない問題なので、ツラいですね。人間不信を克服するには、原因となっているパワハラ上司をどうにかしたいところです。
同僚に相談するのが難しいようですので、ここは思い切って「上司の上司」に相談してみることをおすすめします。なぜなら、上司のパワハラをやめさせるには、さらに権限のある人に動いてもらうしかないからです。
私の知人にも同じような状況で悩んでいる人がいました。上司を含めて5名と少ない職場で上司に嫌われてしまって、朝から嫌味を言われたり、全員で準備する作業に参加させてもらえなかったりと、典型的なパワハラを受けていました。
最初は我慢していたものの、仕事にも影響が出てきてしまって、失敗につけこんでさらに攻撃される悪循環に陥っていました。
私がこの相談を聞いたとき、「このまま働き続けたらうつ病になってしまう」と思ったので、
支店内に相談できる人がいないのなら、本社などの役職者に相談したほうがいい。「助けてください」と言うのは抵抗があるかもしれないけれど、「上司とうまくいっていなくて悩んでいるんですよね・・・」と相談形式にすると、悩みを打ち明けやすいよ。
と、アドバイスしました。知人も「この会社の誰に相談したって助けてくれるわけがない」と人間不信になっていましたが、ダメモトでエリアの統括責任者に相談したそうです。
すると、これがきっかけとなり人事が動いてくれて、パワハラ上司は異動になりました。支店内の同僚や先輩も一部異動となって、新しい環境で楽しく仕事をしているようです。「環境が変わったことで、仕事でも成果を出せるようになってきた!」と、喜んでいました。
ですので、思い切ってパワハラ上司に意見できる立場の人に相談してみることをおすすめします。職場環境が改善されれば、人間不信も克服できるはずです。
回答3:誰かに相談することで人への信頼を取り戻す
元・職業訓練校職員の小池です。
お気に入りの部下には甘くて、嫌いな部下にだけ厳しい上司も、周りの同僚の知らん顔も、いじめの構造とそっくりですね。心身や仕事に大きな影響が出る前に、誰かに相談してください。
職業訓練校でも、職場のパワハラで人間不信になって退職した受講生がいました。最初のうちは、私たちともあまりコミュニケーションをとってもらえなくて、「就職活動に支障が出そう・・・」と心配でした。ですが、受講科目の先生や私と相談を重ねていくうちに、人を信頼できるようになって無事に再就職できました。
面談で会話をしていた時には、「人間不信で仕事がうまく回らなくて、余計なミスが増えて、どんどんパワハラが酷くなった。それで誰にも相談しないで退職を選んで、後悔している」と言っていました。
でも、「通所するまで人に話すことも不安でいっぱいだったけど、思い切って人に相談してみたら心が軽くなって良かった」と言ってくれたのが印象的でした。
というわけで、人間不信を克服するためには、「人に相談すること」が大切です。社内に相談できる人がいないようでしたら、職業訓練校や転職エージェントを利用してみてください。人の温かみを感じれば、気持ちもプラスに変わるはずです。
回答4:報連相を徹底してコミュニケーションを増やす
報連相を徹底してコミュニケーションを増やすことをおすすめします。人間不信になってしまった原因は、コミュニケーション不足で上司の真意を理解できていない可能性があるからです。
たとえば、私も部下に対して「自分で考えましょう」と指示することがあります。それは、部下の成長を考えて言っています。上司が答えを先に言ってしまうと、部下は単なる作業者になってしまって、ゼロから生み出す力を養うことができません。
一方で、新人やもう成長が望めないような部下に対しては、「自分で考えましょう」とは言いません。イチから指導し直します。
なので、上司が厳しく接してくるのは、期待の裏返しの可能性があります。本来の力なら、もっと仕事ができるはずなのに、期待値に達していない。そんな上司のイライラが今の状況になっているように感じました。
そこで、まずは上司の真意を確かめるためにも、しっかりコミュニケーションを取っていくことをおすすめします。人間不信になっていると、コミュニケーションを取りにくいと思いますが、プライベートなことまで話す必要はありません。いわゆる「報連相」を徹底するだけでOKです。
特に、「相談」は関係性を深められるので有効です。例えば、仕事の途中で、「今回の提案をこのような形で進めようとしていますが、ご意見をお聞かせください」と相談してみてください。もし、つれない素振りをされても、「今回だけでいいので、少しヒントをいただけませんか」と食い下がってみてください。
以上のように、コミュニケーションが増えていけば、相互理解につながります。お互いの誤解が解けることで、人間不信のような状況が変わる可能性があります。ぜひ、仕事の相談を通じて、上司とのコミュニケーションを強化してみてください。
回答5:人間関係を整理しながら、信頼できる人をみつける
新しい上司からの理不尽な対応がトラウマになり、人間不信になってしまっているのですね。
働いていると、ひとりでできることには限界があって、多くの人との関わりを避けては通れません。同時に、合わない人とも一緒に仕事をしなければならない状況も当然起こります。ですが、相手の考えや気質を変えることはそう簡単ではありません。
そこで、人間関係を客観的に見つめ直して、整理することをご提案します。やり方は次の2ステップで完了します。
1.人間関係に対する自分の考えを棚卸しする
「職場でどのような人間関係を築きたいか?」など、自分の考え・想いを書き出してみましょう。文字にすることでより頭の中が整理されます。
また、書いたものを見返すと、「周囲に過度な期待をしていたかな」「職場での最低限の関係と割り切って付き合おう」「あの人なら信頼できるかも」など、いつもと違った視点にも気づけるようになります。
2.人間不信に陥った原因を認識する
人間不信に陥ると、当事者以外の人も「信用できない」という心理状況になりがちです。そして、人との関わりを断つと、ますます孤立してしまうという悪循環が起こります。そうなる前に、原因はどこにあるのかを振り返ってください。
「原因は上司であって、他の人は悪くない」と認識できれば、関係のない人まで信用できなくなる事態を避けられます。
というわけで、今の状況になってしまった人間関係を冷静に整理してみてください。どのように付き合っていくかを認識して、信頼できる人をみつけられれば、人間不信の改善に繋がるはずです。
回答6:萎縮しないで、正しいと思うことを堂々と主張し続ける
上司に差別のような態度をとられて、誰も助けてくれない環境では、人間不信になってしまうのもうなずけます。このような時は、堂々とした態度で正しいと思うこと主張することをおすすめします。
実は私も、能力をとても認めてくれていた上司から、「女が出しゃばるな」というタイプの上司に代わってしまって、厳しいことばかりを言われるようになった経験があります。
自分の能力はそこまで悪くないはずなのに、厳しいことばかり言われると、萎縮して本当に自分が悪いような空気になります。他の人も上司を恐れて何も言わないため、職場の人たちが信用できなくなりました。
ですが、自分にそこまで落ち度があると思えなかったため、ある時から萎縮するのを一切やめたのです。
たとえば、提出した資料を不当に批判された場合は、「期待されているものを作れなくて、未熟で申し訳ありませんでした。また違うものを作ってお時間をいただいてしまうのも良くないので、どこがダメなのか教えていただけませんか?」と、上司に食い下がるようにしました。
次第に、同僚や近くの部署の人から「にひらさんはこんなに誠実にやっているのに、いつもダメ出しばかりされておかしい」と、声をかけてもらえるようになったのです。職場のメンバーへの不信感もなくなって、上司の不当なダメ出しも減っていきました。
ですので、上司に萎縮しないで「自分はできることを正当にやっている」と、堂々と振る舞ってみてください。その毅然とした態度は、周りの人たちにも伝わっていきます。
3行まとめ:職場環境が原因で陥った人間不信を克服する方法
- 上司の言動に萎縮しないで、自分ができることを貫き通す
- 報連相の中でも「相談」から始めて、人への信頼を取り戻す
- 人への付き合い方を整理する過程で、信頼できる人をみつける
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