転職したいのに、親に反対されて困っていませんか?同じように、大企業からの転職を親に反対されている人から、次のような相談をいただきました。
相談
私は厳しい親の元で育ちました。子供の頃から勉強漬けで、大変な努力をして難関大学に合格して、誰もが知る大手企業に入社できました。親もとても喜んでくれました。
ですが、実際に働いてみると、世間のイメージとは違って、かなりの体育会系な社風でした。学生時代に勉強漬けだった私には合っていないと感じるようになりました。
私としては転職したいのですが、親には「せっかく苦労して入社した大手企業を辞めるなんてもったいない」「不満はどこに転職しても必ず生じるものだ」「根性がない」などと言われて、転職を反対されています。
私が今の会社に入社したのは、会社の知名度が最優先で「親の顔を立てたい」という理由が大きいです。今さらですが、会社選びを間違えてしまった気がします。
改めて自分の選択で、自分の意思で、新しい会社を探して人生をやり直したいです。どうすれば親を説得できるでしょうか?
(23歳♂/食品メーカー/営業職/新卒入社2年目/年収300万円~400万円未満/独身)
結論から言うと、今の会社の不満をいくら主張しても、親を説得できません。
そこで、このページでは、人事・キャリア相談のプロ5名が、自分の実体験や仕事相談の経験を活かして、親に転職を反対されたときの対処法について、次のような内容で見解を述べていきます。
この回答をすべて読めば、親に転職を納得してもらえて、スッキリした気持ちで転職活動をスタートできるはずです。
回答1:具体的な数字を示したライフプランをつくって、親にプレゼンする
回答者:小池(元・職業訓練校職員)
転職回数:2回
親の顔を立てて入社した企業が合わなくて転職したいものの、親に反対されて尻込みしているようですね。
親は相談者様のことを思うからこそ反対しているはずなので、「転職したほうが幸せだ」とわかりやすく伝えるのが効果的です。そこで、人生を懸けた大商談のつもりで、数字を具体的に出したライフプランをつくって、親にプレゼンしてみてください。
私は両親に相談することなく、大学卒業後の入社先を決めました。両親の希望と私の希望が全く違ったので、反対されると思っていたからです。内定後に、「〇〇という会社の内定をもらったからそこに行く」と、初めて伝えました。
両親は「どんな会社なの?」と聞いてきたので、私は会社のパンフレットや説明会の資料で「会社の情報」を伝えました。
でも、両親が一番聞きたかったのは、「その会社に入社して、人生をどのようにしていくつもりなのか」ということだったのです。そこで、両親に自分のライフプランをプレゼンしました。
「〇歳までには結婚したいし、産後も働きたい。女性社員も〇%もいて社内でこんな前例もある。毎月〇円は貯金して、〇歳までには〇円貯めて将来に備えるつもり。転勤に備えて、これから家事を教わりたい」
といった、その当時考えられるライフプランを、具体的な数字を示しながら伝えたのです。その結果、両親に納得してもらって、晴れ晴れとした気持ちで入社できました。
のちに、「あのとき自分の人生をしっかりと考えていたから、反対しなかった」と聞いて、「あのプレゼンは有効だったんだ」と思ったものです。
このように、自分の人生について具体的な数字を出しながら、「今の会社にいるよりも、転職した人生のほうが幸せになれる」と、親にプレゼンして、納得してもらいましょう!
回答2:口で説得しないで、自立した姿を見せる
回答者:澤井(元・人材コーディネーター)
転職回数:4回
転職したいけれど、ご両親を説得できずにいるのですね。
ご両親を説得するには、まずしっかりと自立した姿を見せることです。そうすることで、相談者さまのことをまだまだ子供だと思っているご両親も、「もう一人前の大人なんだな」と相談者さまの言動を認めてくれるようになるからです。
私は、相談者さまほどデキのいい子供ではありませんでしたが、両親は厳しい人でした。両親は私に公務員になってほしかったようですが、民間企業のほうが興味を持てる会社が多かったので民間企業に就職しました。
ですが、社会人になってからも事あるごとに「今からでも遅くはない。公務員試験を受けてみたらどうか。」と打診してきたのです。初めは聞き流していたものの、民間企業に就職したことを否定されているようで、家にいることが苦痛になってきました。
そこで、一人暮らしをすることにしたのです。一人暮らしを始めてからは必要以上に両親と関わることはやめて、仕事やお金もすべて自分の責任でやっていくと決めました。
すると、あれほど公務員を勧めてきた両親も、私の仕事に口出しをすることはなくなりました。会ったときに仕事の話をすると、以前より理解してくれているようにも感じました。
ということで、口だけで両親を説得しようとせずに、「自分はもう自立した大人なんだと」いうことを行動で示してみてください。
現在、実家暮らしなのでしたら一人暮らしを始めたり、すでに一人暮らしをしているのでしたら家計簿でお金の管理をしてみるのもよいと思います。
回答3:現職の不満ではなくて、ポジティブな未来を伝える
回答者:すみおか(元人事マネージャー&キャリアコンサルタント)
転職回数:1回
自分の意思で転職したいと思っていても、親がなかなか理解してくれないのは歯がゆいですね。
今の会社の不満を伝えても親に反対された場合、今後やりたいことなど「未来志向の転職理由」を伝えて、応援してもらえるようにすることをおすすめします。なぜなら、将来やりたいことや実現したいことなら、親も否定しにくいからです。
私も相談者さんと同じで、大手企業(東証一部上場)に勤めていました。この会社は社会的には評価されているイメージでしたが、実際はずっと売上が下がっていました。
将来のことを考えると、このまま働くことはリスクだと思って、親に「退職しようと思っている」と伝えました。今まで育ててくれた感謝から、親にはきちんと話をしておきたかったからです。
でも、親からは「売上が下がっていても倒産することはない」「売上を上げられるように頑張れ」と言われて、退職を強く反対されました。
そこで私は、今の会社の不満ではなくて、「今後やりたい仕事がある」「実現したいことがある」という想いを親に伝える機会を何度も持ちました。
回数を重ねていくうちに「気持ちはわかった。頑張るのなら一度やってみたらいい」と、親も納得してくれて、無事に退職することができたのです。
ということで、転職したいと思っても親に反対されたら、ネガティブな退職理由を話すのではなく、未来志向のポジティブな理由を伝えていくことをおすすめします。
回答4:先に転職してOK。転職後の姿を見せて安心させる
回答者:仲森(元人事&キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)
転職回数:7回
結論から言うと、親を説得する必要はありません。転職活動を始めてしまって大丈夫です。理由は2つあります。
1.立派な社会人だから
あなたはもう成人して、学校も卒業して、就職もした立派な社会人です。全ての行動は自分の責任で決めることができます。「転職という重要な決断は、親を説得しなくてはならない」というメンタルブロックを外しましょう。
2.説得するのは難しいから
真正面から説得しようとしても、上手くいかない可能性が高いです。これまでの家庭環境から察するに、自分の判断よりも親の顔色を優先してきたからです。
そこで、まずは一人暮らしをすることをオススメします。物理的にも精神的にも親元を離れて自立するのです。
私自身も、新卒で入った会社を2年目で辞めて、転職しました。一応、親に「転職しようと思っている」と伝えたのですが、やはり転職を反対されました。「また新しく仕事を覚えたり、人間関係を作るのは大変だよ」と。
ですが、私はすでに一人暮らしをしていたので、親との接点もほとんどないことが幸いしました。親の意見よりも、自分の「転職したい」という気持ちを優先できました。
転職後、夏休みに帰省した際に、「転職してすぐは大変だったけど、今は新しい職場にも慣れて、毎日頑張れているよ。前職よりも楽しいし、自分らしく働けている。だから安心して」と、転職して充実した日々を送れていることを伝えました。
2つ3つの小言は言われましたが(笑)、それ以降は転職したことを何も言われなくなりました。親であれば、イキイキした子供の姿が何よりも安心するんだろうなと思いました。
というわけで、先に転職して、親へは事後報告で良いのです。報告のタイミングは転職直後ではなくて、新しい環境に慣れてきた半年後くらいがおすすめです。親も今さら反対できませんし、むしろ応援してもらえるはずです。
回答5:「自分は転職したほうが幸せである」という理由を具体的に伝える
回答者:にひら(人事&キャリアコンサルタント)
転職回数:3回
親に転職を反対されているのですね。親が転職を反対するのは、「子どもに苦労してほしくない」という気持ちが大きいはずです。なので、「自分は転職したほうが幸せになれる」ということを具体的に伝えるのがおすすめです。
私はキャリアコンサルタントをしていますが、やはり親の反対が理由で転職をためらっている人の相談をよく受けます。親が反対する理由としては、
「今の会社のほうが安定しているのに、わざわざ苦労して、失敗するかもしれない会社に行く必要がない」「転職はよっぽどのことがない限りするものではない」
といった古い考えによるものが多いです。親の時代は「大企業に行けば一生安泰」や「一度入った会社を勤め上げる」というのが一般的で、幸せの形とされていたからです。
ですが、今は「大企業に入れば安泰」という時代ではありません。本人が幸せに感じているかも別です。ですから、「転職したほうが幸せになれる」ということを、親に伝えるようにアドバイスしています。
親は「子どもが露頭に迷うことなく、幸せに暮らしてほしい」と思っているので、納得してくれます。さらにいえば、ここで親を納得できない転職理由では、転職活動自体がうまくいかない場合も多いです。
そんなわけで、「自分は転職したほうが幸せになれる」という決意を可視化して、親に明確に伝えてみてください。
以上「転職したいけど、親に反対されている。どうやって説得すればいい?」の回答でした。
あなたは、これらの回答を読んでどう思いましたか?記事下にあるコメント欄にてご意見をお聞かせください。
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