今回は「産後に再就職をしたいけど、子供の体調不良時の仕事への影響が心配」という悩みにお答えします。
出産前に、育児に専念するために勤めていた病院を退職しました。子供が3歳を過ぎたので、幼稚園に預けて再就職をしようと思っています。
ですが、産後の再就職にあたって一番の不安が、「子供が急に体調を崩したら、私も看病で仕事を休まなくてはいけない日が出てくる」ということです。
看護師として再就職になりますが、看護師はシフト制で勤務します。看護師としての転職は3回目ですが、どの病院でもギリギリのスタッフ人数でした。子供の急な体調不良は仕方のないことですが、やはり急に休みを取ると職場に迷惑をかけることになります。
再就職したばかりでは有給も取れないでしょうし、シフト制で欠勤となると、「給料にも影響が出るのでは?」という不安もあります。子供の急な体調の変化に伴う仕事への影響には、どのように対処したらいいでしょうか?
[相談者:36歳女性/総合病院勤務(前職)/看護師]
回答1:自分の代わりがきくポストで復職するのがオススメ
同年代のワーママ、応援したいです!子供がいながら働く状況を、できるだけ理解してもらえる職場を見つけたいものですよね。育児をしながら仕事に復帰するためのポイントは、「代替が可能なポストで復職すること」と「子供のフォロー体制を整えること」です。
「代替可能な仕事なんかで妥協したくない!」と思うかもしれませんが、今の状況だと、それがベストです。なぜなら、自分の代えがきかない仕事だと、急に休みを取ることが難しくなってしまいますし、休めたとしても、欠勤の回数が増えると職場に迷惑をかけてしまうからです。
私が人材派遣会社でスタッフを派遣していたときも、「育児がひと段落したので、また働き始めたい」という人が多くいました。そのような派遣スタッフに仕事を紹介するときは、「営業所内での一人事務」のような派遣先は避けて、同一業務を複数名で担当している派遣先を紹介するようにしていました。
よほど企業が求めるスキルと派遣スタッフの経験がマッチしていれば、その限りではありませんが、基本的には代替可能な仕事のほうがマッチング率も高かったです。
また、派遣登録面談のときに必ず、「お子様が体調不良になったとき、お母さん以外に看病してくれる人はいますか?」と確認していました。「夫が対応可能」でも、もちろんよいのですが、「祖父母や親戚が近くにいてフォローしてくれる」と聞くと、安心度合いは高かったですね。
もし「身内が近くにいない」ということでしたら、ご主人も仕事が休めないときのことを考えて、病児保育のサービスを探しておくのもよいと思います。お子様のフォロー体制が整っていると、派遣先であるクライアントにも推薦しやすかったです。
このように、まずは応募段階で職場環境や業務内容をよく確認して、急な欠勤にも対応できそうなポストの求人を選びましょう。そして、就職活動と並行して、お子様のフォロー体制を整えておくと、より安心です。
回答2:「子供優先」か「仕事優先」かで就職活動の内容は変わる
元・職業訓練校職員の小池です。
お子さんの幼稚園入園を機に再就職を検討しているけれど、不安があって一歩踏み出せずにいるようですね。
私にも幼稚園に通園している子供がいますが、年少のときは、風邪や感染症で頻繁にお迎えや通院、看病がありました。それに加えて、夏休みなどの長期休暇、園行事や園から依頼の作業(草刈りや役員の仕事、行事のための小物づくりなど)があって、結構忙しかったです。
なので、まずはご自分の中で「優先順位」をつけてから、就職活動をしてください。優先順位の一番をお子さんにするのか、仕事にするのかによって、就職活動は変わります。
私が勤務していた職業訓練校でも、お子さんがいる受講生はたくさんいました。お子さんや家庭の状況は人それぞれでしたが、やはり、大きく分けて、「子供を優先するか」「仕事を優先するか」の2つのパターンで、おすすめする就職先が大きく違いました。なので、私からは、パターン別に就職活動のアドバイスをしたいと思います。
子供を優先する場合
休みやすさや融通の利きやすさをメインの条件として、就職先を探すことになります。その際に、看護師だけでなくて、資格を活かして看護師以外の仕事を探す手もあります。看護師に絞るよりも、時短勤務やシフト調整が可能な仕事もたくさんあって、希望の条件に近い仕事は見つかるはずです。
仕事を優先する場合
就職活動の前に、次のことをしておくと就職活動がしやすくなりますし、実際に必要なときにすぐに頼ることができます。
- 夫、両親、義両親など、周囲の人への協力依頼
- ファミリーサポートの登録
- 病児保育や病後保育が可能な施設の確認や登録
子供優先、仕事優先、どちらの場合も、入園予定の幼稚園の決まりを確認しておくと良いです。例えば、預かり保育や延長保育の条件、体調不良時のお迎えの条件(発熱でお迎えなのか、嘔吐でお迎えなのかなど)の確認をしておくと、就職後の生活がイメージしやすいです。
そして、転職サイトや転職エージェントをうまく利用すれば、希望する条件に近い仕事が探しやすくなるので、おすすめです。
まとめると、子供か仕事か、優先順位を決めてから就職活動をして、就職前から、就職後のお子さんの体調不良への対応の仕方をイメージしておくと、仕事への影響も少なくなります。
回答3:職場のフォロー体制を確認&有給までの半年を乗り切る
私が勤めている会社にも、子育てしながら働く女性がたくさんいます。やはり、急な呼び出しで仕事を途中で切り上げる人もいますが、その分をみんなでカバーするので、仕事への影響はあまりありません。
最近の企業(病院も含む)は、子育てをしながら働くことへ理解があるところが多くなっています。ですので、再就職する際に、今は子供に手がかかる旨をきっちり伝えて、フォロー体制が整っているかどうか確認するとよいでしょう。
フォロー体制が整っている職場であれば、仮に休まざるを得ないときも、影響は限定的ですから、安心して働くことができます。
ちなみに、私はリハビリのために総合病院に通っていたときに、子育てをしながら働く女性が多数いたのを覚えています。なので、再就職先として、看護師以外の別部門も検討するといいかもしれません。
ただし、仕事に復帰して注意してほしいのが、たびたび欠勤をしていると、職場内での不満の火種になる可能性があることです。なので、職場の人に「子供が大きくなるまで、ご迷惑をおかけします」と断りを入れたり、日頃から感謝を表すようにしましょう。決して「休んでも当然」という態度を取ってはいけません。
そして、「欠勤で収入が減る」という問題ですが、有給であっても欠勤であっても休むことで職場に穴を空けることは同じです。欠勤の場合、その分給与がマイナスになるのは仕方がありません。有給が付与されるのは、入社半年後です。それまでは、「欠勤で収入が減る」ことを前提に、家計のやりくりを頑張ってください。
これらを踏まえて、子育てに理解がある職場に再就職して、収入面では有給が取れない最初の半年を乗り越えれば、なんとかなります。
子供も大きくなるにつれて病気への抵抗力がついて、小学校にあがる頃からほとんど休まなくなる場合が多いと思います。それまでは、日頃から職場の人たちに支えられていることに感謝しつつ、子供に手がかからなくなったら、今度はあなたが職場の誰かを助ける側になるのです。長い視点で考えて、仕事に取り組めば大丈夫です。
回答4:心苦しさを最小限にするために、事前にできる2つのこと
小さいお子さんの発熱や体調不良は、本当に仕方のないことですよね。それに対して、きちんと予測して、「なるべく迷惑をかけまい」とされている姿勢は、とても素晴らしいと思います。
今回の問題に対処するには、「あらかじめ面接時に事情を話しておくこと」と「頼れる機関や人を準備しておくこと」が大事です。それぞれについて、詳しくお話しします。
1.あらかじめ面接時に事情を話しておく
面接時に、必ず「シフトにどの程度入れるのか」という話になると思います。そのときに、正直に、小さい子どもがいて急に体調不良になる可能性があることを伝えておきましょう。
この状況をカバーできないような勤め先の場合、落ちる可能性はありますが、勤めてからつらい思いをするより、よっぽどいいです。逆に、状況を理解の上で採用を決めてくれた勤め先でしたら、シフトも融通を利かせてもらえる可能性があります。
2.頼れる機関や人を準備しておく
「頼れる機関」というのは、民間の病児保育室や病児保育サービスのことです。あらかじめ登録しておくことで、子どもが熱を出して預けたい日の前日や当日に依頼できます。
「頼れる人」の準備は、親や親戚、兄弟、近所のママさん友達など、頼れそうな人がいるのでしたら、その人に事前に交渉をしておくことです。無料でお願いすることに気が引けるようでしたら、多少お金を支払ったり、お礼を渡したりするのも良いと思います。
子どもの急な体調不良で休まなければいけない期間は、ある程度限られていると思います。その間、心苦しく思うこともあるかもしれませんが、事前の準備で心苦しさを最小限にすることはできます。職場への事前の相談と、頼れる機関や人の準備をして、少しでも気持ちを楽に再就職してください。
回答5:私がフルタイムで働けなくなったときに取った行動
臨床心理士の佐藤です。
仕事に復帰するにあたって、たくさんの不安や心配がありますよね。私が同じ状況だったら、まずは頼れる相手をたくさん作ることに力を入れます。なぜなら、頼れる相手をたくさん作ることで、実際に頼ることができるだけでなくて、心に余裕が生まれるからです。
私は、以前の職場で勤務しているときに、体調の問題からフルタイムで勤務することが難しくなったことがあります。
そのときに、職場では上司、人事、産業カウンセラーに頼りました。上司には仕事の分担や引継ぎなどの具体的な対策について、人事には自分の働き方について、産業カウンセラーとはキャリアプランについて相談することで、それぞれの問題を適切に解決できました。
また、プライベートでは、まずは夫に働き方と経済的不安を相談して、今後の家計の不安が解決するまで話し合いました。主治医には、今の自分にとって無理のない働き方について、医療面から意見をもらって、友人には愚痴を聞いてもらいながら、第三者の視点でアドバイスを受けました。
このように、頼れる相手を複数に分散することで、自分の不安を分解しながら一つひとつをしっかり解決できました。
私が相談者様と同じ状況の場合、仕事については上司や人事にどういった対策が取れるか相談します。育児については、夫や自分の親に相談を持ちかけると同時に、病児保育などの専門機関や民間サービスに使えるものはないか、徹底的に調べておきます。
経済的な不安についても、役所の子育て支援課に行って、自分に使える補助制度はないか調べます。
そうすれば、実際に子供が体調不良になったときも、パニックや焦りで混乱せずに、「この仕事は〇〇さんに頼んでおこう」「夫の仕事に余裕のある時期だからお迎えを頼もう」「今日の仕事は絶対に行かないといけないから病児保育を利用しよう」などと、冷静に判断・対応することができます。
というわけで、頼れる相手をたくさん作って、産後の再就職の手助けになる情報を収集することをおすすめします。
回答6:まずは家族のサポート、次に子育てに理解のある職場を探す
出産後の再就職、不安ですよね。私は多くの女性の産後の仕事復帰に関わってきましたが、「子供への関わり方」と「家族のサポートの有無」で仕事選びは変わってきます。
たとえば、仕事を早く終えて、子供のお迎えになるべく早く行きたい人もいれば、仕事優先でギリギリまで延長保育を利用する人もいます。旦那さんや両親のサポートを受けられれば、仕事にも集中できますよね。
私は2人の子供を育てながら仕事を続けていましたが、子育てよりも、仕事を優先するタイプでした。でも、子供は体調管理に毎日気をつけていても、急に発熱したり、具合が悪くなったりすることが多いので、どうしても仕事に影響が出ます。
そんなとき、私は祖父母に子供の看病を任せて、仕事に影響が出ないようにしました。なので、まずは一人で子供を育てようと思わずに、家族にサポートしてもらえないかを検討してみてください。
もし、家族のサポートが難しい場合は、お子様がいても働きやすい職場を探すことをおすすめします。ママさん向けのお仕事は、職種に限らず、ここ数年でずいぶん増えてきました。
残業のない仕事はもちろん、「週3勤務」や「15時まで勤務」などの求人もよく見かけます。私の会社では、子供を職場に連れて行くことがOKでした。子育てに理解のある体制があったので、安心して仕事ができました。
また、ママさんが多い職場では、「困った時はお互い様」と、急なお休みや早退が必要な際には、みんなでサポートしあう体制がとれている職場も多くあります。
そんなわけで、まずは家族のサポートがどの程度期待できるか、整理してみてください。もし、家族のサポートが難しくても、仕事優先で働きたいようでしたら、子育てママに理解のある職場を探すことをおすすめします。今の時代なら、子供の急病にも対応してくれる職場はみつかるはずです。
3行まとめ:産後に再就職をしたいけど、子供の急病が心配な場合の対処法
- 働き方が「子供優先」か「仕事優先」かを決めて就職活動をする
- 自分が抜けても代わりがきく仕事や、フォロー体制が整った職場を探す
- 頼れる人(親、親戚など)や機関(病児保育サービスなどへの登録)を準備
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