今回は「転職活動が長期化してつらい」という悩みにお答えします。
前職はCGクリエイターの仕事に就いていたのですが、毎日平均で2、3時間ほどの残業が当たり前でした。入社して3年間のうち、定時で帰れた日なんて片手で数えるほどしかありません。土日出勤になることも多くて、多いときは月3回くらい休日出勤です。
結婚してからも仕事は続けたいのですが、子供ができてからのことや将来のことを考えて、退職しました。
そのあと定時で上がれるような事務職に就くため、転職活動を開始しました。ですが、事務職は女性から人気が高いらしくて、倍率もすごく高いようです。また、私は事務未経験のため、経験者にはかなわないようで、5社受けたところ全て落ちてしまいました。
なかなか仕事が決まらなくて、無職の期間も4ヶ月目に入りました。転職活動を始める前は「2ヶ月くらいで決めたい」と思っていたのですが、長期化してしまっています。正直、疲れました。
最近になって事務の資格の勉強も始めたのですが、転職活動に疲れてしまってあまり集中できていません。
本当はもっと応募する企業を増やして、面接を受ける回数を増やしていかなきゃいけないのに、転職活動のモチベーションが上がらなくなってしまってつらいです。こんな時はどうしたらいいでしょうか?
[相談者:25歳♀/画像制作会社(前職)/CGクリエイター(前職)/社会人3年目]
回答1:「何をしたいのか」を具体的にしてから転職活動をする
転職活動に苦戦しているようですね。色々なことが不安で、あれもこれも対策をとろうとするあまり、どれも中途半端になってしまっている印象です。
まずは、どのような仕事に就きたいのか業種や職種をもっと調べたり、志望動機を具体的に考えてみてください。そうすることで応募したい会社が明確になって活動数も増えるでしょうし、モチベーションも維持できるようになります。
私は今までに4回転職していますが、4回とも1ヶ月以内に内定をもらいました。このうち、未経験の職種へ転職した回数は2回です。この2回のうち、営業から人材コーディネーターに転職したときに意識したポイントをお伝えします。
私は新卒で就活をしていたときから、「知識を活かしたアドバイスをして人の役に立ちたい」という思いが強くありました。そこで、対個人の営業職に就職したのですが、営業だと売り上げがついて回るので、人の役に立ちたい思いだけではやっていけませんでした。
そんなときに「人材コーディネーター」という仕事を初めて知りました。人材コーディネーターだと、思い描いていた働き方ができると思って転職先のターゲットを絞りました。
ですが、当時24歳でしたので、人材コーディネーターをするには社会人経験が浅くて未熟でした。前職は営業でしたが、ほとんどパソコンを使っていなかったのでOAスキルも低かったです。ですので、スキル面でアピールするのは諦めて、志望動機を熱く語ることで内定をもらいました。
このように、業種や職種にとらわれず、何をしたいのかをよく考えてみてください。モチベーションが上がらないのは、条件面だけで「定時で上がれる事務職」を希望しているからです。もっと自分がワクワクできる仕事を具体的にしてから転職活動することをおすすめします。
回答2:今持っているスキルを活かせる職場を探す
「CGクリエイターから、定時で帰れる事務職への転職を考えている」ということですが、おっしゃるとおり、事務の仕事は非常に倍率が高いです。なぜなら、相談者さまと同じように、「定時で上がれて働きやすそうだから」という理由で志望する人が多いからです。
経験があっても転職が難しいことがあるくらいなので、未経験での転職は、よりハードルが上がります。
そこで、本来の目的を思い出してください。もともと転職したい理由は「結婚や子どものことを考えて定時で帰れる仕事がしたい」だったはずです。でしたら、倍率の高い事務の仕事にこだわらないで、今のスキルと合う仕事で、残業のない仕事や職種を目指すことをおすすめします。
私のクライエントで、相談者さまと同じ理由でエンジニア職から事務職を目指す人がいました。当初は「絶対に事務職がいい」と言って事務職ばかり受けていたのですが、一向に決まりませんでした。
なので、一緒になぜ転職したかったのかを洗い出してみました。すると、もともとは「残業の多い今の仕事から残業のない仕事に就きたい」というのが転職理由で、エンジニア職自体が嫌なわけではないことがわかりました。
そのような視点で改めて求人を探してみると、残業がなくて、スキルも活かせる仕事がたくさんあることがわかりました。結局、その人は大手の社内SEに転職を決めて、今ではSEのスキルを活かしながら二人のお子さんの子育てと両立しています。
このように、転職前のスキルを活かせる仕事で本来の要望を叶えられるケースがあります。せっかくCGクリエイターのスキルがあるので、「スキルを活かせて残業がない仕事はないか」という視点で、仕事を探し直してみてください。
回答3:応募数を10社に増やして、コマを多く持つ
転職活動が長期化している原因の一つは、応募数が少なすぎることです。以前、「未経験職種への転職」相談でも回答しましたが、未経験事務への転職のハードルは高いです。内定を得るためには、応募社数を増やす必要があります。
大手転職サイトのリクナビNEXTによると、1社内定に至るまでの「応募社数の平均は7.5社」というデータがあります。
私が現役のキャリアアドバイザーだった頃も、「6~7社の応募が必要」と候補者にお伝えしていました。5社応募しても内定まで進まないのは当然の結果です。今回は未経験職種への応募なので、平均以上の社数を応募しないと選考通過は難しいです。
3ヶ月で5社という応募状況から察するに、会社の規模や知名度だけでかなり応募企業を厳選しているか、併願せずに1社の選考結果が出るまで次の企業に応募していない状況のどちらかと思います。どちらもやり方としては悪手です。複数の企業を併願して、人や雰囲気を見比べるのが、合理的な転職活動です。
というわけで、まずは気持ちを切り替えて、1ヶ月で10社の応募を目指すことをおすすめします。同時進行で複数の企業を見比べて進めて、1社の選考がNGになっても他の企業の選考が残っていれば、活動のモチベーションも維持しやすいはずです。
回答4:楽なイメージではなくて「やりたい仕事」を軸に転職活動をする
元・職業訓練校職員の小池です。
転職活動の長期化によって、モチベーションが下がってつらくなることは珍しくありません。職業訓練校でも、転職活動がうまくいかずに応募を踏みとどまったり、転職活動が消極的になったりしてしまう人がいました。
そして、職業訓練校の受講生にも事務の人気は高くて、志望する人がたくさんいました。その中で、就職活動が長期化する人に多かったのが、相談内容と同じく「定時で上がれそうだから」「誰でもできそうだから」「楽そうだから」というイメージ先行で転職活動をする受講生でした。
楽なイメージを軸にした転職活動は、長期化や転職後のミスマッチも多いのでおすすめできません。実際、事務職は定時で上がれる仕事とは言い切れません。
私は営業事務を5年弱やっていましたが、残業や休日出勤も多い上に、繁忙期は早朝6時に帰宅して2時間後の8時に出勤することもあったので、結婚後はとても家庭が回らないと思って寿退社しました。
その上、楽なイメージを軸に応募する人は、仕事内容に熱意があるわけではないので、仕事に対するやる気を他の応募者と比べられると採用されにくいのです。
なので、楽なイメージではなくて「やりたい仕事」を軸に転職活動をしてみてください。やりたい仕事の中で、定時に上がれるような仕事を探せばモチベーションも上がりますし、面接などでも採用担当者に意欲が伝わって、転職活動の長期化をストップできます。
回答5:しっかり休息をとって、心のバリア機能を回復させる
臨床心理士の佐藤です。
モチベーションを上げるには、しっかりと休むことが大切です。たとえば、身体を酷使すると筋肉痛や疲労で動けなくなりますよね。心も同じように、ずっと使っているとどんどん弱ってきます。
転職活動では、不安や緊張、焦りといったネガティブな気持ちがたくさん生まれます。そんなとき、心は「防衛機制」というバリア機能を使って、ネガティブな気持ちから、私たちの「自信」や「自己肯定感」を守ってくれているのです。
バリアの例を挙げると、テストで悪い点を取ったときに、「次はいい点とるぞ!」と奮起して勉強するのは「昇華」というバリア、逆に「今回はあんまり勉強してなかったから仕方ないや」と言い訳するときは「合理化」というバリアが働きます。
このようなバリアで守られているからこそ、私たちは次の一歩を踏み出すためのモチベーションを維持することができるのです。
でも、心が疲れてくるとバリアが弱まってきます。すると「私はダメだ……」と落ち込んで、次の行動を取ることも不安になってモチベーションが下がり、行動できない自分を責める……という悪循環にはまってしまうのです。
なので、1日でいいので、ゆっくり休む時間を取ってみてください。よく眠って、大好きなご飯を食べて、ゆっくりお風呂に入る。そんな自分の心と身体の声を大切にする時間を作ってみてください。しっかりと休むことで、心のバリアが回復してモチベーションも復活するはずです。
回答6:スモールステップでメリハリをつけて進めていく
転職活動が想定よりも長期になると、精神的に疲れてしまってしんどいですね。そんな中でモチベーションを維持するのはとても大変なので、「スモールステップ法」で目標設定をしてメリハリをつけて進めることがおすすめです。
私はキャリアコンサルタントとして、同じように長期にわたって転職活動をしている人を支援したことがあります。その人もモチベーションはかなり下がっていましたので、転職活動の進め方を考え直して、転職という目標以外にも各段階で目標を立てる「スモールステップ」で進めることを提案しました。
具体的には、
- 今までの活動を振り返る
- 希望する仕事・業界を再度分析する
- 自分の経験と重なる部分を見つける
- 伝え方を考えていく
というように小さなステップに分けて、ステップ1つひとつに目標を設定します。設定した目標が達成できたら、そのあとには必ず休憩やご褒美を用意して休むようにします。休んだらまた次の目標に向けて取り組んでいくことを繰り返しました。
遠回りに思えますが、選考結果で不合格が出た場合にも最初に戻ることはなく、見直しを行なって次に挑戦していけたので、モチベーションをキープしながら無事に採用に至りました。
というわけで、私のおすすめは、スモールステップで目標を設定してメリハリをつけて取り組んでいくことです。目標設定が一人で難しいと感じた時は、転職エージェントに登録してキャリアコンサルタントのサポートを受けるのもいいと思います。
3行まとめ:転職活動が長期化してつらいときの対策
- 労働条件や楽なイメージではなくて、「やりたい仕事」を探す
- スキルを活かせる仕事を、本来の要望を叶えられる仕事を探す
- 応募社数が少なくないかチェック。同時進行でも目標はひとつずつ設定
コメントを書く
この記事へのコメントはありません。