会社の朝礼でスピーチや社訓を唱和する意味について、次のような相談をいただきました。
相談
私の会社の朝礼は45分ほど行ないます。まず、外に出てラジオ体操から始まって、オフィスに戻ってから、朝礼当番が一人前に立って、経営方針や経営理念を発声します。
そのあとに、当番がスピーチをするのですが、スピーチが終わると、そのスピーチに対して思ったことを発表する人を指して、前に出てスピーチをさせられます。
私は人前で話すことにとてもストレスを感じてしまうため、朝礼は本当にストレスです。名指し制度があるため、毎日スピーチをする可能性があって、朝礼の時間が苦痛で仕方ありません。特に、当番の前日は緊張で寝られないほどです。
朝礼に45分もかけるなら、その時間を仕事の時間にあてたほうが、よほど会社のためにも、社員のためになると思うのです。朝礼の必要性はゼロとは言いませんが、社員にストレスがかかるようなことを毎日やる必要ってあるのでしょうか?
[相談者:30歳女性/ケータイショップ/事務職/入社1年目]
一見すると、ブラック企業特有の社畜洗脳儀式のように感じてしまいますが、実は事業や仕事の目的を再確認できる、意味のあることなのです。
そこで、このページでは、人事・キャリア相談のプロ7名が、社員教育や仕事相談の経験を活かして、朝礼で社訓を唱和させたり、スピーチをさせる意味について、次のような内容で見解を述べていきます。
この回答をすべて読めば、毎朝の朝礼の疑問が解消されて、意味のある朝の時間になるはずです。
回答1:朝礼=トレーニングと考える。私が実践したスピーチ対策法
元・職業訓練校職員の小池です。
毎日朝礼に45分もかけていることに疑問を感じているようですね。私も相談内容を見て、「毎朝45分は長すぎるんじゃないか・・・?」と思いました。
でも、会社が業務時間の45分を使ってまで朝礼を行なっているのには、必ず理由があります。私が以前勤めていた会社でも、ラジオ体操や、経営方針や経営理念の復唱、3分間スピーチがありました。
ラジオ体操は、研修時の説明で「体を動かすと血が巡って頭が冴える」と言われました。経営方針や経営理念の復唱は昼礼でもあって、「社員全員が会社の顔なので、会社の軸となる経営方針や経営理念は覚えるように」と言われました。
スピーチについての説明はありませんでしたが、上司が「部下の人となりや考え方がよくわかる」と言っていたことがありました。
私もスピーチは得意ではなかったので、当番の前日は憂鬱でした。そこで、対策としてスピーチの材料を日常的に集めていました。時事問題や話題の物事、社内で起こったトラブルや顧客から褒められたこと、季節の話題などにアンテナを張って、スピーチのネタになりそうだと思ったことをメモしていました。
このスピーチの材料集めは、とても効果がありました!
まず、当番の社員が急な休みでいない日に、突然スピーチをすることになっても話ができるようになりました。また、来客対応や電話応対での会話がスムーズになりました。さらに、定期的にスピーチを行なうことで、人前で話すことへの抵抗が減りました。なんと、朝礼のスピーチ対策のつもりが、一石三鳥になったのです。
このように、朝礼で行なっている内容には会社にとって理由があって、その効果もあります。理由は会社によって違いますが、効果は自分のものです。「朝礼で仕方なく・・・」と思って「ストレス」ととらえるよりも、「効果」に目を向けて「自分の成長のためのトレーニング」と考えると、やる気も出てくるはずです。
特にスピーチが苦手なようなので、ぜひ材料集めを習慣にして、頭の中にたくさんの話題の引き出しを作ってみてください。業務にもきっと役立ちますよ!
回答2:朝礼は仕事に役に立つ!私が経験した具体的な効果
中途入社で、長時間の朝礼の経験がないと、45分の朝礼はビックリするかもしれませんね。ですが、私は朝礼をする意味はあると思います。なぜなら、私が新卒で入社した会社の朝礼も、相談者さまの会社と似ていましたが、仕事の役に立ったからです。ですので、まずは私の経験をお話したいと思います。
時間は毎朝60分と長くて、ストレッチ体操に始まり、朝礼当番が前に出て進行をして、今月の目標を確認します。
そのあと、ロープレを行なって、部長が「良いロープレをしている」と思ったペアを名指しするので、そのペアが前に出てロープレを披露します。それを見て、どう思ったか、名指しされた社員数名が発表します。
私は新卒だったこともあって、特に違和感を感じずにこの朝礼を受け入れることができました。それに、営業職だったので、ロープレを通して話力が身に付きましたし、先輩社員の前で話すことも多々あったので、人前で話す度胸がつきました。
ロープレや先輩社員の話す内容から、商品知識やクロージングの決め言葉も学ばせてもらいました。入社当初は「これって意味あるのかな?」と思ったストレッチ体操ですが、朝一番にストレッチをすることで、頭を仕事モードに切り替えることができました。
私の場合と同じように、ご相談の朝礼内容は、職場である携帯ショップで勤務する上で必要な内容だと感じました。それぞれ、具体的に次のように仕事に活きてくると考えるからです。
- 経営方針や経営理念を発声する→ハキハキと大きな声で話せるようになる
- 当番が前に出てスピーチする→人前で緊張せずに話せるようになる
- スピーチを見てどう思ったか発表する→お客様の話を聞いて的確なコミュニケーションが取れるようになる
ですので、表面だけ見ると意味のないように感じてしまう朝礼ですが、「どう仕事に活きてくるだろう?」と考えながら参加してみてください。そうすると、「朝礼から得るものがある」と思えるようになるはずです。
回答3:私が考える、朝礼をする意味。共通するのは「社員育成」
朝礼には賛否両論があるのも事実ですが、毎日45分も朝礼に時間をかけている職場は、「かなり力を入れてくれている」とも考えられますね。残念なことは、誰からも「朝礼の大切さ」の説明がないことです。ですので、この場で「朝礼を行なう意味」を、内容別に考えてみましょう。
ラジオ体操をする意味
工場の朝礼にお約束と言えるのが、ラジオ体操ですね。眠気を覚ましたり、身体をほぐすことによって、事故防止を目的とします。また、仕事前に軽く体を動かすと、シャキッとしますので、「これから仕事が始まるぞ」という切り替えにも有効です。
経営方針と経営理念を読み上げる意味
経営方針は、「お客様のために」「社会の発展のために」などの至極当たり前のことを掲げられていることが多いです。「わかりきっていることを毎日復唱して、なんの意味があるんだろう?」と疑問に思うのも当然です。
ですが、経営者にとって、事業の目的を言葉に集約したものが経営方針や経営理念なのです。決して「携帯をいっぱい売って儲けるぞ」とか「自分の会社さえよければいいのだ」ではないのです。
仕事をしていると、つい自分や会社の都合で考えてしまいがちですが、そうではなくて、大切なことは「お客様のため、社会のために行動すること」です。これらを忘れてほしくないために、毎日発声するのです。
スピーチをする意味
スピーチは、人前に出てもしっかり自分の意見が言えるようになるための訓練です。最初は緊張しますが、慣れてくればそれほど緊張しなくなります。今は人前で話すことがストレスかもしれませんが、仕事をする上では、人前で話すことも必要な要素ですから、ぜひ朝礼を通じて克服してほしいと思います。
そして、せっかく社員みんなの時間を使っているので、気の利いたことが言えるようになれれば一人前です。中には話すことをメモにして読み上げる社員もいますが、私の部下にはさせていません。自分の言葉で伝えることに意味があるからです。
以上のように、朝礼で行なう一つひとつの内容や行動には、それぞれの意味や目的があって、それらに共通するのは、「社員育成」です。直接的な業務ではないですが、会社側は、社員の基礎力を底上げするための教育として、朝礼を行なっているのです。このことを理解できれば、朝礼への意識も変わるはずです。
回答4:朝礼がないと起きるデメリットを考えてみる
ご相談を読んで最も問題だと感じたのは、「朝礼に必要性を全く感じられなくて、それゆえに苦痛にしか感じていない」ことです。
このような場合、「朝礼がないと起きるデメリット」を考えてみることをおすすめします。例えば、次のようなデメリットが考えられます。
ラジオ体操がない
→頭が冴えないまま仕事を始めることになる
経営方針や経営理念を確認しない
→自分で定期的に確認することはないので、忘れてしまう。何のために仕事をしているのか、見失ってしまう
スピーチがなくなる
他の人が、どんな気持ちでどんな仕事をしているのかわからなくなる。自分がどう思っているのかも伝える機会もなくなる
こうしてデメリットを考えてみると、朝礼の必要性が見えてきます。今、苦痛を抱えている一番のポイントは、「朝礼をやる必要性を感じられない」ところにあると思いますので、必要性を認識できると、朝礼に対する気持ちが変わると思います。
実は私の会社では、社員から「朝礼は不要だ」との声が多く上がって、一度朝礼がなくなったことがあります。
ですが、実際になくなってみると、他の部署が今どんな目標で何をしているのかもわからない、他部署との共通の話題が減る、経営理念を忘れる、職場の一体感がなくなる、など様々なデメリットが発生しました。そして、結局、社員から要望が出て朝礼が再開されました。
私の職場のように、朝礼をなくすのも、また復活させるのも、非常に手間がかかります。「なくしたい」と言い出すのも、勇気がいることでしょう。
そこまでしなくても、あらかじめ自分なりにメリットを見出だすだけで、大分苦痛が和らぐと思います。ぜひ、「朝礼をやらないデメリット」を一度考えて、必要性を見出してみてください。
回答5:心理学的に考えると、朝礼にはこんなプラスの効果がある
臨床心理士の佐藤です。
「朝礼が業務に必要か」というご質問ですが、YESでもあり、NOでもあります。まず、スピーチでの緊張が過度なストレスとなって眠れないほどでしたら、業務にも支障をきたすので、そのような朝礼は業務に不要でしょう。
一方で、朝礼は心理学的に考えると、「チーム意識」と「個人の緊張感」を同時に高める効果があります。
心理学では、自分と同じ行動や言動をする相手に好意や仲間意識を持つ、「ミラーリング効果」というものがよく知られています。
ラジオ体操で同じ動きを、経営方針や経営理念について同じ言葉の発声を、毎朝社員全員で繰り返すことで、心理的にチーム意識を高めることができるのです。チーム意識が高くなれば、業務での生産性も上がります。
ただ、チーム意識には欠点もあります。集団の中にいることで、個人が手抜きをしてしまうのです。これを心理学では「リンゲルマン効果(社会的手抜き)」と呼びます。
リンゲルマン効果を証明したのが綱引きの実験です。綱引きを1人で引くときの力を100%とすると、8人で綱を引いたときの1人当たりの力は49%にまで下がってしまったのです。
だからこそ、朝礼では個人のスピーチで緊張感を持たせることも必要になります。個人にストレスをかけることで、業務の集中力や生産性を高めることができるのです。
というわけで、朝礼の緊張で眠れなくなるほどなら、業務に支障をきたすので不要ですが、心理学的に見れば「チーム意識」と、緊張感による「業務の生産性」を上げる効果が期待できるため、必要だと言えます。
回答6:苦手を克服して成長する機会として活用する
おっしゃるとおり、45分の朝礼は長すぎますね。朝礼の目的は、主に次のことが挙げられます。
- 社員の出欠と、その日やるべき業務の確認
- 連絡事項の共有
- 社員間のコミュニケーション(朝礼スピーチのシェア)
- 士気向上
これらを5〜15分程度でサクッと行なって、本業に取り組むのが一般的です。ですが、当番制のスピーチだけでなくて、その感想までもスピーチし合うため、45分もかかるとお見受けしました。これが毎日なら、苦痛に感じるのも無理はありません。
そこで、ストレスばかりを感じて「意味がない」と感じる時間を、視点を変えて「自分にとって意味のある時間」にすることをおすすめします。
例え話になりますが、野菜をおいしく育てるためには、栽培の過程で、あえて水を与えない手法があります。野菜はストレスを感じるのですが、そのストレスによって糖分が増えたり、成長が早まって、おいしい野菜に育つそうです。
これは、人間でも同じことが言えます。あえてストレスを感じる環境に身を置くことは、人としての成長に繋がります。
今回、特にストレスに感じているスピーチは、コミュニケーション力を向上させる意味もあるでしょう。事務職という立場上、接客はメインの業務ではないですが、コミュニケーション力は高いほうが良いですよね。
そんなわけで、朝礼を意味のある時間にするためには、ストレスを感じる環境を逆に利用して、「苦手を克服するんだ」という気持ちで朝礼に参加することをおすすめします。
回答7:朝礼が苦手な私でも、朝礼の必要性は理解・納得できている
朝礼が45分もあることに、びっくりしました。たしかに長いと思います。それだけ朝礼に力を入れている会社でありながら、社員に朝礼の必要性が周知されていないのが、ストレスの原因になっていると感じました。
私の会社でも、入社以来ずっと朝礼があります。同じように会社の基本指針(私の会社では「クレド」と呼びます)を全員で唱和して、当番制でスピーチが回ってきます。ですが、私は入社時に、クレドの唱和やスピーチの必要性を、先輩から次のように教えてもらいました。
会社の基本方針(クレド)の唱和の必要性
単純に「声出し」の効果もあるけど、クレドは、「何事も判断に迷ったらクレドに戻る」というぐらい全社員が指針とするもの。
だから、クレドを唱和することで、常にその日の行動指針に反映できるようになる。毎朝決まった時間に、全国各支店の全社員がクレドを唱和することで、社員の結束力を高める効果もある。
スピーチ(目標スピーチと自由スピーチ)の必要性
目標スピーチは、その月やその日の目標を声に出すことで、目標に対しての達成度が明確になって、1日を有意義に過ごせる。自由スピーチは、人前で話すことの度胸付けや、話し方が身についたり、話題を探し出せる能力が身につく。
実際、朝に大きな声を出すと、気持ちがオフからオンへ切り替わるので、その後の仕事に集中できていると感じています。また、みんなで同じクレドを唱和することで、「今日も頑張ろう!」と一体感を感じます。
スピーチに関しては、私も人前に立って話をするのは、とっても苦手です。ですが、「練習だ」「鍛錬だ」と思って、スピーチ当番の数日前から準備をして臨んでいます。
新聞やテレビを見る際も、「朝礼のスピーチに使えるかも・・・」といつも考えるようになりました。朝礼以外でも、他の社員との話題のネタになりますし、お客様との話に詰まったときに役立つこともあります。
というわけで、朝礼での経営理念の唱和やスピーチは、仕事をする上でも意味のあるものです。一度、先輩に朝礼の意義を聞いてみるのもおすすめです。朝礼の必要性を納得できれば、つらい朝の時間も有意義な時間に感じるはずですよ。
3行まとめ:よくある朝礼の内容にはこんなメリットがあった
- ラジオ体操→眠気が覚めて、頭が仕事モードに切り替わる
- 経営方針や経営理念の発声→事業や仕事の目的を再確認できる
- スピーチ→人前で話す練習になるし、同僚の考えも知れる
以上「会社の朝礼でスピーチや社訓を唱和する意味ってあるの?」の回答でした。
あなたは、これらの回答を読んでどう思いましたか?記事下にあるコメント欄にてご意見をお聞かせください。
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いやだと言っている人に、効果があるからと言っているのは何の解決にもならない。
効果がある人ばかりでないし、性格的に本当に無理な人もいる。
特に日本の会社は社員をひとまとまりでしか考えれないから、ダメだってことに気づけよ。
会社の理念や各種行いに、理解・共感出来ないなら無理に務める必要もなければ、居続けて文句をまき散らす方が迷惑(=害)である。代わりの人は他に居るので一刻も早く自己都合退職して、自分の信じるやり方で一人で事業を行うか、お気楽フリーターするなど好きにする方が会社、社会、お互いのためである。
朝礼と唱和と所感のある会社に数年努めたけど、ハッキリ言って無駄。毎日45分もかけてると年間で1人あたり180時間前後も無駄になる。
通勤で十分運動するんだからラジオ体操は不要。
体操するより朝飯をしっかり食っとけば冴える。
人前で度胸付けや一般的なコミュニケーションは
学生のうちに身に着けろって話。
今まで3つの会社で10年づつくらい勤務してまいりました。
1社目:朝礼無し。(ラジオ体操と掃除)
2社目:社訓の唱和のみ(1分程度)、5年に1回くらい当番があたる
現在:週一の朝礼(15分程度、週内の予定やスピーチがある)、スピーチは半年に1回くらいあたる
どの会社でも、朝礼や体操が不要と思ったことはありませんでした。
45分もかけているところがあるというのは初めて知りましたが、
8割くらいは朝礼ではなく、業務か社員教育として行う内容だと思います。
スピーチとか社訓を暗記して叫ぶとか苦手な人にはパワハラレベル
社訓の唱和なんて毎日やる必要ないわな。多くても週一回で充分。
スピーチも当たり障りの無いことか綺麗事しか言える奴いないんだしまぁ無駄やな。仕事するのに大層な目的持ってる人間ばっかじゃないんだしそんなモンの確認なんぞ要らんのよ。
まぁそんなに嫌なら最悪その会社辞めりゃいいだけの話だけどね。
回答がことごとく的外れのような感じが
昔いた会社の朝礼はラジオ体操もスピーチもあったけど10分以内に終わって
且つシャッキリして予定の共有もできていたのだがな…
45分も全体拘束する必要あるのだろうか