今回は「コミュニケーション能力が低くて、仕事に支障が出ている」という悩みにお答えします。
新卒で小学校の給食室に配属されました。周りは私よりも20歳以上は年上の「ザ・給食のおばさん」ばかりで、上手くコミュニケーションを取ることができません。
そもそも私が人見知りなのもあって、会話することも慣れていません。先輩から「○○さんはどう思う?」と聞かれても、頭の中がパニックになってしまって、おどおどとした態度を取ってしまいます。
社会人として最低限、「職場の人たちとコミュニケーションを取らなければいけない」とわかってはいるのですが、コミュニケーションを取ろうと思えば思うほど空回りしてしまって、頭の中が真っ白になります。
このままだと業務にも影響が出てしまうので、何とか克服したいです。年齢関係なく会話の中に入って、もっと親しくなりたいです。どうしたら、年齢の離れた先輩たちとうまく話せるようになりますか?
[相談者:21歳♀/学校給食の受託会社/調理師/入社1年目/年収300万円未満/独身]
回答1:うまく話そうとしないで、聞き上手に徹すればOK
話すことに苦手意識があるうちは、上手に話そうと思えば思うほどうまく話すことができないものです。ましてや、親子ほど年の違う先輩とうまく話すことは難しいですよね。そこで、「上手に話そう」と思うよりも、まずは「聞き上手」になることをおすすめします。
先輩に「聞き上手」と思われるためには、先輩が話しかけてきたら、次の3つを意識してやってみてください。
- 先輩のほうを向いて話を聴く
- 相槌をうって、「そうなんですか~」「すごいですね~」などリアクションをする
- 「○○のようにすれば良いのですね」と、先輩の言ったことを繰り返す
まだまだ若いですから、いつも笑顔で、先輩の言うことには「そうなんですね~」と相槌を打つくらいでちょうどよいと思います。
私の会社にも、4月から新入社員が入ってきました。私とは、親子ほど年が違うのですが、いつもニコニコしていて社内の雑用を率先してこなしてくれます。先輩の会話の輪には積極的に入ってきませんが、仕事の際には「すごいですね~」「そうすれば良いのですね~」と、私たちを立ててくれます。
そんな新入社員が私はすごくかわいく思いますし、困ったことがあれば助けてあげたいと思ってしまいます。
なので、自分から何かを話そうとするのではなくて、先輩の言ったことにリアクションを取る聞き上手を意識すれば良いのです。それだけで十分にコミュニケーションは取れているはずですよ。
回答2:「雑談力」を磨くことで相手への理解を深める
私の職場の新入社員からも、年の離れた先輩や上司とのコミュニケーションに悩む相談をとても多く受けます。
コミュニケーションを取ろうとして空回りするのは、「相手の求めることを言わないといけない」という不安から来るのですが、相手への理解不足が根底にあります。
そこで、仕事と関係しない気軽な会話、つまり「雑談力」を磨くことをおすすめします。なぜなら、雑談には、相手の考え方や気持ちを知れて信頼関係を深める効果があるからです。
私自身、過去の営業経験や人事で多くの人と関わるため、雑談力には磨きをかけてきました。私が雑談を行なう上で意識しているポイントが3つありますので、ご紹介します。
1.相手が話しやすい反応を示す
雑談が苦手な人ほど話術や豊富な話題が必要と考えがちですが、それ以上に相手に気持ちよく話してもらうことのほうが大切です。笑顔やうなずき、簡単なあいづちだけでも話しやすさは変わります。
2.自己開示する
相手と親しくなりたいときは、まず自分のことを話します。趣味や出身など簡単な情報で構いません。心理学で「自己開示の返報性」と呼ばれますが、自己開示されると同じ程度の自己開示をしなければいけない心理が働きますので、相手から話しを引き出すのに有効です。
3.共通点を意識する
共通点は親近感につながります。趣味や好きなものなど種類は問いません。20歳以上離れている人なら、お子さんが同年代だったりして、意外な共通点があるかもしれません。会話の中で相手との共通点が見つかったら覚えておきましょう。
以上の3つのポイントを意識して、雑談力を高めてみてください。相手との距離感が縮まって人間関係が深まれば、自然とコミュニケーションが円滑になるはずです。
回答3:「さしすせそ」の相槌テクニックで対応する
「年上の同僚の人たちとコミュニケーションを取りたい」という気持ちはあるようで、人間関係も悪くはなさそうですね。単に経験不足で上手くいっていないだけとお見受けしました。コミュニケーションスキルを向上させることは、1日や2日でできることではありません。
そこで、「今すぐ上手にやり取りしなきゃ」という気持ちではなくて、「さしすせそ」というテクニックを使ったコミュニケーションから始めることをおすすめします。「さしすせそ」とは相槌の頭文字で、
さ・・・さすがです!
し・・・知らなかったです!
す・・・すごいですね!
せ・・・センスいいですね!
そ・・・尊敬します!
です。
これらの相槌を多く使えば、少なくとも相手を怒らせるようなコミュニケーションにはならないので、安心です。
もし、意見を求められるような質問をされた場合は、完璧でなくて良いので、伝えられそうなところだけ伝えて、あとは「さしすせそ」で切り抜けましょう。
たとえば、「すいません!私は○○だと思うんですが、上手くまとめられません・・・!すごいですね、ちゃんと意見がすぐ言えて・・・尊敬します!」くらいに、答えられれば充分にコミュニケーションは成立します。
私自身も、若い頃はコミュニケーションを取ることが苦手でした。ですが、この「さしすせそ」を上手に活用することで、コミュニケーション力向上のきっかけを掴むことができました。
なので、ぜひ今回の「さしすせそ」のテクニックから始めて、半年から1年くらいかけて、少しづつコミュニケーション能力の改善を目指しましょう。
回答4:「天気の話」で共感を得て距離を縮める
もともと人見知りで、さらに年上の人ばかりだと緊張してしまいますよね。周りの人たちと仲良くなりたい気持ちはあるようですので、まずは「天気の話」をすることから始めてみることをおすすめします。
なぜなら、「天気の話」は年齢・性別関係なくできますし、誰でも知っている話題なのでコミュニケーション能力に自信がなくても話しやすいからです。
これは営業をしていたときに上司から教わった方法です。仕事柄、初めての人と話す機会がとても多かったので、初対面のお客さんとの距離を縮める方法として「天気の話をするとよい」と教わりました。
たとえば、雨が降っている日だとこんな感じです。
私「前の日の天気予報で雨って言ってましたけど、予報当たりましたね」
お客さん「いや~、週末、子どもの運動会があるから何とか止んでほしいんだけどね~」
私「運動会、楽しみですね!お子さん、おいくつなんですか?」
お客さん「小学1年生だから初めての運動会なんだよ」
といった具合で、天気の話を最初に振るだけで、意外と会話は広がるものです。天気の話で共感し合うことで親近感が高まりますので、女性が多い職場だと距離が縮まりやすいと思います。
なお、政治経済、宗教、野球の話題は意見が対立するとやっかいなことになるのでNGです。
ということで、まずは毎日、天気の話をすることから始めてみてください。「毎日天気の話をするなんてわざとらしい・・・」と思うかもしれませんが、自分から話しかける練習だと思って頑張ってみてくださいね!
回答5:あいさつや感謝の言葉を増やして、会話をしやすい環境をつくる
「コミュニケーション能力が低い」と感じている人が、話をうまくできるようにするには、自分自身の発言回数を増やすことが有効です。
なぜなら、自分から声を出すことで相手との距離間が近づいて、会話がしやすい環境を作れるからです。発言回数を増やす方法はカンタンです。毎日のあいさつと感謝の回数を多くするだけでいいのです。
たとえば、出勤したときの「おはようございます」を、入室するとき以外にも言ってみてください。すれ違う人はもちろん、別室にいる人など、いろいろな場所であいさつします。退社するときのあいさつも同様です。
感謝も、仕事で助けてもらったときだけじゃなくて、指導されたとき、電話を取り次いでもらったとき、声をかけられたときなど、何に対しても「ありがとうございます」と口にします。
これらを繰り返すことで、相手との距離間が近づいていって、「会話がしやすくなった」と感じるときがきます。そこから徐々に、お互いの出身地や趣味、好きな食べ物などプライベートな話題へと広げていけばよいのです。年齢の離れた先輩なら、子育てや安いスーパーの情報、健康の話題もオススメです。
ということで、まずは自分からあいさつと、感謝を何度も伝えることで、コミュニケーションしやすい関係を築くことから始めてみてください。
回答6:「自己開示法」を使って、まずは自分のことを相手に伝えていく
年上の人たちの会話に自ら入っていくのは、大変ですよね。年齢が離れた人とコミュニケーションを取るには、「自己開示法」がおすすめです。
自己開示法とは、最初に自分の感情や経験、価値観などを相手に伝える手法です。コミュニケーションをとっていく上では、まずは自分のことをありのままに話すことが大切だからです。
例えば、今回の場合では、「私は話すのが得意ではないですが、みなさんとお話をしたいと思っています」と伝えて、気持ちを知ってもらうことから始めていくのです。気持ちが伝わると、浅めの情報を気軽に交換し合えるようになります。そこから、何度もキャッチボールをくり返すことで、親密な関係になれるのです。
この手法は、私が大学のキャリア授業の中で「コミュニケーションのコツ」として教えている方法です。大学生は年齢の離れた人とのコミュニケーションに抵抗を持っているため、社会人になるにあたって不安を抱えています。
ですが、私の授業を受けた多くの大学生は、コミュニケーションに対する抵抗感が減って、前向きに考えるようになっています。
ということで、年齢の離れた人とコミュニケーションを取っていくには、まずは自分のことを相手に伝えていく「自己開示法」をおすすめします。
回答7:笑顔で話を聞きながら、オウム返しの相槌と質問で返す
元・職業訓練校職員の小池です。
コミュニケーション能力が低いと感じて、コミュケーション上手になろうと焦っているようですね。
実はコミュニケーション能力に関係なく、スムーズにコミュニケーションを取るコツがあります。それは、笑顔でオウム返しをしながら話を聞いて、相手の話に質問で返すことです!
笑顔で話を聞きながらオウム返しで相槌を打っていると、相手は「自分の話をよく聞いている」と思ってくれます。そして、どんな内容でも質問で返すことで、会話が途切れてしまうことを避けられます。
例えば、「昨日は暑かったから、水仕事やると気持ち良かったよね」と言われたら、「昨日は暑かったですよね。水仕事、気持ち良かったですね(笑顔)。〇〇さんはどの水仕事が好きですか?」というように、相手の話した内容をなぞって繰り返してから質問で返すだけです。
この方法で会話をすれば、「この人参の切り方どう思う?」のような問いかけでも、「人参の切り方ですね?いちょう切りですか?」というように、会話をしながら自分がどう思うのかを整理する時間も作れます。
これは私が来客対応で、営業が帰社までに時間があって相手をしなければならなかった時に、来客と会話をするために使っていた方法です。相手がどんな人でも会話が続くことや、質問することで相手を知れるメリットがあるのでおすすめです。
というわけで、笑顔でオウム返しの相槌をしながら話を聞いて、質問で返すことでスムーズな会話ができます。この方法で会話を続けて、先輩社員のことを知っていくと会話も弾むはずなので、ぜひ挑戦してみてください。
回答8:どんな話でも興味を持って「聴く」姿勢を作ることから始める
臨床心理士の佐藤です。
職場の先輩とのコミュニケーションに苦手意識がある場合は、まずは「聴く」ことに力を入れましょう。「コミュニケーションを取ろう」と思うと、言葉でのやり取りに注意が向いてしまいますが、コミュニケーションは言葉以外でも成立するからです。
例えば、先輩にどんなに「すごいですね!」と褒め言葉を伝えても、表情は仏頂面だったとしたら、「バカにしているのか」「心にもないことを」などネガティブな印象を相手に与えてしまいます。
でも、先輩の話に驚いたような表情で聴いていたら、何も言わなくても「あなたのことをすごいと思っています」というメッセージが伝わりますよね。
なので、今は無理に体裁の良い言葉を使って会話をするよりも、感じたことを表情に出しながら、先輩の話を聴くことに意識を置いてください。どんな話でも興味を持って、真剣に聴く姿勢こそが「あなたの話に興味を持っています」「あなたと仲良くなりたいです」というコミュニケーションになります。
また、どうしても急な質問に答えられずに頭が真っ白になってしまうなら、「私、こういう質問のとき、頭が真っ白になってしまうんです。どうやったら、そんなに上手に話せるんですか?」と、逆に質問してみるのもいいです。
先輩として色々と教えてくれるはずですし、「急に質問されるのが苦手な子なんだな」と理解してもらえることで、変な誤解も避けられます。
というわけで、コミュニケーション能力が低くてうまく話せない場合は、まず相手の話を聴く姿勢を作ることから始めてみてください。
3行まとめ:コミュニケーション能力を高める方法
- 相槌(さしすせそ)、笑顔、オウム返しを使って聞き上手になる
- あいさつ、感謝の言葉、自分の趣味や経験など、自分から話していく
- 鉄板は「天気の話」、答えに困ったら「質問返し」を使う
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