「上司が嫌い」という理由だけで、会社を辞めるのってどう?

上司が嫌いで会社を辞めたくなったら、「上司からのストレスが業務や生活にどれだけ影響するか」で転職すべきかを判断してください。相談事例を元に詳しく解説していきます。

上司が嫌いで、会社を辞めるべきか悩んでいます。意見がコロコロ変わって、その原因で失敗すると、部下である私のせいにするのです。

先日、翌朝の会議で提案する企画について、「A案がいいですか?B案がいいですか?」と2つの案を上司に相談したら、「B案でいいよ」と言われました。残業してB案を仕上げて、翌朝の会議に備えました。

ですが、翌朝の会議前に印刷したB案を渡すと、上司は「A案って言っただろ」と。私が「え?昨日『B案』って言っていましたよ」と言っても、「言っていない」と言われました。

A案は完成途中だったので、そのままB案を会議で提案したのですが、会議で「作り直し」と言われた瞬間、上司はみんなの前で「だから、俺はA案だと言っただろ。ダメだな」と、まるで私だけが悪いかのように言われました。

こんな事例が、細かいことを含めたらキリがないくらいあります。指示がめちゃくちゃで、失敗はすべて部下のせいにする上司の下にいるのがつらいです。

人事に別のデキる上司がいる部署へ異動を相談しました。でも、「こっちも都合があるから、すぐには動けない。もうちょっと我慢して」としか言われません。

仕事自体は好きなのですが、こんな出来損ない上司と毎日顔を合わせて仕事をするのが苦痛です。正直、顔も見たくないです。異動が期待できないようなら、会社を辞めたほうがいいでしょうか?

[相談者:32歳♂/マスコミ業界/テレビ番組ディレクター/新卒入社8年目/年収200万円~300万円未満/独身]

上司がきらい0

回答1:ストレスの程度によって、転職するかどうかを検討

回答者:にひら(人事&キャリアコンサルタント)
転職回数:3回


どの組織に所属しても、上司を選ぶことはできません。なので、どうしても「嫌い」「相性が合わない」と思う上司にあたってしまうことはあります。そんなときは、上司へのストレスや、ストレスの影響がどの程度かを見極めて、現職に留まるか、転職するかを検討することが重要です。

というのも、私は企業の人事として、実際に「上司と合わない」「配置を変えてほしい」という相談をたくさん受けてきました。その対応は、上司に感じているストレスの程度や影響で、大きく次の2パターンに分かれたのです。

1.「嫌い」程度のストレスなら現職に留まる

「嫌いだけど、上司はそういう人なので変えられないから、何を言われてもある程度スルーすればやっていける」と自分で納得できるパターンです。

この場合、相談してきた人は、「異動したら異動したで大変だったと思う。異動しなくてよかった」という結論になることがほとんどでした。

単に「嫌い」という感情止まりのストレスなら、「上司はこういう人だから必要以上に気にしない」と割り切ったり、意見がコロコロ変わることについては「言われた内容を必ずメールで残す」などして対応してみてください。

2.業務や生活に支障が出るほどのストレスなら転職する

上司との関係が原因で、出勤できない、睡眠できないなど、業務や生活に支障が出ているパターンです。

この状態になってしまうと、どんなに本人が考えを変えようと頑張っても、中々状況が改善することがありません。そのまま配置を変えない場合、症状が悪化して、休職になってしまう割合がとても高かったです。配置転換をすると、すぐに症状が改善されるのも特徴です。

ですので、業務や生活に支障が出るほどのストレスで、配置転換も望めないなら、転職を検討するのも大切です。

というわけで、単に「嫌い」程度なら、ある程度スルーしてうまくやっていくことが必要ですが、業務や生活に支障をきたすほどの苦痛なら、転職も検討してみてください。

回答2:上司にメールで反撃&人事に証拠を盾に交渉

回答者:小池(元・職業訓練校職員)
転職回数:2回


嫌いな上司の下で仕事をするのはストレスが溜まりますよね。でも、仕事自体が好きなら今が辞めるタイミングではありません。というのも、転職したい理由が「上司が嫌い」というだけだと、転職後に後悔する可能性が高いからです。

私の知人にも上司が嫌いで転職した人が数名いましたが、「前の職場のほうが良かった」と言っていました。「上司だけがネックで、仕事内容や他の社員との人間関係、収入など他の面が良かったために、転職が失敗だったと思う」とのことでした。

そこで、今回は、転職を急ぐよりも上司に反撃しながら人事に掛け合うことをおすすめします。もし私なら、メールで上司の指示がめちゃくちゃである証拠を残しつつ、反撃をします。

メールは必ず送受信履歴や内容が残るので、提案や報告・連絡は毎回メールで履歴を残します。上司の回答が口頭でも、メールで「B案とお聞きしましたので、B案の資料を作成いたします」のようにメールで送信しておけば、上司がコロっと意見を変えても証拠が残ります。

また、上司が意見をコロコロ変えるのは、間違っても部下のせいにすれば簡単だからです。なので、意見が変わるたびに「後学のために、昨日は良かったB案はどこが悪くて、A案はどこが良いのか教えてください」というように、理由を毎回メールで聞きます。

「自分で考えろ」と言われても、「〇〇ですか?△△ですか?」と、しつこく聞いてみてください。上司も面倒になってくるはずです。

こんなふうに、メールで反撃をしつつ、それを証拠に人事に粘って交渉してみてください。メールはご自分の正当性や仕事へのやる気を証明する証拠にもなるので、上司を踏み台に人事へ好印象を残すことができて、一石二鳥です。

回答3:人間関係の問題は、転職で解決できるとは限らない

回答者:仲森(元人事&キャリア・ディベロップメント・アドバイザー
転職回数:7回


「上司が嫌い」という理由だけで辞めることは、自分の人生を上司に支配されていることと同じです。理由が本当に上司だけならば、安易に辞めるべきではありません。

どんな仕事や職場であれ、組織の一員として働く以上は、人間関係の悩みはつきものです。今回のように、自分に非が無いのに上司から支離滅裂な対応をされて頭にくることもあるでしょう。

それが続いて我慢ができない気持ちもわかりますが、それで退職してしまうのは嫌いな上司の思うツボではないでしょうか。

また、退職には多かれ少なかれ、リスクが伴います。転職活動も、新しい職場で人間関係を築きながら仕事に慣れていくことも、少なからず苦労を伴うでしょう。

新しい職場で、また理不尽な上司のもとで働くことになる可能性もあります。最悪の場合は「前の職場の上司の方がマシだった」と思えるような人が転職先の上司になることもあります。

「そんなはずはない。今の上司が最低最悪だ」と思うかもしれませんが、私がキャリアアドバイザーをしていたころ、短期間で転職を繰り返す事例で多かったのが、まさに今回ようなケースでした。

人間関係の問題は、転職で必ず解決できるとは限りません。なので、時間を味方にして環境の変化を待つことも含めて、ほかの解決法を探っていきましょう。

回答4:退職はしないで、仕事の進め方を変えて乗り越える

回答者:すみおか(元人事マネージャー&キャリアコンサルタント)
転職回数:1回


上司は仕事を引っ張っぱる立場にあるにも関わらず、指示がコロコロと変わって足を引っ張られるのは本当に苦痛ですね。そのせいで上司が嫌いになって退職を考えられていますが、退職はせずに仕事のやり方を変えることをおすすめします。

なぜなら、上司だけでなくて、会社の指示は変わることが多く、環境を変えても同じ状況になる可能性が高いからです。そのため、また同じ状況になって苦しむよりも、現在の状況を「成長の機会」と捉えて、変化に対応していける仕事の進め方を身につけていくほうが賢明です。

私も前職の会社で、気分次第で決定事項が何度も変わる上司の下で4年間働きました。精神的な苦痛が多かったですが、異動できる可能性がなかったので、仕事の進め方を変えることにしました。

具体的な方法として、「決定事項は、すぐにメールでCCに他の人を入れて送信する」「大きな決定をする会議には他の人を同席させる」など、上司の決定が変わらないように、自分と上司以外の人と共有するようにしていきました。

それでも変わる可能性がある場合は、「他の案の資料も簡単に用意しておく」という対応もしました。これらのことを続けることで、上司の決定事項の変更と、変更によって生じる被害を最小限に抑えながら仕事を進めることができるようになりました。

このように、指示がコロコロと変わる上司が嫌いでも、退職するのではなくて、上司に合わせて仕事の進め方を工夫することで、状況を改善することをおすすめします。

回答5:環境を変えるのがベスト。体調を崩す前に転職を

回答者:澤井(元・人材コーディネーター)
転職回数:4回


人間関係は自分の努力だけでは解決しづらいので、環境を変えるのがベストです。環境を変える方法のひとつが人事へ異動希望を出すことなのですが、今回はすでに人事に相談済みですよね。これでダメだったのなら、思い切って転職することをおすすめします。

なぜなら、このままストレスフルな環境で働き続けると、精神的に病んでしまって働くことすら難しくなってしまうからです。

私の知人にもひどい上司の元で働いている人がいました。18時になって「明日の朝イチで提出するように」と仕事を振られたり、有給申請をOKしてくれたはずが当日の朝になって「許可していない!」と言われたり、パワハラ三昧でした。ほかの社員もいる場で「この仕事に向いていない」と言われたこともあったそうです。

休日に気分転換をしたり、上司の態度に過敏に反応しないようにして何とか過ごしていたのですが、精神的にツラい日々が続いたことで「うつになってしまうかもしれない」と思うようになって転職を決意しました。

転職した会社では、これまでの経験を生かして責任あるポストで働いているそうです。年収はやや下がったものの、「よい環境で働くことで仕事へのモチベーションがアップした」と言っていましたよ。

ということで、出来損ない上司なんかに振り回されて体調を崩す前に、転職することをおすすめします。

回答6:キャリアや成長を妨げると感じたら、転職の決断を!

回答者:成瀬(人事&産業カウンセラー&キャリアコンサルタント)
転職回数:1回


何でも責任転嫁するような上司のもとにいると、やる気をそがれてしまいますよね。現職で環境を変えるために、人事に働きかけてうまくいかなかったように、他人を変えることは難しいです。なので、思いきってあなた自身が環境を変えるために、転職の検討もおすすめします。

というのも、私も同じように責任転嫁する上司のもとにいた経験あります。なんとか状況を改善しようと、工夫しました。たとえば、口頭ではなくてメールや書面でやりとりの履歴を残したり、他の同僚も交えた場で意思決定するなどです。

それでも、上司の態度が変わらない場面に遭遇すると再びいらだったり、自分ばかりが譲歩することにも疲弊してしまって、だんだん発言や提案することがバカらしくなっていきました。

そんなふうに諦めに近い境地になると、ストレスは多少低減しました。でも、自分のキャリアや成長を考えると、現状に疑問を感じたり、「無駄な時間」だと感じ始めました。そして、異動の機会も探りましたが、なかなか叶わない状況だったので、転職を決意しました。

転職活動では、新規提案・企画により重点が置かれて、裁量権も大きいことを条件にして、やりがいを感じられる環境で仕事ができるようになりました。

ということで、ご自身のキャリアや成長を妨げるような環境だと感じるほどなら、転職して新しい環境でチャレンジすることも検討してみてください。


以上【「上司が嫌い」という理由だけで、会社を辞めるのってどう?】の回答でした。
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