40代で異業種(IT業界)に転職することは無謀?

今回は「40代でIT業界に転職するのは無謀だろうか」という悩みにお答えします。

私は現在、正社員としてテレアポによる新規開拓営業をメイン事業にしている会社に勤務しています。IT化、AI化が進む中、テレアポ業界は、5年後、10年後に成長しているとは思えなくて、未来がないように感じています。

また、社員数も非常に多くて1万人を超えているため、出世はなかなか望めません。ここから年収を増やすこともほとんど期待できません。

そこで、成長が期待できるIT業界への転職を考えています。転職目的は、年収を上げて、定年まで勤めることです。

40代の転職ですから、即戦力を求められているのはわかっています。私自身、やる気はありますし、今まで培ってきた営業スキルを活かせれば、異業種でも活躍できると思っています。

ですが、IT業界でテレアポによる新規開拓営業スキルが使えるのか不安です。転職に有利になりそうな資格も保有していません。マネジメント経験もなくて、アピールできるのはテレアポスキルのみです。前職も飛び込みによる新規開拓営業でした。

前時代の営業スキルしかない40代男性が、IT業界(成長業界)に転職に挑戦するのは無謀でしょうか?

[相談者:40歳男性♂/テレマーケティング/営業職/入社8年目]

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回答1:無謀。成長業界だから活躍・転職できるわけではない

結論から言えば、無謀です。私も40代ですが、20代、30代の頃は主にIT・インターネット業界を対象としたキャリアコンサルタントとして、多くの転職事例を見てきました。

IT・インターネット業界は、急成長しているがゆえに業界全体の平均年齢も若くて、現場レベルで活躍しているのは20代から30代中盤くらいまでが中心です。

40代ですと、社長や役員クラスであることも珍しくありません。40代の未経験者が採用されるとすれば、よほど退職者が多くて採用に困っている会社でしょう。ブラック企業でも厭わない覚悟が必要です。

また、転職の目的が「年収を上げて定年まで勤めること」ですが、IT業界は技術のトレンドや潮目の変わり方のスピードも早くて、定年までの同じ会社に居続けられる可能性は低いです。

業界は確かに成長しますが、それ以上に個人の成長が求められる厳しい業界です。現在注目されているAmazonやフェイスブック、グーグルは過去10年くらいに台頭してきた企業です。

ですが、これからの10年で、また新しいテクノロジーを持った企業群が、現在台頭している会社の立場を脅かすこともあり得ます。

現に、仮想通貨やブロックチェーンというテクノロジーは、「これまでの社会を変える」と言われています。新しい技術のトレンドがこれまで力を持っていた企業の立場を脅かすのは、歴史が証明しています。マイクロソフトはGoogleに、ヤフーはフェイスブックに、主役を取って代わられているのです。

そして、耳の痛い話をしますが、年代を問わず未経験で「やる気があります」と主張する人は、やる気を失うと何も残りません。

IT業界の動向や年代に応じて求められるスキルについて、もっと情報収集をしたほうがよいです。自分で調べるのに限界があれば、人材紹介会社のキャリアアドバイザーからの話を聞いてみるのも一つの方法です。

現時点ですと、「成長している業界に移れば年収も上がるし、将来は安泰」という安易な発想から転職を考えているとしか思えません。改めて情報収集をして、再度転職をすべきか、現在の環境で頑張るべきかを考えることをおすすめします。

回答2:転職自体は無謀ではないけど、活躍にはかなりの努力と運が必要

40代での異業種への転職を希望しているけれど、自分のスキルが活かせるのか不安があるようですね。

私はIT企業でプログラマと営業事務をしていましたが、30代・40代の異業種からの転職組もいました。異業種からの転職組は、転職後にだいたい2パターンに分かれて、「IT業界に馴染めるように地道に努力して業績を上げる人」と「営業手法の違いに馴染めないまま退職した人」がいました。

なので、転職自体は無謀ということはありませんが、活躍して定年まで勤めあげられるかどうかは、努力と気力、運次第です。

現在のIT業界の主流はソリューション営業です。ソリューション営業とは、顧客とのコミュニケーションの中で問題点やニーズを見つけ出して、解決策の提案をする営業です。パッケージソフトやPCのように目に見える商品を売る営業ではないので、顧客とのコミュニケーションや信頼が非常に大切な営業でもあります。

ソリューション営業に必要なものは「問題解決力」と「提案力」です。つまり、ITについての詳しい知識はあったほうがもちろん有利ですが、それよりも顧客の困っていることやニーズを聞き出したり、顧客も気づいていない問題点を見つけたりして、それを解決するための提案をする力が必要なのです。

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IT業界はまだ成長段階の業界なので、「こうすれば絶対に成功する」というモデルがありません。常に状況が変化している業界ですので、異業種の経験や知識がプラスに働く可能性もあります。

リーマンショックのような大規模な経済危機が訪れなければ、IT業界も人材不足で募集している企業もたくさんありますし、中途採用でも教育に力を入れている企業もあります。

ということで、転職自体は無謀ではありませんが、活躍できるかについては、入社後も常に「問題解決力」と「提案力」を磨き続ける努力と、気力、運がものを言います。

回答3:IT業界の営業職に求められる能力があれば、転職可能性は高い

40代でもIT業界に転職できる可能性は高いです。なぜなら、IT業界は多数の会社があって、慢性的に人材が枯渇してるからです。エンジニア職は経験がないとまず無理ですが、営業職でしたら求人もたくさんありますし、私もこれまで多くの転職をサポートしてきました。中には50代の人もいました。

また、転職時にはテレアポの経験やスキルもアピールすることができます。たとえば、「新規顧客獲得のために顧客リストに沿って電話アプローチをして、多数の訪問営業の機会を得ました」「問い合わせのあったお客様に商品や料金の説明をすることは得意です」といった形です。

人を言葉で説得できる技術は営業に必須なので、ぜひ経験をアピールしてください。ちなみに、一般的にIT業界の営業職に求められる能力は以下です。

  1. お客様が抱えている問題点をヒアリングする能力
  2. お客様の要望に応えられる問題解決能力
  3. 自社製品やサービスの優れた点をアピールするプレゼンテーション能力

これらの営業能力があって、お客様を獲得できれば、セールスエンジニア(エンジニア経験のあるコンサルタント)と最終調整することがほとんどなので、ITの深い専門知識は入社時になくても大丈夫です。

ただ、最低限のIT用語や役割は知っている必要があります。また、IT業界の中にもインターネット(Web)系やソフトウェア系、ハードウェア系など、分野があって、必要とする知識や用語も違ってきます。

ですので、目標とする業種(分野)を決めて、用語や知識習得に努めたうえで、転職活動をしてください。40代の転職活動は楽ではないですが、これまでの経験を生かして異業種への転職を目指してください。

回答4:IT業界は業務の遂行能力が高ければ採用される

新規開拓とテレアポのスキルと経験があるとのこと、大変素晴らしいと思います。いかに新しい技術であれ、商品であれ、新規の顧客を開拓して売り込んでいけなければ、売上をあげることはできません。

ですから、「このスキルしかない」と思うのではなくて、「自分の持つスキルで、業界や会社にどんなメリットをもたらせるのか」という視点に切り替えてみてください。

私はキャリアカウンセラーとして日々多くの人の相談に乗りながら、企業の人事としても採用活動も行なっていますが、新規顧客開拓やテレアポは、嫌がる人がとても多い仕事です。すすめても嫌がられて、募集しても中々応募がありません。

なので、新規顧客開拓やテレアポを「一番の強み」として、「やりたい!」と言ってくれる応募者がいるのなら、非常に魅力的に見えます。

さらに、「未経験の業界で知識はありませんが、がんばります」ではなくて、自分なりに業界や会社のことを勉強して「自分だったら、このような会社に、このようにテレアポをとって売りに行きます」という提案まであれば、ぜひ会ってみたいと思います。

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確かに、年齢は多少ネックになるでしょうが、IT業界のような新しい業界は、年齢よりも「業務を実際に任せられて、遂行してくれそうな人」を採用します

というわけで、今一度自分のスキルを整理して、応募しようと思っている業界や会社のことを徹底的に調べて、自分のスキルがどのようにその会社に貢献するのかを応募書類にもしっかり書いてみてください。

3行まとめ:40代で異業種からIT業界への転職を考える人への助言

  • 40代未経験で、変化の早いIT業界に安易に飛び込むのは無謀
  • 活躍して定年まで勤められるかどうかは、努力と気力、運次第
  • IT業界の営業職に求められる能力があれば、転職可能性は高い

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