今回は「フリーターを経験してから正社員の生活に耐えられるか不安」という悩みにお答えします。
相談
私は、フリーター歴が2年ほどあります。フリーターだからこそ、いつでも旅行に行けて、いつでも友達と会えて、若い私にとっては最高な環境です。
ですが、20歳も過ぎて大学に行っているわけでもないので、「いつまでもフリーターでフラフラして。ちゃんと就職しなさい」と、親に言われています。
フリーターの自由度の高さにとても満足しているので、ちゃんと就職して正社員になったら、一日中仕事の生活に耐えられるのか不安です。自由が効かなくなって、ストレスでおかしくなって、「またフリーターに戻ってしまうのでは?」と、ずっと疑問に思っています。
周りの友だちもフリーターなので、相談する人もいなくて、なかなか正社員になる気が起きません。一度フリーター生活に慣れてしまった人でも、正社員として毎日働けるものでしょうか?
[相談者:20歳女性/コンビニ店員/フリーター2年目]
回答1:正社員でも多様な働き方がある。勇気を出してチャレンジ!
元・人材コーディネーターの澤井です。相談内容を拝見して、「今の生活に満足しつつも、フリーターであることに漠然とした不安を抱いているのかな」と感じました。
正社員として働いたことがないと、正社員として働く毎日がどんなものなのか具体的にわからないと思います。「自由がきかなさそう」「ストレスでおかしくなってしまうんじゃないか」というのはイメージですよね。
実際にそうなのかは、やってみないとわかりません。やらずに考えたところで答えは出ないので、一度、正社員として働いてみることをおすすめします。
「フリーターの自由度の高さに満足している」とのことですが、正社員だからといって自由がきかないかというと、そうでもありません。シフト勤務の仕事もありますし、フレックスタイムを導入している会社や在宅ワークが可能な会社も増えてきています。
正社員でも、相談者さまが想像しているよりももっと多くのワークスタイルがあるのです。一度、正社員として働いてみて、「やっぱり自分には合わない」と思ったら、またフリーターに戻ってもよいのです。
まだお若いですから、先入観でチャレンジせずにいるよりも、色々と経験してみて何が自分に合うのか試してみるのがよいと思います。
ちなみに、私は社会人として10年働きましたが、その間、4回転職しています。おそらく働いた期間のわりに転職回数は多いと思います。ですが、転職することで、より自分に合った職種・会社に巡り合えたので、転職してよかったと思っています。やってみなきゃわからないことは、たくさんあります。
自分に合う正社員の仕事も意外とあるかもしれませんよ!・・・ということで、正社員として働けるか不安に思う前に、勇気を出して働いてみることをおすすめします。
回答2:自由とリスクのちょうど良いバランスを探ってみて
臨床心理士の佐藤です。新しい挑戦は誰しも怖いものですよね。特にフリーターであることに満足している現状では、「正社員」という立場は不安に感じられるかもしれません。
「フリーター」にもリスクがあることをご存知でしょうか?それが「福利厚生」です。会社に就職して正社員になると、「健康保険」や「年金」を会社が一定額負担してくれます。また、病気で働けなくなった際は、「傷病手当金」というお金を一定期間受け取ることもできます。
ほかにも、家賃を一定額負担してくれたり、健康診断やインフルエンザの予防接種などの代金を、全額あるいは一部負担してくれたりする会社もあります。
女性は、妊娠・出産の際に産休・育休が取れるほか、「出産手当金」が支給されます。また、産休前や育休明けなど本調子でない時期は、体調に合わせて時短勤務をしたり、軽作業を担当したりするなど働き方への配慮があります。
正社員は会社に縛られている部分が大きく見えているかもしれませんが、実際は会社に守られている部分も多いのです。
そういった安心できるサポートがフリーターにはありません。フリーターは病気や妊娠で働けなくなると、一気に収入を失います。自由である反面、不安定な立場にいることを認識しておくと、リスク回避につながります。
一度、自由とリスクのバランスをしっかり見つめなおしてみましょう。しっかり考えた上で、「正社員になる」と決意が固まったなら、毎日働くことも苦ではないはずです。
正社員になってみて、「正社員は向いていないかも」と感じたら、どんどん転職すればいいのです。ひとくちに「正社員」と言っても、仕事内容や職場の雰囲気は会社によって全然違うのですから、一つの会社でうまくいかなかったからと言って「正社員が向いていない」と決めるのは早すぎます。
会社に時間と労力を提供するぶん、守ってもらえる正社員になるか。自由を謳歌できるぶん、リスクを自分で背負うフリーターを維持するか。実際に試しながら、より良い生き方を探してみてください。
回答3:本気でやりたい仕事はなんですか?
人事、労務、法務責任者・まつしたです。仕事よりも友達と会ったり、旅行したりして過ごす時間は、とても楽しいですよね。特に若い頃は一緒に遊んでくれる友達も多いので、なおさらです。正社員になれば、1日8時間、週40時間は働くわけですから、フリーターの今よりも確実に拘束されて、遊ぶ時間が削られることになります。
さて、今回の質問ですが、働く時間が増えることへの不安よりも、「今の自由度の高い生活を失いたくない」という拒否反応があるのでは?と感じました。
仕事柄、フリーターから正社員になった人を何人も見ていますが、正社員になったことへの喜びが大きくて、それこそ毎日、みなさん生き生きと働いています。
相談者様の本気でやりたい仕事はなんでしょうか?「働くこと」とは、自分の時間と引き換えに、その分の給料をもらうことだけではありません。もし、そう考えていたら、とてももったいない考えだと思います。
例えば、仕事中に、自分がした何気ない行動に対して、お客様から「ありがとう」と言われた経験はありませんか?また、夢中で仕事をしていたら、あっとう間に時間が過ぎてしまったとか、自分の仕事ぶりを評価されたときの達成感や充実感を得たことはありませんか?
そう、仕事の面白さは、仕事を通じて、お客様から「ありがとう」と喜んでいただいたり、「社会の役に立つことができた」と感じたり、自己成長できることにあります。単に「お金を稼ぐ手段」だと考えているうちは、いい仕事もできないですし、遊びたい気持ちのほうが強ければ、長続きもしないでしょう。
やりたい仕事に就けば、あっという間に時間も過ぎるでしょうし、多少の苦労だって何とも思わなくなります。最近は働き方も多様化していて、企業のなかにはフレックスタイム制で勤務できたり、週休3日のところもありますし、時間に縛られないフリーランスという選択肢もあります。
この機会に、「なぜ働くのか」「どんな仕事をしたいのか」を本気で考えてみましょう。相談者様は年齢も20歳ですし、まだまだ将来への可能性は広いです。現状に満足せず、自分が成長できる環境へぜひ挑戦してほしいです。
回答4:勤務時間を徐々に増やして自信をつけて
元・職業訓練校職員の小池です。相談内容を読んで、親御さんから言われたから「正社員になろうかな・・・」と思っているだけで、本心としては「別に正社員にならなくてもいいのでは・・・?」と考えているように感じました。
そんな気持ちのままでとりあえず正社員になったとしても、すぐにフリーター時代の自由な時間が恋しくなってしまうでしょう。自分の意思に反することは、なかなか長続きしにくいものです。
ですが、フリーターに「自由度の高さ」というメリットがあるように、正社員にも「安定した収入」や「福利厚生」というメリットがあるんですよ!
たとえば、フリーターは勤務時間と収入が比例しているので、体調不良などで長期間働けないと大幅な収入減になってしまいますが、正社員は月収のベースが決まっているので、すぐに収入には影響しません。
今すぐに正社員になろうとするには「ハードルが高い」と感じているようなので、まずは少しずつシフトを増やして、正社員の労働時間である週40時間勤務に近い時間に挑戦してみてください。
現在のお勤め先なら、慣れた環境なので長時間勤務にも抵抗は少ないはずですし、長時間勤務に慣れれば自信がつきます!長時間勤務で自信がつけば、正社員のイメージも大きく変わって、現在よりもプラスの目で考えられるはずです。
このように、正社員への不安は労働時間を少しずつ増やしてみることで払拭できます。まだ20歳とお若いので、正社員へのステップアップにチャレンジしてみてください!
回答5:メリットとデメリットを冷静に考えて選んでみて
人事&キャリアコンサルタント・にひらです。相談内容を読んだところ、「正社員として毎日働けるかどうか」という不安よりも、本当は「親に言われて正社員になる活動をしなきゃと思っているものの、現状、正社員になるメリットはあまり感じられなくて、できれば今のままでいたい」という気持ちが主旨のように感じました。
私はフリーターでいることが悪いことだと思いませんし、本当にフリーターのままでいたいのなら今のままでも構わないと思います。ですが、フリーターの時期が長くなればなるほど正社員になるチャンスが減ってしまうのは確かです。
「正社員のデメリット」と「フリーターのメリット」はよくわかっていると思いますので、その逆の、「正社員になることのメリット」と「フリーターでいることのデメリット」をお伝えします。それを見た上で、自分がどちらをとりたいのかを検討してみてください。
1.正社員になることのメリット
一番のメリットは、自分から辞めない限り(よほどのことを起こさなければ)雇用が保証されていることです。
また、「雇用が保証されている=長期的に社内で活躍してもらう必要がある関係」なので、会社からスキルアップの機会なども提供される可能性が高いです。それは結果的に給与のアップにも繋がります。さらに、会社によって福利厚生は違いますが、昇給や退職金、家賃補助など、金銭面で圧倒的に優遇されます。
2.フリーターでいることのデメリット
「時間に融通が利く=いついなくなっても困らない・他に代わりがきく人材」ということですので、会社の経営状況が傾いたときなどは真っ先に解雇対象になります。今はお若いので「他のアルバイトをすればよい」と思うかもしれないですが、年齢が上がれば上がるほど、就職のチャンスは失われていきます。
また、最近はセルフレジやロボットによる受付、AIも進化していて、外国人の就職も盛んなため、「誰でもできる仕事」はどんどん失われる傾向にあります。
今は「フリーターのメリット」と「正社員のデメリット」ばかりにフォーカスしているように思います。ですが、一度その逆を考えてみてください。
逆を考えた上で、「今の生活を続けるほうが今後の人生にとっても良い」と思うのでしたら、フリーターの生活を続けるのも良いです。もし、「正社員のメリットのほうが大きい」と感じるのでしたら、正社員のデメリットは受け入れられると思います。
何事も、「メリットだけしかない」ということはありません。よく考えて選択してください。
回答6:正社員にこだわる必要なし。自分に合った働き方を見つける
元人事&キャリア・ディベロップメント・アドバイザーの仲森です。結論からお伝えすると、相談者さまの場合は、現状はフリーターのままが良いでしょう。時間を自由に使えるフリーターのメリットを十分に生かして日々の生活を楽しんでいるようで、特に不安を感じている様子もないからです。
仮に現在の心境のまま正社員になった場合は、拘束時間が長いことにストレスを感じてフリーターの生活に戻りたいと考えるのは明らかです。
他の転職相談者の話や、私自身の転職の経験から、入社前に自分が予想する苦労やストレスの大半は入社後に予想どおりになります。ストレスが転職の目的を叶えるものとして耐えられれば良いのですが、相談者さんの転職の理由や目的になるものは「親に正社員になれと言われたから」「親を安心させるため」に見えます。
自分自身のありたい姿を追及する転職ではないので、遅かれ早かれ「もっと自由に働きたい」と過度なストレスを感じてしまうでしょう。
これを機に、正社員以外の様々な働き方について調べることをおすすめします。現在は、正社員とフリーターの2択ではなくて、様々な働き方があります。(参照:「サラリーマンの副業~こんなにあった正社員以外の働き方(準備中))
例を挙げるなら、「クラウドワークス」や「ランサーズ」といったサイトを利用して在宅ワークをする方法や、ブログを立ち上げてアフィリエイト収入を目指すも方法もあるでしょう。
色々と取り組む中で、より自分に合った働き方を見つけて、自由な時間を楽しみながら新しい挑戦をする姿を親に見せれば、「ちゃんと就職しなさい」と言われるようなこともきっと無くなります。
ぜひ、正社員として働くよりも、自分のやりたいことやありたい姿を追及して、いきいきとした日々を送ってください。
回答7:フリーターのデメリット&正社員として働く意味を考えてみて
人材サービス業務歴20年以上の勝山です。「フリーター」は、ワークスタイルの一つです。フリーターとしてお仕事をしていることは、「趣味や夢などを優先するための、自由度の高い働き方」の選択として、良いと思います。
ですが、フリーターには次のようなデメリットもあります。
- 年齢を重ねるにつれて、同い年の正社員と比べると給与に差が出てくる
- 予期せぬ病気などで仕事ができなくなった際に、満足な保障がない
- ローンを組む際に不利があるなど、社会的信用が低い
なので、「昇給や昇格の機会があって、長期安定就業や安定収入が見込める」「社会保障や福利厚生などの恩恵を受けやすい」などのメリットがある正社員をすすめる、ご両親のお気持ちも理解できます。
ワークスタイルのメリットとデメリットを理解することで、仕事の考え方も変わってくるはずです。また、今は「柔軟で多様な働き方」が選べる時代です。最近は、少しずつですが、短時間労働の正社員採用も増えてきて、正社員でも働き方が選べる会社もあります。
まずは、正社員として働く理由をしっかり考えましょう。フリーターとして働くことに慣れていても、意欲があれば正社員転換は可能です。ぜひ、自分に合った「働き方」をしっかり選んでください。
3行まとめ:正社員生活にハードルを感じるフリーターへの助言
- フリーターと正社員のメリット&デメリットを冷静に考える
- 正社員も含めて、多様な働き方の中から自分に合うものを探す
- 正社員の週40時間勤務に近い労働に挑戦して、自信をつける
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