休日出勤を拒否しても出社を強制される。断ることはできないの?

今回は「休日出勤を拒否しても出社を強制される。断ることはできないの?」という悩みにお答えします。

休日出勤を拒否できない

求人応募時に「完全週休二日制」と書かれていた会社を選んで入社しました。面接時にも確認していて、完全週休二日の労働契約を結んでいるはずです。

私は「これだけの給料がもらえるなら十分」と思って会社を選んだので、休日出勤や残業をしてまで働くつもりはありません。生活に必要な分だけ稼げれば、あとはプライベートを優先した人生を送りたい考えです。

ですが、最近は上司から「休日出勤をしてくれ」と言われるようになりました。私の上司は休日でも、よその部署のヘルプとしてよく働きに出ています。代休を取ることもなくて、働きっぱなしです。

上司は「会社がうまく回るために必要だから」と言って、なんとしても私まで休日出勤に引っ張り出すつもりです。

私は愛社精神のようなものはないので、会社のためにプライベートの時間を削りたくないです。なので、色々と理由をつけて休日出勤を断っていたのですが、「断り続けるなら会社を辞めてもらうことも考える」と言ってきました。

契約外の働き方はしたくないのですが、休日出勤を強制されたときは、どのような対応を取るのがよいでしょうか。

[相談者:25歳♂/清掃業/清掃スタッフ/入社3年目/年収200万円~300万円未満/独身]

回答1:休日出勤の要請回数を減らす裏ワザ

労働契約と実際の働き方が違うと、会社や上司に疑問や不満が出てしまいますよね。それに、上司に休日出勤を強制されると、断るのも大変で気力も必要です。

もし、私が同じ状況になったら、毎回理由を考えて断るのも疲れるので、数回に1回は出社するようにします。ただし、休日出勤を強制されたら、手当てや代休が取れるかどうかを必ずメールで毎回確認します

というのも、毎回メールで確認をすることで、上司が「休日出勤を強制するのに手続きが面倒だ」と思わせるためです。上司が「面倒だ」と思うようになれば、本当に必要な時だけ、休日出勤を要請するようになるはずです。

また、上司の強制している休日出勤が、会社に承認されていない休日出勤の可能性もあります。その場合は、上司に注意や指導が行われますが、メールで記録を残しておくことで証拠としても提出できます。

そして、以前、↓の記事でもお伝えしましたが、

「会社で仕事をする」ということは、「助け合って仕事をする」ということです。いつか自分が助けてもらうためにも、本当に会社に必要とされているときは休日出勤をしておいたほうがベター、というのが私の考えです。

というわけで、必ずメールで記録を残しながら、数回に1回は休日出勤に応じてみてください。上司に「面倒くさいな」と思わせることで、本当に必要な休日出勤だけ出れば良くなるはずです。

回答2:まずは会社の就業規則を確認。パターン別の対応法はこれ

完全週休二日制だからといって、必ずしも休日が休みになるとは限りません。つまり、休日出勤が必ずしも契約違反になるわけではありません。はっきりさせるには、会社の就業規則と労使協定の有無を確認しましょう。

就業規則に、「休日を他の日に振り替えることがある」といった記載がありませんか?あらかじめ決められた休日であっても別の日と入れ替えができる規定です。また、労使協定(一般的に「36協定」と言います。)を結ぶことで休日労働が可能になります。

これらを整えている会社は多くて、「休日出勤が必ずしも契約外にならない」とお伝えした理由になります。ただし、振替休日が与えられない、あるいは、休日手当が支給されないときは契約違反です。

「休日に休みたい」という事情もわかりますが、ここは、まず会社の整備状況を確認してください。その後、状況に応じて次のような対応を検討します。

規程の整備や労使協定がない場合(休日出勤は拒否)

この場合、休日出勤を拒否することが可能です。しかも、「断るのなら辞めてもらう」といったパワハラまがいの脅しもあるので、管理部門に相談して指導してもらいましょう。上司との関係は悪化しますが、正義はこちら側にあります。

規程の整備や労使協定がある場合1(休日出勤に協力)

この場合、振替休日か休日手当がある前提で、可能な限り休日出勤に協力するべきです。ですが、今回の相談では、上司が自分の手柄のために休日出勤を要請しているようにも思えます。

本来、休日出勤が要請されるのは「人手が足りない」「緊急対応が求められる」といったやむを得ない事情があるときです。なので、私であれば、ヘルプ先の部署が本当に業務が立て込んで、それこそ猫の手も借りたい状態かどうか確認します。確認ができれば、上司に協力して休日出勤します。

規程の整備や労使協定がある場合2(転職を検討)

規程まわりが整備されている以上、休日出勤や残業を拒否し続けることはできません。「休日出勤や残業をしてまで働くつもり」がないのであれば、自分の働き方に合った職場を求めて、転職するのも選択肢のひとつです。

というわけで、まずは、就業規則を確認しましょう。そして、会社の規程内容と自分の希望する働き方に応じて対応を決めることをおすすめします。

回答3:本当は出たくない休日出勤に応じるときの3つのポイント

私もできるだけ休日出勤はしたくないタイプなので、お気持ちはよくわかります。ですが、もし私が同じ立場でしたら、数日だけでも休日出勤をします。このまま断り続けると会社に居づらくなることが目に見えているので、休日出勤したほうが得策だと思うからです。

休日出勤の打診には、次のような受け答えをおすすめします。まず、打診されたら、「その日だったら大丈夫です!」と愛想よく返事をします。そして、その場で「休日出勤の代休を〇日にいただくことはできますか?」と代休交渉をします。

もし、「代休を取るのは無理」と言われたら、「そうですか・・・。では、人事部に休日出勤手当が出るか確認してみますね」と伝えるのです。

ポイントは3つです。

1.愛想よく返事をする

せっかく休日出勤をするなら、「嫌々休日出勤してくれた」と思われるよりも、「大変なときに協力してくれた」と印象づけたほうがお得です。

2.その場ですぐに代休交渉する

休日出勤と交換条件で代休交渉をしたほうが、遠慮せずに交渉できます。後日、代休申請をしようとしたときに、「忙しそうだし代休申請しにくいな・・・」という状況を避けることができます。

3.人事部にかけ合う行動力をチラつかせる

「断り続けるなら会社を辞めてもらうことも考える」と言われているようですが、上司にそんな権限はありません。パワハラもいいところです。おそらく、相談者さまがまだお若いので、「このぐらいのことを言っておけば言うことを聞くだろう」とみくびっているのだと思います。

そんな勘違い上司には、人事部の存在をチラつかせて、必要以上に休日出勤を要求されないようにしておくとよいでしょう。

このように、3つのポイントを意識しながら、可能な範囲で休日出勤に応じてみてください。

回答4:交渉する際は、「自分が譲れるポイント」を伝えると効果的

望んでいない休日出勤はなるべくしたくないものですよね。ですが、完全週休二日制だから「休日出勤=違法」というわけではありません。

今回の場合、36協定について確認した上で、交渉する場合は自分の譲れるポイントと譲れないポイントを会社に伝えるとよいです。そして、交渉がうまくいかない場合は転職も視野に入れることをおすすめします。

まず、会社が残業や休日出勤をさせる場合は、「36協定」という契約が必要です。36協定は会社と従業員の代表で結ぶもので、締結されていると、基本的に契約範囲内の残業や休日出勤は認められることになります。

36協定が結ばれていて、休日出勤に対してきちんと手当が支払われ、代休も取れているのでしたら、「会社が違法」と言うことはできません。

もし、法律や契約を破っているのでしたら、そのことを理由に休日出勤を断ることができます。ですが、違法・違反でない場合、基本的には「自分は休日出勤したくない」という意志を伝えて、交渉することになります。

いざ交渉する際は、「自分が譲れるポイント」を伝えることが大事です。一方的に「休日出勤したくない」とだけ伝えると、会社にはメリットがないため、断られる可能性が高くなるからです。

今回の場合なら、休日出勤したくない意志と理由を伝えつつ、代わりに、「昇給は望まず生活ができる程度のお金があればいいこと」「月に何回までなら休日出勤してもいい」など、譲れるポイントを伝えます。

そうすると、「昇給がなくてよいのであれば、そのような働き方でも良い」「ある程度出てくれるのならば、よい」と、了承してもらえる可能性が上がります。

ただし、逆に「そんなことは関係ない。休日出勤をしてくれ」と言われる可能性もあります。そのような会社の場合、今後も休日出勤を強制される可能性が高いので、納得できないのでしたら、転職を検討するのも一つの手段です。

回答5:「約束と違う」と主張するよりも、転職したほうが合理的

結論からお伝えすると、雇用形態や働き方について、もっと柔軟に考えてくれる環境(職場)を探すべきです。

入社当時は希望どおりの条件で勤務できていたかもしれませんが、会社を取り巻く環境も変わっていきます。「約束と話が違う」と会社に主張しても、「あなただけ(休日出勤を強いられているわけ)じゃないから」と、同調圧力によってストレスや無駄な軋轢が生じるだけです。

なので、休日出勤をしたくないのに断れない状況に追い込まれているならば、今の会社を辞めて、渡り鳥のように、その都度理想の働き方を受け入れてくれる職場を探しながら働くほうが合理的です。

「転職は手間がかかる」と感じるかもしれませんが、年収200万〜300万程度の処遇で満足ならば、雇用形態も正社員にこだわる必要もないですし、比較的次の職場も見つかりやすいはずです。

キャリアアドバイザーをしていた当時、年収は安いけれど、プライベートの時間が確保できそうな求人はいつの時代も一定数はありました。仕事内容さえ選ばなければ、転職がしやすい求人ゾーンです。

というわけで、会社の変化や都合に翻弄されるのではなくて、自ら環境を変えていくことで理想の働き方を実現する努力をしていきましょう。

回答6:就業規則と36協定を確認することから始める

仕事とプライベートの両立のために、完全週休二日制の会社に入ったにも関わらず、休日出勤を強制されるのは納得がいかないですよね。

応募と面接の時に完全週休二日制を確認されていますが、相談者さんの認識違いがあるかも知れませんので、まずは正確に確認することをおすすめします。

なぜなら、就業規則で「完全週休二日制」が明記されているか、「労働基準法36条に基づく労使協定(36協定)」を労働者と使用者(会社)の間で締結しているかで、対応が変わってくるからです。

36協定とは、会社が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた労働を命じる場合に、労働者と使用者で協定を結んで、労働基準監督署に届け出るものです。届け出をしないで時間外労働をさせると、会社は労働基準法違反となります。

もし、就業規則に「完全週休二日制」の明記がなくて、なおかつ、36協定を結んでいた場合は、休日出勤を断ることは難しいです。上司と話し合いをして調整するしかありせん。

一方で、就業規則に「完全週休二日制」の明記があって、なおかつ、36協定を結んでいないのに、休日出勤を頼まれているのでしたら、会社は改善をしなければなりません。私が人事マネージャーをしていたときも、総務部門は違法な働き方がわかった時点で、会社や従業員を守るために必ず是正措置を取っていました。

ということで、休日出勤を拒否できるかどうかは、就業規則の内容や36協定の締結の有無によって変わってきます。一度、就業規則や36協定はどうなっているのか、人事部門か総務部門に確認してみてください。

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