「新しい職場に馴染めない。また転職してくなってきた……」「職場のみんなに嫌われていて、もう転職したい」と悩んで思っていませんか?
日本経済新聞社と日経BPが共同運営する「NIKKEI STYLE」に、次のような記事が掲載されていました。
だからあなたは嫌われる 転職・異動先でのNG言動
最も嫌われるのは、前の職場・勤め先との比較
せめて最初の3カ月ぐらいは、現状を「いったん受け入れる」というスタンスで臨む
「メモを取る」という行動を見せることで、相手を安心させ、「意欲的な人」とプラスの印象を与えられる
(引用:だからあなたは嫌われる 転職・異動先でのNG言動 | NIKKEI STYLE (2019/10/12閲覧))
結論を言うと、新しい職場に馴染むには受け身の姿勢ではダメです。自分から意識して職場に馴染むように会話に参加したり、仕事熱心な姿をアピールする必要があります。
そこで、このページでは、
- 元・人材コーディネーター
- 人事労務&キャリアカウンセラー
- 人事&キャリアコンサルタント
- 元・職業訓練校職員
- 元・採用/人事コンサルタント&転職エージェント
といった転職や配置転換のプロ5名が、新しい職場に馴染めない原因と解決策について、次のような内容で見解を述べていきます。
この見解をすべて読めば、転職・異動先で嫌わることなく、正しい選択ができるようになるはずです。
それでは、5名の見解をじっくりとお読みください。
見解1:理解しながらメモを取る姿勢は、新しい職場でも好印象
回答者:澤井(元・人材コーディネーター)
転職回数:4回
今回の「だからあなたは嫌われる 転職・異動先でのNG言動」で挙げられているポイントは、どれも共感できるものでした。その中で私が気になったポイントは、
「一字一句聞き逃すまい」という勢いでメモを取る
「メモを取る」という行動を見せることで、相手を安心させ、「意欲的な人」とプラスの印象を与えられる
この部分です。
私もメモを取ることはとても大切だと思っています。ですが、新しい職場でうまく馴染むためには、メモを取ることに終始していてはダメです。
なぜなら、メモを取ることに必死になるあまり、理解すべきことを理解できなくなって、先輩社員への印象が悪くなってしまうケースがあるからです。
実際に、私が人材コーディネーター時代に、新入社員や中途入社社員3人に業務レクチャーをしたとき事例を挙げて説明してみます。
1.メモを取るパフォーマンスで終わっていた新卒入社のAくん
新卒入社のAくんは、とにかく話を聞きながら必死にメモを取っていました。でも、あとで確認すると、話の9割を理解していないのです。メモを取ることがパフォーマンスになっていたパターンです。
憎めないキャラだったので職場には馴染んでいましたが、一度教えたことを何度も聞いてくることがよくあって、ちょっと困りました。
2.メモを取らなかった中途入社のBさん
後任で入社したBさんは、業務引き継ぎの説明をしている間、ほとんどメモを取らない人でした。
私が「今のところ、メモしておかなくても大丈夫ですか?」と聞いても、「大丈夫です」と……。結果、職場や仕事内容に馴染めなくて1ヶ月で辞めてしまいました。
3.メモを取りながら質問もした中途入社のCさん
中途入社のCさんは、メモを取りながら、要所要所で要点を得た質問をしてくれる人でした。「前の会社ではこんなやり方をしていたのですが、今のやり方をベースに少しアレンジしてもいいですか?」といった具合です。
部署内での評価も高かったですし、部署を超えて職場に馴染んでいました。
この3人の事例から、メモを取らないのは論外ですが、ただメモを取るのではなくて、「質問できるくらい理解しながらメモを取ること」が、職場での評価が高まるコツだと気づきました。
ということで、新しい職場に馴染むには、メモを取りながら、理解度に応じて質問もして、意欲的な姿勢を見せることが有効だと思います。
見解2:「類似性の法則」を雑談に取り入れると、早く馴染める
回答者:中川(人事労務&キャリアカウンセラー)
転職回数:1回
このNIKKEI STYLEの記事のように、新しい職場に馴染むには「現状をいったん受け入れる」というスタンスは効果的です。
現状を受け入れるには、心理効果の「類似性の法則」が使えます。類似性の法則とは、「共通項が多いほど親近感がわく」というものです。私が新人コンサルタントのころも、類似性の法則を利用していました。
当時、6社ほどの企業に出向をして、出向先の社員と一緒に仕事をしていました。出向するたびに新人になるので、マニュアルに書かれていない業務や、同じ部署の人の性格をイチから把握しなければなりません。
そこで、私はランチやちょっとした移動時間に、同じ部署の人との共通項を探しながら雑談をするようにしました。
たとえば、干支や血液型、趣味、出身地、いま住んでいる所などです。特に干支は、早い段階で話題としてよく使っていました。
自分が相手と同じ干支でなくても、相手の親族や自分の親族が同じがことがよくあって、そこから家族構成や誕生日などの話題に広げることできました。
このように類似性の法則を使って、新しい部署の人の現状を把握していきました。その結果、マニュアルに書かれていない業務の話も気軽に聞き出せる関係になって、職場に早く馴染めました。
というわけで、新しい職場に馴染むには、職場の人の性格や業務内容の現状を聞き出すために、共通項を探して雑談することから始めると効果的だと思います。
見解3:「自分を理解してほしい、合わせてほしい」といった考えを捨てる
回答者:大山(人事&キャリアコンサルタント)
転職回数:4回
NIKKEI STYLEの記事にある「前職との比較を口に出さないで、いったん受入れるといったスタンス」「『意欲的な人』とプラスの印象を与える」という点に共感しました。
というのも、現職に転職したときに、この「意欲的な姿勢」「いったん受け入れるスタンス」が欠けていて、次のような2つの状況にとまどった経験があるからです。
1.部下からアウェー感を強く感じた
私は管理職として入社したのですが、部下はきちんと挨拶してくれるし、必要なコミュニケーションはとれていました。ですが、何か心を開いてもらっていない感じで、アウェー感が満載でした。
2.コミュニケーション文化が違った
前職では目上の役員とのメールであっても「○○さん」とフランクなコミュニケーションでした。
一方、現職では社員間のメールであっても「○○様」、役職者には「○○部長」などと役職をつけます。入社当初は、私のコミュニケーションが「フランクすぎる」と言われてしまいました。
そこで、次のような対策を取り入れました。
対策1:同僚の人柄を把握するとともに、自己開示を進める
コミュニケーションを取るうえで必要な情報を、部下との会話から入手するように心がけました。飲み会も開いて、趣味など共通の話題を探して会話に盛り込みつつ、自分の情報も積極的に開示していきました。
すると、部下と飲んでいる時に「最初どこか強引で傲慢な印象がありました」と言ってもらえて、アウェー感を感じていた原因がわかりました。
対策2:周囲をよく観察して、新しい慣習を身につける
周囲の業務の進め方やメールのやりとりをよく観察するようにしました。前職の進め方は一旦捨てて、新しい職場の慣習を真似てみて、トライアンドエラーを繰り返しました。
以上の対策を施したところ、約半年かかりましたが「職場に馴染めた」と感じるようになりました。
ということで、転職先・異動先で嫌われないためには、周囲に「自分を理解してほしい、合わせてほしい」といった思いは捨てることです。新しい環境に馴染むために積極的に自己開示をして、周囲に合わせた行動をすることが重要だと思います。
見解4:新しい職場では「新入社員のつもり」で臨むことが大切
回答者:小池(元・職業訓練校職員)
転職回数:2回
今回の「だからあなたは嫌われる 転職・異動先でのNG言動」の記事は、転職・異動先の職場に馴染めない人にとても参考になると思いました。特に、「嫌われるポイント」として挙げられている、
最も嫌われるのは、前の職場・勤め先との比較
丁寧に説明しているのに、メモを取らない
に、大きくうなずける体験をしたことがあります。
営業事務をしていたとき、職場に馴染めない上司を反面教師に学びました。上司の前の職場では、技術職も同じ部署だったため、「業務の自動化や困りごとも開発担当に頼めば何でもしてもらえる」という感覚の上司でした。
上司はPC作業が不得意で、「ひらがなが打てなくなった」「勘定システムの設定がわからない」など、プログラマ経験のある私や他の開発社員に頻繁に助けを求めてくるのです。
私たちはその都度、上司が次回以降自分でできるように詳しく説明しました。ですが、メモを取るどころか上の空で、その後も何度も同じことで呼ばれて作業が中断されました。
そこで、「やり方を覚えるか、メモを取ってほしいです」と伝えたのですが、やってもらうのが当たり前の上司は不機嫌になるだけでした。しまいには、「じゃ、やっておいて」と言って、自分だけ帰宅することさえあったのです。
徐々に部署内で上司への不満が積もって、結束して上司に訴えましたが、上司は「前の職場ではやってもらっていた」と態度を変えませんでした。結局、職場に溝ができて、部長の判断で上司が異動になったのでした。
この経験から、前の職場での当たり前をそのまま引きずったり、メモも取らないことは周りの迷惑や不満の原因になると学びました。私は、転職した職場では新入社員のつもりで臨んだので、すんなりと受け入れてもらえました。
というわけで、転職・異動先で嫌われないコツは、新入社員のつもりで、周囲のやり方や習慣に合わせること、要点は必ずメモを取ることが大切だと思います。
見解5:挨拶→メモ→お礼のサイクルを意識する
回答者:かんなべ(元・採用/人事コンサルタント&転職エージェント)
転職回数:2回
私は採用・人事コンサルタント時代に、企業規模や文化の異なるクライアント先で、人事・採用業務を代行していました。
クライアント先に馴染まなければ仕事になりませんので、今回の森本千賀子さんの「転職・異動先でのNG言動」の記事は共感できました。特に共感できた部分が2箇所ありました。まず、
最も嫌われるのは、前の職場・勤め先との比較
これは本当に嫌われます。あるクライアント先に、中途入社で入ったばかりの人事担当がいたのですが、「前に勤めていた◯◯(有名企業)ではこうだったから」と、前職のやり方を上から目線で主張してくる人でした。
私たちコンサルタントの間では、「そんなに思い入れがあるなら転職しなければ良かったのに」「この手のタイプはすぐ辞めそう」と言われてしまっていました。実際、新しい職場に馴染めなくて、1年後に退職してしまいました。
次に共感できたのが、
「丁寧に説明しているのに、メモを取らない」
です。新しい職場では、早く仕事を覚えるためにメモを取ることは必須だと思います。私がメモを取るときは、メモ帳ではなくてB5かA4のノートを使っていました。余白を多めにとって書き込むためです。
仕事の手順やシステムの変更があったときは、すぐに新しい手順を余白に書き足して、どこがどう変わったのか整理していました。仕事を覚えるのが早い人は、「うちに来てくれてよかった」と周囲から信頼されます。
それと、もうひとつ。森本千賀子さんの記事には書かれていませんでしたが、「挨拶やお礼を忘れないこと」も新しい職場では徹底してほしいです。
人事コンサルティングのときに、人事担当者にも「新入社員には挨拶やお礼の大切さを教えるように」と指導していました。
というわけで、自分から挨拶をして溶け込む→前職の慣習を持ち出さないで、メモを取りながら仕事を早く覚える→教えてもらったらお礼を言う。この流れを意識するだけでも、新しい職場で嫌われることはなくなると思います。
以上「新しい職場に馴染めない?転職・異動先で嫌われない方法」の見解でした。
あなたは、これらの見解を読んでどう思いましたか?記事下にあるコメント欄やSNSにてご意見をお聞かせください。
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