今回は「仕事が嫌になって、やりたい仕事がみつからない」という悩みにお答えします。
新卒でプログラマーの仕事に就きました。プログラマーの仕事を選んだ理由は、何となく「カッコいい仕事かな」と感じたからです。ですが、実際に働いてみると、面白味を感じなくて、プログラミングの仕事が自分と合っていないと感じるようになりました。
自分のやる気の無さが上司にも伝わっているのか、上司から毎日罵声を浴びせられるようになって、ノイローゼになってしまいました。会社にいると、毎日が辛すぎるので会社を辞めてしまいました。
「嫌な毎日から解放されたい」と思って辞めたのですが、今度は無職の状況の毎日に不安を感じるようになってしまいました。無職になってから家族からも「早く仕事を探しなさい」と毎日言われているのですが、やりたい仕事がみつからないのです。
プログラマーになることしか考えていなかったので、自分にはプログラミングスキルしかありません。でも、プログラミングの仕事はもうやりたくないです。どうしたらやりたい仕事を見つけることができますか?
[相談者:23歳男性/システム開発会社(退職)/無職(プログラマー)/社会人2年目]
回答1:前職の「何が嫌だったのか」と「今まで続いたこと」を分析する
仕事をやってみて、「どうしても合っていない」ということはよくあります。仕事が合わないこと自体は決して悪いことではないのですが、「どうして嫌だったのか」「何が駄目だったのか」が正確に理解できていなければ、同じことを繰り返してしまう可能性があります。
同じ繰り返しを防ぐために重要なのが、「何が嫌で辞めたのか」と同時に、「過去どんなことなら続いていたのか」もしっかり分析することです。
私のクライアントで、「やりたいこと」を追い求めて、やりたい仕事につくものの、毎回「合わない」と言って辞めてしまう男性がいました。彼は強い憧れのある編集やライティングの仕事に就くのですが、「苦痛が上回って辞めてしまう」ということを繰り返していました。
転職回数も多くなっていたので、「次こそは安定して働きたい」と本人が言ったタイミングで「どうして辞めてしまうのか。何が自分にとって続けられないくらい辛いことなのかを明文化しましょう」とアドバイスしました。
すると、
- 人とのコミュニケーションを重視するので、長時間机に向かって文章を書くことは性格に合わないこと
- 締切のプレッシャーが強くて、昼夜問わず働くような業界の文化も生活スタイルに合わず体調を崩してしまうこと
がわかりました。逆に、
- インタビューの調整や、他のスタッフのために雑務をこなすこと
- 通常の事務作業程度なら心の負担にならずにやれていること
がわかりました。そこで、編集ではなくて出版関係の営業職に就くことで、今は実績を大きく上げて活躍しています。
つまり、今「やりたいこと」が具体的にないのでしたら、まずは「自分が続けられないほど嫌なことは何なのか」「何なら長時間やっていても苦痛にならず続けられるか」に着目して仕事を探すことが大切なのです。この観点で探した仕事は、「やりたい仕事」につながっていくことが多いですよ。
回答2:職種ではなくて、「仕事を通じて何をしたいのか」を考えてみる
私は若者(20代~30代)の就労サポートをハローワークからの委託で行なっていたことがあります。その際、同じように「やりたいことが見つからない。どこから探せばよいのかわからない」と相談に来る人がたくさんいました。
そんな人たちに私は、「やりたい仕事がない場合は職種を選ぶのではなくて、仕事を通じて何をしたいのかを考えてみて」とアドバイスしていました。
なぜなら、世の中、面白い仕事やかっこいい仕事ばかりではないからです。「仕事を通じて、お客様や社会にどうなってほしいのか?どう喜んでほしいのか?」をまず考えてみるのです。
たとえば、誰もが嫌だと感じる「トイレの掃除」だって、「いつもきれいに掃除をしてくれてありがとう」と感謝されたり、喜んでくれる人の顔を思い浮かべたりすることで、やりがいを感じる仕事に変わります。
プログラミングも同じです。始めたきっかけは、「なんとなくかっこいいから」だったかもしれませんが、「自分の作ったシステム(プログラム)を使った人に満足してもらいたい」「世の中を便利にしたい」など、その先の気持ちがあればやりがいを感じることができる仕事にもなるはずです。
単に「何がしたい?」と自分に問いかけても、なかなか答えは見つからないものです。今までの生きてきたなかで、楽しいと感じたこと、人に感謝したことに、あなたのやりがいがみつかるかもしれません。
というわけで、やりたい仕事をみつからない場合には、「仕事の先に何を実現したいのか」を考えてみてください。
回答3:自己分析をしてから転職サイトで求人を検索する
元・職業訓練校職員の小池です。
プログラマの仕事が嫌で退職したものの、やりたい仕事がみつからなくて悩んでいるようですね。
私も新卒でプログラマをしていましたが、「ジョブローテーションで営業事務になったら、思いがけず事務職が自分に合っていた」ということがありました。自分が考えている職種以外にも適職が存在する可能性はあるのです!
ジョブローテーションでは、事前に上司との面談でスキル表(就活時に作った自己分析シートのようなもの)を作ったことで自分の性格や得手不得手を把握できたので、全く違う職種転換でもすんなりと受け入れることができました。
なので、まずは自己分析シートを作成してみてください。意外と就活の時と大きく違っていたりするので、自分では気づかなかった職種への道が開けるきっかけになります。
自己分析をすれば、好きなことや興味があることが明確になります。自己分析をしてから、転職サイトで好きなことや興味のあることに関連したキーワードで検索してみると、やってみたいと思える仕事がみつかりやすくなります。もし自分だけで探すのが難しければ、転職エージェントを利用する方法もあります。
といわけで、まずは自己分析シートを作成して自分を客観的に見つめ直してから、好きなことや興味があることの延長になるような仕事を探してみてください。数ある求人の中に、興味関心が持てる仕事がみつかるはずです。
回答4:必死に仕事を探す環境に身を置いて、やりたい仕事をみつける
残念ながら、親の元で生活している現状では、やりたい仕事を見つけることは困難です。なぜなら、無職の状態でも寝食や身の安全が保証された状態では、やりたい仕事が見つからなくても、生きていけるからです。
人間は弱い生き物なので、生命の危険を感じないと必死になりません。まずは親の元を離れて、自力で生活をすることをおすすめします。
一人暮らしをするためには、やりたい仕事であろうがなかろうが、働かないと生活できません。たとえ正社員でなくても、どんな仕事でも、週5日懸命に働けば生活できるくらいの収入は稼げます。
もし、「この仕事は違う」と判断したなら、辞めて次の仕事に可能性を見出せば良いのです。生活ができなくなる危機感もあるので、結果的に親と生活しているよりも早くやりたい仕事が見出せます。
つまり、やりたい仕事が見つからないのは、見つかるまでのトライ&エラーが圧倒的に足りないからです。私も7回の転職を経て、やっと最近落ち着いてきたところです。
そんなわけで、必死になれる環境に身を置いて、色々な仕事に挑戦していく過程で、やりたい仕事を見つけ出すのがおすすめです。
回答5:徹底的に自己分析をして得意分野を再確認する
社会人になって早々、壁にぶつかってしまった感じですね。やりたい仕事を見つけるには、仕事探しをする前に徹底的に自己分析することをおすすめします。自己分析をすることで本当に自分が興味を持てることは何なのかがはっきりするからです。
私が人材コーディネーターとして派遣登録面談をしていたときにも、同じような相談を聞くことが多かったです。「やりたい仕事が見つからない」と言う人たちに共通しているのは、仕事をイメージやメリットだけで考えているということです。
相談内容にあるように「何となくカッコイイと思った」や「事務だったら定時で帰れそう」といった具合です。そんな人たちには、「仕事に直結することじゃなくてもいいので、好きなこと、得意なことを考えてみましょう」とアドバイスしていました。
例えば、小説を読むのが好き、飲み会を計画するのが好き、車の運転が得意など、どんなささいなことでもいいのです。できるだけたくさん挙げてみて、それらに共通することは何かを考えてみると自分の得意なことがわかってきます。
実際に、新卒で入社した会社を数年で辞めてしまった人にこのアドバイスをしたところ、やりがいを感じる仕事に転職できた事例があります。
その人は何となく事務の仕事を希望していたのですが、自己分析をすることで「誰かの役に立ちたい」という思いが強いことに気づいて、メーカーの営業事務に転職しました。営業さんや取引先のフォローという仕事内容にとてもやりがいを感じているようでしたよ!
ですので、「このスキルがあるからこの仕事」という固定概念をとっぱらって、自分の好きなことや得意なことをヒントに仕事探しをすると、長く続けられる仕事に出会えます。
回答6:やりたい仕事ではなくて、稼いだお金を使ってやりたいことをする
臨床心理士の佐藤です。
仕事はお金を稼ぐための手段です。そこにたまたま「やりがい」がついてくる場合もありますが、メインはお金です。なので、やりたい仕事を見つけるよりも、「仕事で稼いだお金で何をしたいか」を考えてください。
カール・グスタフ・ユングという心理学者は、「自分が何のために生きているのかを追求する『自己実現』が大切だ」と考えていました。また、『夜と霧』という本で有名な神経科医のヴィクトール・フランクルも、「どんなにつらい状況でも『生きる意味』を見出せる人は苦しみに耐える力を持っている」ことに気がつきました。
このように人間にとって「何をしたいのか」「どう生きていきたいのか」を考えることは、人生を生き抜くために、とっても大切なことなのです。
だからこそ、「どんな人生を送りたいか」をよく考えてみてください。「マイホームがほしい!」「旅行に行きたい!」「美味しいものが食べたい!」など、やりたいことはたくさんあるはずです。
やりたいことが明確になれば、どのくらいのお金が必要かもハッキリします。そこから逆算して、どんな仕事でどのくらい働くかを考えればいいのです。
仕事は必ずしも「生きる意味」にはなりませんが、生きる意味を充実させるための「お金を手に入れる手段」にはなってくれます。そう考えれば、わざわざやりたい仕事を見つける必要はありません。「絶対にやりたくない仕事」以外を選べばいいだけです。
そもそもやりたい仕事かどうかなんて、やってみないとわかりません。それなのに「やりたいかどうか」で仕事を選ぶのは現実的じゃないですよね?
「お金が欲しい」というモチベーションが自分の中に高まれば、やりたい仕事でなくても「やらなきゃ」という意欲がわきます。稼いだお金を使って、理想の人生に少しでも近づいている実感があれば、多少の苦しさにも耐えることができるはずです。
そんなわけで、やりたい仕事を探すのではなく、稼いだお金でやりたいことをハッキリさせて、仕事へのモチベーションを高めることをおすすめします。
3行まとめ:仕事が嫌でやりたい仕事がみつからないときは?
- 自己分析をして、嫌なこと・好きなことを明確にする
- 仕事を通じて何をしたいのか、稼いだお金で何をしたいのかを考える
- 仕事はやってみないとわからない。色々な仕事に挑戦して見つけ出す
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