今回は「みんなで温泉に入るのが嫌で、社員旅行に行きたくない」という悩みに、波風立たせない「断り方」の裏ワザと、社員旅行に参加するメリットを添えてお答えします。
入社した会社には(今どき?)社員旅行が毎年あります。特に、新人は社員旅行に行くことが義務のようなものらしいです。
ですが、私は大勢で出掛けたり、お酒を飲むのが苦手です。お酒を飲むことはもちろん、カラオケで歌を歌わされたり、宴会芸も嫌ですが、何より嫌なのは、同じ会社の人とみんなで温泉に入らなければいけないことです。
私は、昔から体にコンプレックスがあって、温泉が好きではないのです。でも、同期の子たちはみんな「温泉楽しみだね!」と話しています。正直、全然楽しみじゃないので行きたくないです。どのようにしたら波風立たせずに社員旅行の参加を断ることができますか?
[相談者:20歳女性/自動車部品製造業/事務職/入社1年目]
回答1:「相談」というかたちで「自分の苦手」を素直に伝える
人事&キャリアコンサルタント・にひらです。「会社でスムーズに過ごすためのお付き合い」と「自分がどうしても嫌なこと」が葛藤して、非常に悩ましいですよね。
ですが、今回の件ではっきりしていることが2つあります。1つは、社員旅行は業務ではないので、「『義務のようなもの』であっても、義務ではないこと」です。そして、もう1つはあなたに「行きたくない」という気持ちがあることです。
それなら思い切って断って良いですし、断っても何の問題もありません。逆に、今回断ったことで関係がうまくいかなくなるような環境だとすれば、この先そのような環境にいることは、つらいのではないかと思いました。
社員旅行のような会社でのお付き合いは、あくまで「親睦を深めるため」に行なうことです。ですが、社員旅行が苦痛なのでしたら、親睦を深める目的は達成されないわけです。そして、社員旅行に行ったとしてもずっと嫌な気持ちでしょうし、行くまでの時間も苦痛だと思います。
それでしたら、素直な気持ちを伝えてみることをおすすめします。例えば、次のように伝えるのです。
旅行のお誘いありがとうございます。誘っていただけたことは大変うれしかったです。ですが、その上で相談があります。
私はプライベートでは、大勢で行動したり温泉に入ったりすることがとても苦手です。ただ、皆さんと仲良く交流はしたいと思っています。例えば、お食事に行くなど、別の方法で仲良くさせてもらうことはできないでしょうか?
相談を拝見する限り、「会社の人と仲良くしたくない」というわけではなさそうなので、まずはその気持ちを明言します。そうすることで、「付き合い自体が嫌なのではなくて、単に旅行という形式が苦手なのだ」ということを伝えることができます。
また、「行かない」と宣言するのではなくて、あくまで「相談」という形で伝えることで、相手も「無理やり連れて行くのではなくて、別の形でなんとかしてあげたい」という発想にすることができます。
さらには、この機会に苦手なことを伝えることで、今後同様のイベントがあったときに配慮してもらえるという利点もあります。
無理やり付き合うことだけが、会社でうまくコミュニケーションを取る手段ではありません。ぜひ、相手の気持ちに配慮した言葉を伝えつつ、自分がどうしても嫌だと思うことも伝えてみてください。
回答2:病気や体質を理由にする&関係を深める提案をする
臨床心理士の佐藤です。ご相談内容には、2つの要素が混ざっているように思います。
1.社員旅行そのものに行きたくない
2.温泉に入りたくない
これらは似ているようで別の問題です。
1.社員旅行そのものに行きたくない問題
新人にとって「義務のようなもの」となっている社員旅行を断ることは、今後も働くことを考えるとハイリスクでローリターンな行動です。
社員旅行を良かれと思って準備した人たちは気を悪くするでしょうし、逆に内心同じように社員旅行は嫌だと思っていても断ることができなかった人たちにも反感を買いかねません。
できれば、「数日の辛抱で居心地よい職場環境が手に入る」と思って参加してみるほうがいいと思います。また、1回も参加しないで「苦手」と決めつけるのも、もったいない気がします。
それでも、「どうしても波風立たせずに休みたい!」という場合には、病気や体質を理由にするのが一番手軽でボロが出ません。
「大人数が騒いでいると音や声がストレスになって体調を崩してしまう」「他の人がいるところでは眠れないのでつらい」など、真実を大げさにした程度の話を伝えるのが良いでしょう。
そうすれば、「設定を忘れてうっかり嘘がばれてしまう」という最悪の事態は避けられます。また、冠婚葬祭を理由にした休みはそれ以降使えませんが、体質が理由であれば、同じ理由で今後も休むことができます。
2.温泉に入りたくない問題
温泉も体質による理由づけで簡単に避けられます。温泉には普通のお湯にはない成分があるため、肌が荒れることがあります。これを「湯負け(湯ただれ)」と言います。
「肌が弱くて温泉で湯負けしてしまう」と伝えれば、温泉に入ることを無理強いされることはないでしょう。また、女性同士なら「生理になっちゃったから入れない」と言えば十分納得してもらえるはずです。
どのように休みを伝えるにせよ、大切なのは、断るだけでなくて次の提案があることです。「社員旅行は行けないけれど、次の飲み会はぜひ参加したいです」「温泉は入れなくて残念だけど、今度女子会を設定します」など、「みんなと仲良くなりたいです!」という気持ちが伝われば、断ったとしても関係が途絶えることはありません。
100%の嘘をつくのではなくて、真実を大げさにした話で休みたいことを伝えること、また、断るだけでなくて自分から次の提案をすることで、社員同士の仲を深めてみてください。
回答3:体調を理由にする。大事なのは「本当は親睦を深めたい」という態度
元・職業訓練校職員の小池です。私が20代の頃に勤めていた会社にも、ほぼ義務の社員旅行がありました。そして、同期や後輩にも、理由はバラバラですが、「社員旅行に参加したくない」という人はたくさんいました。
会社が社員旅行をする目的は、だいたい次の4つに分けられます。
1.福利厚生や慰安、モチベーションを上げるため
2.社員同士の交流や顔合わせで、その後の業務を円滑にするため
3.社員の人間性や性格を確認したり、社員同士の相性を確かめたりするため
4.いざというときの言動や周りへの気遣いなどを評価、確認するため
相談者さんは社員旅行の目的が慰安だけだと考えているように感じますが、実は仕事の一環でもあるのです。そんな社員旅行を断るのに、「行きたくないから行きません」では上司や先輩も良い顔はしないでしょうし、評価も上がりません。
でも、大勢で出かけることや宴会、温泉など、社員旅行であることのほとんどが嫌いでは、当日無理に参加しても態度や表情に出てしまって、周りの人に不快感が伝わったり、「協調性が無い」と評価を下げられたりする可能性も出てしまします。
そこで、穏便に参加を断るために周囲が納得する理由が必要になります。毎年社員旅行があるので、冠婚葬祭やその場しのぎの理由では、あとあと失敗します。おすすめは、「乗り物酔い」や「旅行に行くと必ず体調を崩す」などの、業務に影響が出ない「体調の不安」を理由に断ることです。
「実は乗り物酔いが酷くて周りの方々にご迷惑をかけてしまうので、社員旅行の参加を遠慮したいのですが・・・」のように、上司に相談してみてください。
相談するときに重要なのは、「本当は参加して社員の皆さんと親睦を深めたいのに行けない」という態度です。
突然、「参加しません!」と伝えるよりも上司の印象は良くなりますし、周りへの気遣いも伝わって悪い評価にはなりません。
特に乗り物酔いは病気じゃないので、仮病であっても最適な理由です。それに、老若男女関係なく、つらさが伝わりやすいので、上司も納得してくれやすいものです。
つまり、嘘も方便です。自分や周りのために仮病を使って、毎年ある社員旅行を回避するのも悪いことではありません。上司に「行きたいけれど行けない」という相談をして、「周りに迷惑をかけたくない」と強く訴えてみてください。
回答4:「乗り物酔い」「無理をすると体調を崩す」などの理由で早めに断る
人材サービス業務歴20年以上の勝山です。行きたくない社員旅行やイベント、ありますよね~。会社が社員への福利厚生(好意)として行なっているのであれば、なおさら「飲み会が苦手だから」「温泉が嫌いだから」とは言いづらいですよね。
私も旅行に限らず、社員会や懇親会など人が集まる場所は好きではありません。たいてい、1回切りのイベントであれば、「法事がある」とか、「結婚式がある」などの理由で早めに断るようにしています。
行くか行かないか悩んでいるうちに日が迫ってきて、ドタキャンする・・・ということもあるかもしれません。その際の理由は、「体調不良」が無難でしょう。ただ、急なキャンセルは開催者にさらに迷惑をかけることになります。なので、行かないのなら、早めに断りしたほうがお互いのためにも良いです。
社員旅行は毎年あるイベントのようなので、「乗り物酔いがひどいから」「無理をすると体調を崩してしまうので」といった理由で、毎回お断りするのも一つです。「皆さんで、ぜひ楽しんで来てくださいね」と笑顔で見送れば、心象も悪くないと思います。
いずれにしても、若手の間は「飲み会苦手」「カラオケ嫌い」「社員旅行に行きたくない」と直接的に言ってしまうと、印象を悪くする可能性が高いので、体調を理由に早めにお断りしましょう。
回答5:波風立たせないためには「嘘も方便」で演じる必要あり
元人事&キャリア・ディベロップメント・アドバイザーの仲森です。今回の社員旅行にどうしても行きたくない場合は、冠婚葬祭に関する架空の話を用いるのが最も無難です。例えば、次のような話です。
北海道(または沖縄)で、いとこが結婚式をすることが(急きょ)決まったのです。小さな頃から仲が良いいとこなので、どうしても式に参列したいと思っています。
式のスケジュールの関係で、前泊する必要があって(社員旅行の日程と重なってしまって心苦しいですが)、社員旅行はお休みさせてほしいです。
このように主張すれば、大半は「それなら仕方ないな」と思うはずです。仮に社員旅行が週末ではなくて平日だった場合でも、「いとこはサービス業で平日が主に休みのため」と補足すれば問題ないです。
「嘘も方便」という言葉のとおり、波風立てずに断るためには必要な嘘だと割り切って演じましょう。これで1年目の社員旅行はうまく断ることができます。
一方、2年目以降の社員旅行に、どれだけ強制力が働くかわかりませんが、2年目以降の社員旅行(その他社内行事も含む)とどう接していくかも、今のうちに考えておくことをおすすめします。
私の考える方向性は2つで、
- A:1年間かけて、社員旅行や社内行事には積極的に参加しないキャラクターを確立する
- B:1年間かけて、自分の苦手やコンプレックスを克服するように努める
のどちらかです。
A案であっても、周囲に気を配りながら日々の業務に努めていれば、社内行事に積極的に参加しないことで後ろ指を指されるような環境にはならないはずです。B案は、現在の環境にうまく順応することで苦手を克服して、余計なストレスを感じない日々を送れる自身の成長につながります。
最後にあらためて言いますが、「嘘も方便」です。自分と職場との良好な関係を保つために、上手なつくり話で乗り切りましょう。
回答6:社員旅行の欠席はおすすめできない。良い部分に目を向ける
人事、労務、法務責任者・まつしたです。正直を言うと、私も社員旅行に行きたくない派なので、気持ちはよくわかります。「社員への労い」や「無礼講」と言うものの、実際のところは仕事の延長線上ですし、疲れを取るどころか逆に疲れをためて帰ってくることも多いです。
だからといって、会社行事である社員旅行を欠席することはおすすめしません。理由は次の3つです。
1.毎年断ることに限界があるから
仮に今回上手に断ることができても、来年再来年も断る理由を考えなければなりません。断り続けることに限界がきて、いつか社員旅行へ行けなければならないときがやってきます。断ることは、苦手なことを先延ばしにしているだけです。
2.自分の評価を下げてしまうから
上司は、社員旅行といえども人事評価の対象にします。「社員旅行に行かない」と言うだけで、協調性や愛社精神が乏しいと査定されてしまう可能性があります。
3.社員旅行後に疎外感を感じる可能性があるから
社員旅行のあとも社内の掲示板に旅行中の写真が貼り出されたり、「この前行った社員旅行のときにさぁ」という社員同士の会話に入っていけなかったり、思わぬ疎外感を受けることがあります。「喉元を過ぎれば」では終わらずに、意外に尾を引いてしまいます。
これらのことが社員旅行に行くだけで解決します。確かに社員旅行にお酒はつきものですが、強引にお酒を飲ませたり、歌を強要されたりすることは少なくなりました。いきなり「宴会芸をしろ」などといったムチャぶりはないはずです。そんなことをしたら、「パワハラだ!」と言われかねませんし、会社側も理解があります。
温泉も、正直に「すいません、大きなお風呂が苦手なんです」と言って断れば大丈夫です。
社員旅行の嫌な部分に目を向けるのではなくて、良い部分を考えてみてください。「付き合いの薄かった人と話すきっかけになった」とか、「知らない観光名所に行けた」「名産を知ることができた」などの新しい発見もあります。
お酒の席でも、会話が弾まなくてつまらないと思ったら、ビールをお酌してまわるといいですよ。お酌された相手はうれしいですから、話しかけてくれます。入社1年目の新人さんであれば、「今どき気が利くじゃないか」と、いろいろな人に顔と名前を憶えてもらえる効果もあります。
社員旅行をはじめとした社内行事を断り続けることには、限界があります。苦手なことを先延ばしにしないで、参加する楽しさに目を向けてみてください。欠席することはおすすめしません。
回答7:何事も経験!全部がんばらなくてもいいから、参加してみて
元・人材コーディネーターの澤井です。楽しみではないのに行かなくてはならない社員旅行、気が重いですね。お気持ちお察しします。
厳密に考えると社員旅行は仕事ではないのですが、実情としては仕事の要素が大きいです。断ることもできなくはないですが、入社一年目で断るのはあまり印象が良くないので避けたいところです。
会社として社員旅行の目的はいくつかありますが、一番大きな目的は社員間の親睦を深めて、より業務効率を上げることです。「社員旅行なんか行かなくても業務をこなすことに支障はない」と考えていると思いますが、残念ながら会社はそう考えていないようです。
なので、ここは試しに一度参加してみることをおすすめします。社会人になったのですから、「嫌だから行かない、しない」ではなくて、何事も経験してみる気持ちが大事です。
一番気がかりな温泉ですが、どうしても入りたくないのでしたら、「体調があまりよくないから」と断りましょう。
お酒も、正直に苦手なことを伝えて飲まなくてもよいと思います。カラオケや宴会芸は、気持ちを盛り上げて楽しんでみてください。つまらなさそうにしているよりも、楽しんでいる姿を見せたほうが周囲への印象もよいですよ。
我慢をして参加していた社員旅行も、気がつけば打ち解けた同期や先輩が増えて、楽しいと感じられるかもしれません。社員旅行がきっかけで、仕事でも今まで以上に協力し合えるようになる可能性もあります。
何かしらの理由をつけて断ることもできますが、毎年行かないとなると周囲とギクシャクしそうです。社員旅行自体を避けることはできても、「社員旅行に行こう」と考える社風と、相談者さまの希望する職場環境がマッチしていない状況になります。
なので、気持ちを切り替えて参加してみたものの、負担にしか感じられないようでしたら、思い切って転職を検討するのもひとつです。
ということで、気の乗らない社員旅行ですが、「何事も経験」と思って一度参加してみてください。
3行まとめ:社員旅行への参加をうまく断る方法
- 病気や体質を理由にする(→ボロが出にくい&毎回使える)
- 断るだけではなくて、仲良くしたい気持ちを伝える
- 社員旅行の良い部分に目を向けて、一度は参加してみる
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