ITエンジニア派遣の営業職からフィールドエンジニアへの転職体験談「内定は10数社からもらえて、売り手市場を実感」

今回は「残業や仕事量への不満が膨らんだ&体調を崩した」という理由で、フィールドエンジニアへ転職して、希望以上の待遇かつ快適な労働環境で働くことに成功した石黒さん♂のインタビューをお届けします。

転職成功者インタビューVo.6:石黒さん(1987年生まれ♂)

住まい:神奈川県
最終学歴ランク:その他の大学卒
インタビュー当時の家族構成:独身(31歳)
転職前:手取り月収25万円、年収450万円
転職後:手取り月収30万円、年収550万円
転職前:ITエンジニアを派遣する営業職
転職後:フィールドエンジニア

「ITエンジニアから営業に異動して、理想とかけ離れた状況だった」

――現在はどんな仕事をしていますか?
東京都内にあるソフトウェア開発会社で、主任としてフィールドエンジニアをやっています。

――前職はどんな仕事をしていたのですか?
前職では、ITエンジニアの派遣を主軸にしている一部上場企業で、営業職をしていました。主な業務内容は、ITエンジニアをクライアント先に常駐(派遣)させるための新規開拓を含めた営業活動です。

――職種は違いますが、前職もエンジニアに関係する仕事だったのですね。なぜ、その会社、その仕事を選んだのですか?
前職の会社は、実はITエンジニアとして入社したんです。私は、前々職では事務系の仕事をしていたのですが、そのさらに前にはITエンジニアとして働いていた経験がありました。

自己都合でITエンジニアの仕事を離れましたが、再度ITエンジニアに戻るべく転職しました。ブランクがあったものの、過去の経験年数を加味した条件であったことが決め手となりました。

――そうだったのですね。ITエンジニアから営業職に変わったのはどうしてですか?
営業職の人手不足から、当時の営業部長から引き抜きの話をもらいました。「ITエンジニア職よりも稼げる環境だよ」と説明を受けて、早々に部署異動をすることになりました。

――なるほど。実際に働いてみて、前職の仕事のやりがいはどうでしたか?
営業職に異動して、エンジニアとしてやりたかったことは何一つできないまま、思い描いていた仕事とはかけ離れたものとなってしまいました。忙しかったので充実はしていましたが、会社貢献などの気持ちは希薄でしたね。

「みなし残業は月35時間で、22時以降はサービス残業」

――営業職とエンジニア職では仕事内容が全然違いますもんね。転職しようと思った理由は、やはりエンジニアをやりたかったからですか?
その気持ちもありましたが、労働環境、特に残業に関して不満があったのと、人も辞めていって負担が大きくなって、体調を崩してしまったことが決め手でした。

私が入社したあとに会社が一部上場したのですが、一部上場前の労働環境と何一つ変わらなかったのです。みなし残業はエンジニア職で月20時間、営業職で月35時間が設けられていました。みなし残業を設定している企業は数多くありますが、それでも働いた分を申請できるのであれば不満はないですよね。

でも、前職の会社は、上場したことにより「内外からの目が厳しくなる」という理由から監査上の就業時間の管理が厳しくなるばかりでした。

――株主に気を使う必要がありますからね。
そうなんです。36協定については、元々うるさく言われていましたが、本社勤務の社員は22時以降は退勤の申告ができなくなって、サービス残業と化していました。22時以降と言えば、本来深夜時間として割増されるところ、申告すらできないのです。エンジニアについては他社に常駐しているので、申告できていましたが……。

――「営業職のほうが稼げる」って言われたのに話が違うと。
はい。そうした状況であるにも関わらず、営業部のミーティングでは「我が社は一部上場企業としてー!」と役員が叫んだりして、ことあるごとに「一部上場企業」という言葉を聞かされました。

また、営業職はクライアントに対しても「うちより規模が小さいのに、なぜこちらが譲歩しなければならないのか」というスタンスでした。

――役員と現場社員とで、だいぶ認識に違いがあったのですね。
はい。こんな状況で、前線に立つ営業は「自社が一部上場を名乗るのは恥ずかしい」とすら感じていて、一人二人と次々に辞めていきました。

結果、残された営業職の一人あたりの仕事量は膨大に増えていって、不満も膨らんでいきました。私もそうした不満を抱えながらも、より良い方法を模索していましたが、ついには体調を崩してしまって転職を決意しました。

――労働環境が悪いから、人が辞めていって、一人あたりの負担も大きくなって……という悪循環ですね。転職に関して、家族は何と言っていましたか?
当時、私は結婚していたのですが、心身共に限界がきていたので離婚をする話をしていました。それで結果的に離婚したので、今では元妻なのですが、妻は「あなたが元気に働けるのであれば何をしていても私は大丈夫」と言ってくれていました。

私の都合で迷惑をかけるにも関わらず、私のことを気遣ってくれる言葉に申し訳ない気持ちと情けない気持ちを抱きました。

「利用経験のあるdodaを使って、自分で求人を絞り込んで応募」

――元奥さんは体を心配してくれていたんでしょうね。今回の転職で重視した条件は何ですか?
職種と労働条件、待遇面を重視しました。前職では、みなし残業やサービス残業があって、とてもじゃないですが一部上場企業を謳う環境ではなかったことから、働いた分はきちんと支払ってくれる企業を選定して転職活動をしました。

――基本的な条件のほかに、前職のような残業代の不満がない会社を選ぼうと。転職先はどうやって探しましたか?
転職先は、転職サイトの「doda」を使って探しました。前職もdodaを使って転職したので、使い勝手が良かったり、操作も理解していましたし、「アカウント情報をイチから作らなくて済む」という理由から選びました。

まずは、WEB履歴書や職務経歴を更新して活動を開始しました。エージェントの利用も検討しましたが、手間だったので求人情報が掲載されているページから企業へ直接応募する形で転職先を探し始めました。

――求人サイトには膨大な数の求人がありますが、実際にその中からどのように会社選びを進めていきましたか?
まず、職種は前回の転職でも希望していたITエンジニアを第一志望に設定しました。ただ、体調を崩していたこともあって、条件次第では事務職や人事職も検討しようと考えていました。

企業を選ぶときは、第一に「ずっと掲載されている」「しょっちゅう募集されている」「募集要項に具体性が欠ける」ような企業を除外しました。そうすることで、数あるIT企業から私が希望する条件が揃っている企業を絞り込んで、残った企業から選んで応募していきました。

「内定は10数社からもらえて、売り手市場を実感しました」

――なるほど。掲載期間の長さや募集頻度の高さにも注意していたのですね。応募後は、スムーズに進みましたか?
特に苦労をしたことはなくて、書類選考も7~8割は通過しました。面接では、私の職歴が転職回数4回で5社経験している状況だったので、面接担当者からは「転職回数が多いですが、なぜですか?」とよく質問をされましたが、「キャリアアップのため」であることを伝えて特段問題にはなりませんでした。

実際に転職のたびに収入が上がっていたことと、それぞれの転職理由を明確に伝えることで納得していたようでした。なかには「今は転職してキャリアアップするとか当たり前ですもんね」と言ってくる面接担当者もいました。

そして、内定は全部で10数社からもらえて、巷で言われている「売り手市場」を実感しましたね。

――売り手市場とはいえ、企業を絞ったうえで10社以上から内定獲得とはすごいですね!そのなかから、今の会社を選んだ決め手はなんですか?
今の会社を選んだ決め手は、ITエンジニアという職種はもちろんですが、待遇が希望以上だったことです。基本給が想定していたよりも5万ほど高くて、役職付きで雇ってもらえるほか、入社時から有休と夏休みまで付与してもらえることや、期間を満たしていないにも関わらず賞与も支給してもらえるという条件でした。

それと、実際に上司になる人たちと顔合わせをさせてもらって、相性が良かったことも大きな要因です。上司の中には、10数年前ですが私の前職から転職してきた人もいて、私の状況に理解を示してくれたのも嬉しかったです。

――条件や待遇だけでなくて、一緒に働く人との人間的な相性も大事ですよね。前の職場の人に転職を打ち明けたときは、どんな反応でしたか?
相手によってそれぞれでしたね。

上司「大変なのはわかってたけど、助けてやれなくてごめんな」

先輩や同僚「いいなぁ。俺もそろそろ身の振り方を考えなきゃと思ってたのに、お前がいなくなったら辞めにくいわ……」

後輩「なんで辞めるんですか?今後の参考にしたいので、差し支えない範囲でいいので教えてください!」

という感じで。

退職する旨を伝えた際は引き留めの言葉をもらいましたが、すでに転職先が決まっていることを伝えると「それじゃ仕方ないか……」という雰囲気でした。私は仕事でかなり苦しんでいたので、「ようやく辞められる」といった安堵の気持ちが強くて、引き留めや羨望の言葉も特に刺さりませんでした。

「イメージのギャップもなく、スキルアップを実感する日々」

――体調も崩していたようですし、辞めることができてよかったですね。今の会社に実際に入社してみてどうでしたか?
扱うシステムを使用した経験があることや、事前に業務の詳細を聞いてから内定を承諾していることから、イメージのギャップはなく働けています。

過去に私が経験があるのがインフラエンジニアで、現職は開発系なので畑が違うのですが、同僚や先輩のフォローも手厚くて、スキルアップを実感する日々を過ごしています。人間関係も良好で、有休も取得しやすく快適な環境です。

また、ITエンジニアの職種ではありますが、法律の知識が必要なので、自分が法学部を出ていることも活かせているので満足しています。

当面は転職せずに腰を据えて働こうと考えていますが、現在の役職以上に就いた際の報酬次第では、再度キャリアアップのために転職をする腹づもりでいます。

――満足いく転職はできても、常に状況次第では上を目指す転職を意識しているのですね。最後に、同じようにサービス残業やみなし残業など、労働環境や待遇に不満があって転職しようか迷っている人に、メッセージをお願いします。
月々の固定給である「基本給+みなし残業代」から、みなし残業として支給されている額を引いてみてください。同世代の人と比べて安すぎませんか?転職にかかる労力は決して小さくありませんが、求人情報だけでも一度見てみてください。今よりもラクな業務内容なのに、今よりも稼げる企業はたくさんあります。

かつての氷河期とは違って売り手市場の今、転職のハードルはグッと下がっています。長い目で見て今の企業に所属し続ける理由が特にないのであれば、転職を検討してみることをオススメします。

――貴重な体験談をありがとうございました!
(了)

編集後記:IT人材は2020年以降にさらに不足する

今回のインタビューでわかったことは、「今、企業はITエンジニアを欲しがっている」ということです。10社以上から内定をもらえた石黒さんを見てわかるように、世の中全体を見てもITエンジニアが不足しています。

AI、IoT、ビッグデータといった新しいIT技術の進歩と、それに伴う情報セキュリティの強化が必要だからです。それなのに、少子高齢化の影響で労働人口は2019年がピークなので、2020年以降にさらにIT人材不足が深刻になっていきます。

2016年に経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果【PDF】」によると、

  • 先端IT人材は、2020年には4.8万人が不足
  • 情報セキュリティ人材は、2020年には20万人が不足

というデータが出されています。なので、エンジニアのスキルを持っている人はチャンス到来です。石黒さんのように新たな職場でスキルアップを図って、再度転職をすることで、さらなる高待遇が期待できます。

あなたのご意見をお聞かせください。

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